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佐賀の小友祇園祭。ジブリ感が半端ないハウルな山笠を、君たちはどう見るか?

2023/9/10
2023/9/10
佐賀の小友祇園祭。ジブリ感が半端ないハウルな山笠を、君たちはどう見るか?

どうも。「妄想が激しい」とよく言われる、オマツリジャパンのアオサギこと、奇祭ハンターのまっくとは俺のことだ。今回は毎年旧暦の6月14・15日に行われる佐賀の小友祇園祭(こどもぎおんまつり)が「何かジブリっぽくてとにかくヤバい!」というざっくりとした噂を聞きつけ、佐賀県まで取材に行ってきたゾ。

以前、最恐と恐れられる八女市の里山の祇園祭を紹介したが、今回はド派手な漁港の祇園祭をレポートする!かつてはその巨体を誇った山笠が縮小を余儀なくされた、文明が生んだ意外な天敵とは?さぁ、それでは行ってみよう!

イカで有名な呼子小友町に到着!

福岡から車で2時間以上。佐賀県唐津市の北端、荒波が立つ玄界灘に面し、海の幸に恵まれた小さな港町、呼子町小友に到着。

呼子はイカ漁業で知られる町。漁港の壁には、地元の小学生による思わずホッコリさせられる壁画も描かれていた。

こんなのどかで小さな漁村に、よもや奇想天外な奇祭が存在するはずなど……。ふっ、さてはオマツリジャパン編集部め、この私にガセネタをつかませよったな!(時々口が悪くなる)

と、その時、家政婦は見た!

!!!

!!!(大事な写真は寄って2回くり返す)
ナンダコレハ!?

家をかき分け近寄ってみると、あったよ。二階建ての家を超える高さ15メートル超の山笠が。海鳥の飛ぶ高度よりも高いとは。山笠は町の青年たちを中心に、総出で一週間前から造り上げられるという。

山笠といえば、博多の祇園山笠が有名だ。あれも従来は高さ15メートルを超える山笠を担いでいたが、明治時代に電線が普及したため、約3メートルの高さで実際に動く「舁き山笠」と展示用の「飾り山笠」に 分化したという歴史がある(現在の博多の飾り山笠は10メートル前後の高さ)。つまり、こうした超デカい巨大山笠は、昔の面影を宿した初期形態(オリジン)ともいえるわけだ。

小友祇園祭は、京都の八坂神社の祭礼で日本屈指の歴史と規模を持つ祇園祭と同じように、疫病退散祈願のため始まった。1658年(万治元年)に、大流行したコレラの悪疫退散を祈願し、笠竹に御幣をつけてお祓いして回ったことが起源とされる。小友地区の入り口にある八坂神社で、干潮になる前に流行病除け、五穀豊穣、大漁祈願の神事が斎行された後、いよいよ山笠の巡行が始まる!

漁船が停留する海側から見るとこんな感じ。うん、確かに電柱よりも高いのがよくわかる。

祇園山笠のジブリ味をとくと堪能しよう!

パッと見、上に人が乗っていて危な!と思いきや、これは人形。「三方ヶ原の合戦」を表現しているようだ。

このゴテゴテ感は誤魔化しようもなく、ジブリの「ハウルの動く城」はこれにインスパイアされたと見て間違いないレベル(断言!)。ふっ、これはオレでなきゃ見逃しちゃうね

反対側では織田信長と明智光秀が対峙し、「本能寺の変」を表現。

飾りの下には鐘と太鼓を搭載したスペック。人を乗せて、素朴なお囃子を響かせます。

最下部にはしっかりと重しが。総重量は3トン。カローラ3台分ぐらいの重さだ。これを約50人の男たちが4本の大棒で担ぎ、練り歩く。

脇には一回りサイズが小さい子ども山笠も存在する。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!遂に山笠が動き出す!

浜辺を離れ、住宅街を進む山笠。遠くから子どもたちが熱い視線を送る。

「あ~さっさぁ、あ~さっさぁ」の掛け声とともに持ち上げるが、総重量は3トン。大勢の男たちをもってしても軽々と動かせる重さではない。いや、待て!

昨今は漫画の中にしか存在しないと思われていた金髪リーゼントの少年。都会でこそヤンキー・イズ・デッドが叫ばれて久しいが、やはり地方ではヤンキー文化はまだまだ健在のようだ。イエス、これぞ祭り!

住宅街を蹂躙する巨大生物かのように、巨大山笠が少しずつ動いていく。


日本人の怪獣映画好きは、祭りのこういった原風景から来ているのかもしれない。

重過ぎるためか一度に進む距離は10メートル程度。休憩をはさみながら、少しずつ練り歩いていく。小友祇園祭は、この日とその翌日の2日間にわたって行われた。

クライマックスでは海の中を移動。実は小友祇園祭は「海を渡る山笠」の異名をもつ。浮力があるため、むしろ海の中のほうが運びやすいのではという気もする。なお、潮の満ち引きの影響で時間が変動しやすいため、見に行く際は要注意だ。

いかがだったろう。今回の小友祇園祭のレポートは?スサノオを主神とし、その荒魂を鎮めて邪気を払う性質を持つ祇園祭は、概ね荒々しい祭りが多いものだが、その「発散」の仕方はご覧のように地域によって様々なのである。それではまた、次回の奇祭旅で!

今回のオカワリジャパン

今回のグルメ情報。呼子は、全国的にも珍しいイカの生け作りで有名。イカは繊細な生き物なので、少しのストレスで変色し、マズくなってしまう。生け簀から揚げたばかりの鮮度抜群のイカをすばやく調理する繊細な包丁裁きと特殊な技術があって成立する伝統芸だ。

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