2019年も岸和田だんじり祭の季節が近づいてきました。1年を通して楽しめるだんじりですが、やはり本場・岸和田での「岸和田だんじり祭」は別格!岸和田地区22台、春木地区12台の合計34台ものだんじりが勇壮に市中を疾走する様子は一見の価値があります。
2019年の開催は、9月14日(土)~15日(日)。こちらの記事では、岸和田だんじりの歴史から「やりまわし」や「彫り物」「灯入れ曳行」といっただんじりの魅力までを徹底解説します!(2019.08.21 編集部)
もしあなたが、スピード感溢れる勇壮な祭を見たいと思うなら、大阪南部の泉州地方で行われている「岸和田だんじり祭」をおすすめします。重さ4トンもの山車が、鳴り物と掛け声を響かせながら、全速力で街を駆け抜けて行くのです。
最近では、NHKの連続テレビ小説「カーネーション」の舞台が岸和田ということもあり、だんじり祭はより全国的に知られるようになりました。「岸和田だんじり祭」は、1703年、岸和田城の城下町ではじまった歴史ある祭りです。今もなお盛んで、多い年は開催2日間で60万人を超える観客が訪れるほど(ちなみに岸和田市の人口はおよそ20万人)。
今回は、そんな大阪が誇る歴史ある祭り「岸和田だんじり祭」をより一層楽しむためのポイントをご紹介します。
目次
ここに注目! だんじりを楽しむ5つのポイント
Photo by Tomoyuki Okuda
だんじりは、前知識なしに見ても、その迫力に圧倒されるでしょう。しかし、以下のちょっとしたポイントを押さえておくと、より一層楽しめるようになります。
初めて岸和田だんじり祭を訪れる方は、以下の5つの見物ポイントに注目してみてください。
1. だんじりには、ハンドルが無い
Photo by Tomoyuki Okuda
自動車は、ハンドルを回せば、タイヤが右や左に動きます。しかし、だんじりにはハンドルがありません。木製のコマ(タイヤに当たる部分)が、一本の可動式でないまっすぐのシャフトに刺さっているだけなのです。
だんじりは一見すると、巨大な山車を走らせているところに注目しがちですが、実は狭い路地を駆けたり、交差点を曲がったりする部分に妙技が隠されています。だんじり全体を眺めるだけでなく、各持ち場の姿勢や動き、掛け声にも注目してみてください。
2. まるでドリフト、やりまわし
Photo by Tomoyuki Okuda
だんじり最大の大技は「やりまわし」です。交差点を、加速しながら勢いよく曲がります。その姿はまるでカーレースのドリフト走行。だんじりに参加する全員の息がピタリと合わないと成功しません。それだけに、見事にやりまわしが決まった時には喝采が起こります。
ちなみに、だんじりが家や電柱に激突したり、横転する事故が起きたりすることもあるので、交差点付近での見物は大変危険です。慣れないうちは、交差点から離れたところで見物すると良いでしょう。また、だんじりは全速力で走ってくるので、「どけ!」など厳しく言われて驚くこともありますが、あなたの命に関わることですので、速やかに指示に従いましょう。
3. 屋根の上の司令官、大工方
Photo by Tomoyuki Okuda
だんじりの屋根に乗っている人を「大工方(だいくがた)」と呼びます。彼らは華麗に踊るのが担当のように思えるかもしれませんが、実はだんじりの司令官としての役割があります。両手に持つうちわや動きで、各持ち場に指示を出しているのです。
たとえば、うちわで左屋根の端を大きく叩けば、左に多く舵取りし、小さく叩けば、小さく舵取りします。大工方からの連携プレイも見どころです。
4. 青年団からはじまる、だんじり人生
Photo by Tomoyuki Okuda
だんじりには、子どもたちも参加しています。小学生は子供会、中学生は少年団という町内会の団体に所属。高校生の年齢(16歳)になると、青年団へと進みます。
だんじりは、年齢や役割に応じて様々な団体があるのですが、この青年団からが本格的なだんじりへの参加となります。祭りの1か月以上前から、連日「寄り合い」が行われ、だんじりの整備、練習、寄付集めなどを行います。だんじりを通じて、地域の伝統を守り、地域の結束を高めているのです。
5. だんじりの彫り物
Photo by Tomoyuki Okuda
だんじりの価格は、いくらだと思いますか? 実は、1台新調するのに1億円ほどかかると言われています。遠目で見物しているとわかりにくいのですが、実は全体に彫り物(木の彫刻)がびっしりと施されている芸術品なのです。
テーマは、源平の合戦から大坂の陣まで、様々な戦国の世。お昼や夕方などの休憩している時間に、一声かけて、ぜひ彫り物を間近で眺めてみてください。
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だんじり300年の歴史をつなぐ、祭都・岸和田市
Photo by Tomoyuki Okuda
岸和田市には、小さな町がたくさんあります。歩いていると、およそ100メートルおきに次々と町名が変わる一角もあるほど。もちろん、それぞれの戸数・人口は多くはないのですが、ほとんどの町内会に1台ずつだんじりがあるのです。
9月に行われる「岸和田だんじり祭」では、岸和田地区22台、春木地区12台の、合計34台ものだんじりが勇壮に市中を疾走します。
1台のだんじりを動かすには、数百人が必要です。世代を超えた町民が一体となることで、伝統を受け継いでいるのです。
岸和田の子どもの多くは、幼い頃からだんじりが大好きで、幼児向けのだんじりのオモチャや絵本もあります。また、町のあちこちで、だんじりの面影を感じます。岸和田駅前商店街のアーケードの高さは日本一なのですが、これもだんじりが通るためなのです。
お土産物としては、岸和田商店街やだんじり用品店で販売されているカレンダーがおすすめ。普通のカレンダーのように1月からではなく、なんと9月から始まっています。
岸和田だんじり祭は9月中旬に開催! 2019年は14・15日
Photo by Tomoyuki Okuda
岸和田だんじり祭は、毎年9月中旬の土日に行われます。当日、周辺道路は完全通行止めになり、町中にだんじりが駆け回ります。初日は朝6時から夜10時まで、2日目は朝9時から夜10時まで開催されます。
朝から夕方までの時間帯は、激走するだんじりを見ることができ、夜7時からは「灯入れ曳行」といい、提灯で装飾されただんじりがゆっくりと練り歩く姿を楽しめます。日中と夜のギャップも良いものです。
だんじり祭の日は、ぜひ早起きをして、朝から見物してみてください。
Photo by Tomoyuki Okuda
10月にも岸和田やその周辺地域でだんじり祭が開催
だんじり祭は、翌10月にも周辺の地域で開催されます。岸和田市の山手、貝塚市、熊取町、泉北郡忠岡町、泉大津市、和泉市、堺市など、広い地域で行われ、開催日程も様々です。
岸和田だんじり祭を見て、もっといろんなだんじりを見たいと思った方、9月の岸和田だんじり祭を見逃してしまった方などは、ぜひこちらへも足を運んでみてください。
開催日や曳行コースなど詳しい情報は、各市町村のWebサイトに掲載されています。
<インフォメーション>
■名称
岸和田だんじり祭(10月祭礼)
■開催場所
大阪府 岸和田市
■最寄駅
南海本線「岸和田」駅前(岸和田地区)
南海本線「春木」駅前(春木地区)
■開催日
2019年は、10月12日(土)・13日(日)
■公式サイト
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/danjiri/
だんじり曳行コース、時間帯によっての見どころ、各町のだんじり小屋、公衆トイレの場所などがわかる「だんじりマップ」が無料ダウンロードできます(外国語版あり)。
■周辺観光ガイド
*岸和田を含む、南大阪エリアの観光ガイド。日本語のみ。
こちらの記事では独自にピックアップした関西各地のだんじり祭りを比較し、それぞれの見どころをご紹介しています!
【関西各地のだんじり祭りを比較!それぞれの見どころをご紹介!】の記事はこちら
秋だけじゃない!1年を通して各地で開催されるだんじり祭
だんじりと言えば秋をイメージする方が多いかと思いますが、イベントなどを含めるとほぼ1年間を通してだんじりを見ることが可能です。
下記の記事では秋以外に行われるだんじり祭りやイベントをご紹介します。