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茨城県古河市に伝わる古河永代太々神楽。その保存会の方々の活動に迫る。

2019/3/15
2024/3/7
茨城県古河市に伝わる古河永代太々神楽。その保存会の方々の活動に迫る。

東京から1時間で行ける茨城県古河市。ここには古くから神楽「古河永代太々神楽(こがえいだいだいだいかぐら)」が受け継がれています。

今回は、この神楽を今も伝えている古河神楽保存会の方々にインタビューしました。

古河市に伝わる伝統的な神楽

古河永代太々神楽は古河市で300年前には奉納されたと伝えられる神楽です。十二座(12の演目)で構成されており、全て演じるには4時間以上かかります。最初の奉納舞は享保13年3月13日に行われ、それから約300年の間、一年も欠くことなく舞われています。現在、古河市では毎年4月と11月に神社の神楽殿で奉納されています。

保存会に引き継がれている神楽面の裏側には「享保十六亥三月十九日」(1731年)と書かれ,約300年前の歴史を裏付けています。もともとこの神楽はこの地域に住む神職によりお祭りの際に奉納されてきました。しかし、継承が難しくなった昭和初期に保存会が結成され、住民有志によって現在まで引き継がれてきました。


享保十六亥三月十九日 原舟月

伝統を継承する古河神楽保存会

現在、「永代太々神楽」を演じているのは古河神楽保存会の方々です。この保存会は 昭和4年(1929年)新郷村中田地区に,神職だけでは演じることが難しくなった神楽を継承していくことを目的に結成されました。結成翌年の昭和5年(1930年)に十二座の演目を奉納し、それから約90年間継承してきました。

保存会を結成した方々は「伝統を正確に受け継ぐ」ために、4時間に及ぶ十二座全ての動きを文字として残しました。現在もこれに則って演じられるため、90年前と変わらぬ演舞を鑑賞することが出来ます。


十一座 手力男の舞・十二座 大山祇の舞


十座 尉の舞

「古河永代太々神楽」の演目では、「採り物」(神の依代である御幣や鈴、榊、鏡、稲穂、弓、太刀(一振)、鉾、鎌、釣竿、五色の御幣、鍬、扇など)を用いた演目が演じられます。

十二座それぞれには以下のようにテーマがあります。

一座:幣舞(へいまい)
国常立命(くにのとこたちのみこと)による舞。

二座:五行の舞
五柱の神が様々な万物を産み出す姿を舞う。

三座:諾册(なぎなみ)の舞
イザナギとイザナミが天之御柱(あまのみはしら)を中心に婚儀を行う。

四座:翁(おきな)の舞
思兼神(おもいかねのかみ)が岩戸に隠れた天照大御神(あまてらすおおみかみ)に、どうしたら出てきてもらえるかを考え、ひらめく姿を舞う。

五座:猿田(さるた)の舞
猿田彦神が槍を持ち様々な災いを退け、幾多の道を選び進む姿を舞う。

六座:蟇目(ひきめ)の舞
弓の名人である天稚彦命(あめのわかひこのみこと)が弓を授かり地上に降りて災いや邪気を射る姿を舞う。

七座:天狐(てんこ)・白狐(びゃっこ)の舞
女狐が田を耕し、その後男狐とともに仲睦まじく種をまく姿を舞う。

八座:正稲荷の舞
宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が狐のまいた種が実ったことに感謝し、稲を刈り取る。豊かな実りに感謝する舞。

九座:蛭子(ひるこ)の舞
恵比寿様と呼ばれる事代主神(ことしろぬしのかみ)が魚を釣るさまを舞う。

十座:尉(じょう)の舞
天児屋根命(あめのこやねのみこと)が祝詞を奏上、布刀玉命(ふとだまのみこと)が占い、天照御神の岩戸からのお出ましを祈願した舞。

十一座:岩戸開きの舞
天照大御神が隠れた岩戸を開けるため天鈿女命(あめのうずめ)や手力男命(あめのたぢからお)が舞う。

十二座:大山祗(おおやまつみ)の舞
大山祇の命による舞。三つ目の山の神で、豊かに実った五穀を皆に分け与える。 舞いながら餅などをまく。


十一座 天鈿女命の舞

神楽を受け継ぐための保存会の奮闘記

全国の伝統文化団体の喫緊の課題である「後継者不足」。この課題を乗り越える為に、古河神楽保存会では地域の子供達を対象とした取り組みを行っています。それが伝統文化「こが神楽 親子教室」、小学校へ出張しての「神楽体験授業」です。

【伝統文化 こが神楽 親子教室】

この教室では、毎月2回練習会を行います。練習の最後には、公開で発表会が行われます。2018年で3年目となりますが、子供達の練習の様子を見ている親の中には子供達と一緒に練習や発表会に参加される方もいらっしゃいます。子供達に神楽の演目を体験してもらい、そこから「古河永代太々神楽」や保存会に関心を持ってもらうことで未来の後継者を育てていこうとしています。

【小学校での神楽体験授業】

古河市市内の小学校に出向き 2時間のスケジュールで神楽を体験していただく授業を行っています。 太鼓・つづみ・笛・鈴のリズムで神楽の調子を整えることから始まり、舞では足の運び方や腕の振り方などを組み合わせ、「優雅な舞はこのように組み合わせて舞う。」と言うところを体験する授業です。
平成27年度から始まった「神楽体験授業」は、のべ10校に小学校で実施しています。

古河永代太々神楽

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