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【光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+】祭りの火を灯し続ける、コロナ禍の挑戦

更新日:2021/5/10 リエコ
【光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+】祭りの火を灯し続ける、コロナ禍の挑戦

東京・高円寺の夏の風物詩「東京高円寺阿波おどり」とデジタル技術を融合させた舞台公演「光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+」の関係者向けに実施したモニター公演が、2021年2月19日、杉並区の劇場「座・高円寺」で行われた。

区や地元商店街の観光振興を目的とし、感染症対策を施した中、関係者向けに公開されたこのイベント。新しい祭りの形として継続的な開催を目指し奮闘する、主催者たちの姿を取材した。

コロナ禍の高円寺

そこかしこに阿波おどりのアートもある、高円寺の街

東京高円寺阿波おどりは今から60年以上前、地域おこしとして始まった。毎年8月末に開催され、今では街と住む人の生活に欠かせない存在となっている。しかし、新型コロナウィルスの流行により2020年度の祭りは中止。練習もままならない状況となっている。高円寺には阿波おどりだけでなく、大道芸、高円寺フェス、演芸祭りと年間を通しイベントがあり、またライブハウスや飲食店など、パンデミックの影響を直接的に受ける業種が多い。

高円寺の踊り手の一人である筆者も、街を歩きながら、どこからかお囃子の幻聴が聞こえるくらい、しょんぼりした1年を送った。なじみの阿波踊り用品店で足袋を買ったら、「こんな時に足袋が売れた」と喜んでくださったのは、涙が出る思いだった。

それくらい、新型コロナウィルスは街と生活を変えた。

「光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+」とは?

今回紹介する取り組みの源流にある「東京高円寺阿波おどり plus+」は、NPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会(以下「振興協会」)が阿波踊りの普及の為に行ってきた体験プログラムである。開催場所は、東京高円寺阿波おどりの活動本拠地であり、杉並の文化・芸術発信の拠点でもある「座・高円寺」。来場者は公演を見るだけでなく、阿波踊りの知識を得たり、踊りや鳴り物の体験ができるイベントとして好評を得ていたが、新型コロナウィルスの流行により、このプログラムも中止となった。

そこで、同イベントに新しい生活様式に適合する形とプロジェクションマッピングによるデジタル演出を加えてアップデートされたのが「光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+」である。

鳴り物の音に合わせてプログラミングされた光が投影され、踊り手たちはその光の中で踊る。また、東京高円寺阿波おどりの歴史や、衣装、鳴り物の説明もある。感染防止のため立って行えないのは残念だが、手だけを使った踊りの体験も行われた。

音に注目されるので、鳴り物の迫力、美しさ、深さ、静けさが際立つ、これまでと全く違った演出となる。これは見せる側として大きなチャレンジである一方で、音を光で可視化することにより、踊り手のエネルギーが見る側にわかりやすく伝わるプログラムになっている。

なぜ、開催するのか?主催者たちの思い

このイベントを支えるのは、振興協会ほか、杉並区、プロジェクションマッピングを手がける株式会社ネイキッド、東武トップツアーズ株式会社、株式会社オマツリジャパンで構成された「高円寺観光推進協議会」。

観光庁「あたらしいツーリズム」事業として採択。目的は地域と阿波おどりが一丸となり、コロナ禍に向き合いながらそれぞれの事業を継続すること。イベントで誘客し、地域商店街等への送客することを目指す。

イベントの感染症対策としては、入り口の検温、アルコール消毒、間をあけての着席、名簿の管理等、万全を期す。舞台上を光が埋め尽くすので、少ない人数でも舞台演出ができることは、踊り手側にも安心である。

公演の前には、座・高円寺2階のカフェ「アンリ・ファーブル」にて、「座・高円寺喫茶」を開催。支配人の大谷さんの「アンリ・ファーブルを杉並区のモデルルームのようにしたい」との言葉の通り、杉並区内のグルメやスウィーツを紹介し、地域活性化への貢献を図る。

カフェ アンリ・ファーブルの大谷支配人は徳島出身。阿波踊りへの思い入れはひとしおだ。

振興協会専務理事・事務局長の冨澤武幸さんは、このイベントを一つの柱として定期開催したいと語る。2021年度夏の祭りも、それ以外の出演も約束できない状況。しかし、街おこしとして始まった阿波踊りである以上、それを通じた商店街への人の流れを作り続けることを目指す。いつもと同じ形でなくても、何らかの形で阿波踊りの火を灯し続けようとの思いである。

振興協会専務理事・事務局長の冨澤武幸さん振興協会専務理事・事務局長の冨澤武幸さん

これからの東京高円寺阿波おどり

2021年2月末現在、新型コロナウィルスの状況を鑑み、本公演は関係者のみに向けた限定公開。複数回のパイロット公演を行い、一般向けの公演開始に向けた準備を行う。

出演機会があることは、踊り手・関係者のモチベーションを維持するうえでも欠かせない。活動するのは夏だけではない。毎週のように集まって練習をし、年間を通して出演の機会もある。音を出したり、人が集まることもできない今、阿波おどりに対する思いを持ち続け、レベルを維持することも難しい。そんな時に、出演の機会があることは、踊り手にとって希望の光となる。

出演した江戸っ子連の平野連長は語る。「我々は阿波踊りのチームを意味する『連』で繋がっている。新型コロナウィルスで、この「連」「連なり」を再確認した。祭りも練習も激減した今、誰かが何かをやっていくこと、発信し続けることが大切。誰かがやらなくちゃいけない」と。

江戸っ子連 平野連長

思い返せば、10年前の東日本大震災の年、電力使用自粛のため、東京高円寺阿波おどりは時間を繰り上げて、17:00-20:00の開催となった。すると、祭りの後、飲食店へ流れる観客が増え商店街が潤い、子連れの踊り手や観客にも参加しやすい祭りとなった。困難はデメリットばかりではない。

「阿波おどりがある」と思うことは、踊り手にとって、街にとって、かけがえのない目標、喜びである。リスクに屈するのではなく、今できる万全のことをやって、少しでも前に進むこと。祭りの火を灯し続けるため、高円寺の挑戦は続く。

光も踊る 東京高円寺阿波おどりplus+

■URL :https://www.koenji-awaodori-plus.com

■主 催:高円寺観光推進協議会

■連 携:杉並区/特定非営利活動法人東京高円寺阿波おどり振興協会/株式会社ネイキッド/株式会社オマツリジャパン/東武トップツアーズ株式会社

■協 力:高円寺商店街連合会/座・高円寺/高円寺阿波おどり連協会

※新型コロナウィルス感染拡大の影響を鑑み、本公演の一般開催日は未定。
※内容に変更が生じる場合があります。

東京高円寺阿波おどり

HP:http://www.koenji-awaodori.com/

※例年8月の第4土日開催。2021年度の開催は未定。

リエコ
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
阿波踊りが大好きです。
古いものが好きすぎて、日舞や歌舞伎を見て、味噌やら醤油やら作って、もう自分が何歳かわかりません。

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