※2020年は新型コロナウイルス蔓延の影響で中止となりました。 2021年には無事に開催されることを願いつつ、コロナウイルスの終息のために感染予防を心がけましょう。 (2020年6月20日 編集部)
毎年7月に開催される祇園祭「小倉祇園太鼓」。博多から車で約60分の位置にある、福岡県北九州市小倉北区。お祭りが行われる期間は、毎年7月第三土曜日を含む三日間です。祭礼行事が歴史的変遷の中で太鼓芸を中心としたものに発展した希有な事例として「国指定重要無形民俗文化財」にも指定された「小倉祇園太鼓」をご紹介!
(この記事は2019年に公開されたものを再編集しています。2020年6月20日 編集部更新)
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1.見逃せないのはココ!
①160基の太鼓が一斉に鳴り響く最終日の打ち納め「太鼓広場」
【太鼓広場】
例年7月第三土曜日後の日曜日 18時頃~20時頃 小文字通り
小倉祇園太鼓の最終日を飾る打ち納めの祭事です。あたりが暗くなりだす頃、全長約550mの会場に山車約80台・約4,000人が集まり、提灯にあかりを灯した山車の巡行が始まります。約160基の太鼓が一斉に鳴り響く様子は大迫力で見応えがあります。子ども達のお囃子、威勢の良い大人の太鼓とヂャンガラ、年配の方々による気配りのある進行など、3世代が協働して楽しむこのお祭りならではの情景をご堪能ください。(引用:小倉祇園太鼓WEBサイト http://kokuragiondaiko.jp/introduction/)
② 熱い真剣勝負!「競演大会」
【競技大会】
例年7月第三土曜日 15時頃~19時頃 小倉城大手門前広場
小倉城のすぐそば、「大手門前広場」で行われる小倉祇園太鼓保存振興会主催のメイン事業のひとつです。 「あやっさやれ やれやれー」綱を曳く子ども達がお囃子を唄い、趣向を凝らした山車飾りと勇壮な太鼓との調和を披露します。ゆっくりとした打法(正調打ち)こそ難度が高く、この日のために練習を積んだバチさばき・足さばき・意気込みを約5分間の太鼓にぶつける様は、まさに真剣勝負の世界です。(審査は、太鼓やヂャンガラの打ち方・響き・位置をはじめ、衣装の統一感やお囃子との一体感などを総合的に判断します。)(引用:小倉祇園太鼓WEBサイト http://kokuragiondaiko.jp/introduction/)
③ジモティーじゃなくてもたたける!体験コーナー「おもてなし太鼓」
人間、見ていたらやりたくなるものです。誰でもOK!実際に叩いてOK!な体験コーナーがあります。しかも、ただ太鼓が置いてあるだけじゃなくて、太鼓競演大会に出場する団体が教えてくれるとのこと。これは嬉しい!!!20日・21日の両日とも開催していますので、時間を合わせて実際に触りに行きたいですね。
例年7月第三土曜日 13:00~14:00 勝山橋
例年7月第三土曜日後の日曜日 13:00~14:00 ちゅうぎん通り・みかげ通り
2.小倉祇園太鼓は他の太鼓と何が違うの?
太鼓は地域によって特色が違う楽器ですが、小倉祇園太鼓は他の地域とどういった違いがあるのでしょうか。
①全国的にも珍しい両面打ち
太鼓には面が二つありますね、近年の演奏用の太鼓は多少の音程の差はあるものの、だいたい同じ高さになるように皮を張っています。ところがどっこい!小倉祇園太鼓は、音の高さに差が出るように、わざと皮の張り加減を調節しています。この音程の差が大事!同時に鳴ったときのハーモニーが気持ちいいのです。「ソプラノ2人で歌う」じゃなくて「ソプラノとアルトの2人でハモる」みたいな意味合いです。片面だけ使い続けると皮が消耗して、両面で音の高低差ができてしまいます。なので多くの演奏用太鼓はなるべく使用頻度を均一にすることが多いです。それなのに、わざと音に高低差がついているなんて!皆さん、お持ちの太鼓が片面だけ低くなりすぎてしまって困っていますか?これを機に小倉祇園太鼓を取り入れてみては?あれ、お持ちではない?笑
②太鼓とヂャンガラによる演奏で三拍がひとかたまり
低い音がする面を「ドロ」と呼びます。単調なリズムを正しくきざんで、テンポをキープする役割。ずっと同じリズムを打つので、新しいことに気が散りがちな、動物占いがペガサス気質の方(わたし)はより集中が必要でした!
ドロと比べて高い音がする面を「カン」と呼びます。色々なリズムパターンを打つので、ドロよりも技術を要するといわれています。体験ではドロ側がやっとでしたが、いつかカンもやってみたい!
太鼓の各面それぞれ違う動きをしていますので、この記事を読んだ皆さんは「あ!あっちがドロであっちがカンだ!」と発見する楽しみができましたね!
それから太鼓だけではなく、ヂャンガラと言われる鉦があります。
ドロもカンもマスターした人が演奏できるという、あの、太鼓の調律リード役!ヂャンガラ!!!!
TwitterやFacebookのプロフィール欄に「特技ヂャンガラ」と書かれていたら、その人は、数々の壁を乗り越え、ドロもカンも打ちこなしてきた人生の深みをお持ちの方かもしれませんねぇ。
「ドロ」、「カン」、「ヂャンガラ」この三役で三拍子のリズムを刻んでいき、そして忘れてはいけない、子どもたちの元気なお囃子!
お祭り気分がますます盛り上がります!
③山車と一緒に歩きながら太鼓を叩く
歩きながらの太鼓演奏を円滑にするために太鼓山車が工夫されています。この山車も町内によって違いますし、
山車だけではなく、太鼓の打ち方が若干違うんです。
鍛冶町と魚町三丁目の違いを見せてもらいましたが、鍛治町が、左右の手を交差して叩く打法で、魚町三丁目は、両腕を元気よく回していました。その他、左手は回すだけで、右手を上下させる叩き方もあるそうです。
「山車がたくさん出ていてそれぞれの特色が見られて楽しいよ~」どころか、お気に入りの打ち方、お気に入りの奏者を見つけてはみてはいかがでしょうか!
「たけのこ派?きのこ派?」なんてもう古い!(私はたけのこ派ですけどね)この記事を読んで小倉祇園太鼓を見た皆さんは「鍛冶町派?魚町派?」なんていうディープな会話ができちゃいますね(ディープすぎる)
3.400年の歴史 小倉のにぎわいは”太鼓の祇園”からはじまる
小倉祇園祭りは江戸時代初期にはじまり、今年2019年でなんと、400周年を迎えます。
無病息災等を祈念する祭事として小倉藩主細川忠興が京都から祇園祭を取り入れたのが始まり。山車に太鼓を据え付け、和太鼓中心とした今の形になったのは明治頃で、町中が勇ましい太鼓の音で賑わったそう。会長の話しでは「今は22時までと規制があるが、昔、祭り期間中は一晩中鳴らしていてよかった。むしろ鳴りやまぬように、飲んではたたいて、また飲んではたたいていたよ。」とのこと。和太鼓って防音施設ならどこでも練習できるわけではないんです。ライブハウスやコンサートホールでも、ドラムはOKだけど和太鼓はダメ、というところがあるくらい。現代では演奏場所、練習場所に困る楽器なので、町中で叩き放題だなんて、こんな嬉しいことないですよ。余談ですけど、私は太鼓始めたばかりのころ、スタジオ代節約のために人里離れた河原で練習してたら、結局響いちゃってたみたいで通報されちゃったことがあります。太鼓あるあるです(よね?)。
4.最後に
小倉祇園太鼓保存振興会では「小倉のにぎわいは”太鼓の祇園”からはじまる」と掲げて、今後の盛り上がりにもますます力を入れているようです。
400周年の今年は、記念誌を発行したり、歴史展や写真展を開催したり、小学校や一般、外国人向けの普及活動などイベントが盛りだくさん。
この400周年をきっかけに、大事にされてきた想いを知る人が増えて、紡ぐ歴史が末永く続きますように・・・