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京都・下鴨神社のお月見が尊い!中秋の「名月管絃祭」で王朝舞や琵琶など都の雅を堪能!

2023/9/27
2023/9/27
京都・下鴨神社のお月見が尊い!中秋の「名月管絃祭」で王朝舞や琵琶など都の雅を堪能!

2023年9月29日、京都・下鴨神社で「名月管絃祭」が行われます。中秋の名月に合わせて行われるこの催し、雅楽や王朝舞を堪能し、名月を愛でるという風雅の極み。この記事では、2017年の写真とともに、2023年の開催情報をお届けします。

京都の雅なお月見で王朝舞や琵琶を堪能

2021年の中秋の名月は9月21日。
毎年、中秋の名月の日に京都の下鴨神社で行われる「名月管絃祭」では、世界最古のオーケストラといわれる雅楽や絢爛豪華な王朝舞を見ることができます。また、斎庭には名月を楽しむための観月茶席も設けられます。

今回は、月明かりのもと行われた2017年の名月管絃祭を振り返ってレポート。天地空の音を奏でる雅楽をはじめ、琵琶や箏の演奏とともに楽しむ、京都の雅なお月見の宴をお伝えします。

世界遺産 下鴨神社とは?

京都駅からバスで約30分。出町柳駅で降りると鴨川がY字にわかれる分岐点が目の前に広がります。そこからは3万6千坪からなる聖なる「糺の森(ただすのもり)」。足元には小川、そして背が高く、大きな広葉樹の森が真っ直ぐと下鴨神社へと続きます。

鴨川の下流にあるため、親しみをこめて下鴨神社と呼ばれていますが、実は正式名称が別にあります。本当の名前は賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)。
京都三大祭りのひとつで源氏物語にも描かれた「葵祭」も下鴨神社のお祭りです。

平安の宮廷社会から生まれた「名月管絃祭」

その昔、朝廷より神様の御霊の田である「御戸代(みとしろ)」が奉納され、五穀豊穣・天下泰平を祈願した御戸代会(え)の祭儀が現在の名月管絃祭となっていきました。

管弦は世界で最も古いオーケストラとも呼ばれ、平安時代に天皇や貴族が遊びで奏でていたのがはじまりです。指揮者のいない管絃では、奏者同士が間合いをはかって演奏するのが特徴で、現在は主に笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)・琵琶・箏(そう)・鞨鼓(かっこ)・太鼓・鉦鼓(しょうこ)という楽器構成で演奏されています。

この宮廷社会で演奏されていた管弦が下鴨神社では昭和38年から一般公開されました。

雅楽は天地空の音色

写真:管弦 平安雅楽会「越天楽・陪臚」

篝火の炎がゆらめく中で響く楽の音。

雅楽の音色は天地空を表しており、笙はパイプオルガンのルーツとなる楽器で、天から降り注ぐ光を表す音色と言われています。
篳篥(ひちりき)はオーボエやクラリネットのルーツ。地上の音、人の声を奏でるとされています。
龍笛は空の音。この横笛からは天地の間を飛翔する龍の鳴き声ともいわれる音色が響き渡ります。

尺八や筝曲、筑前琵琶「那須与一」の奉納演奏

平成29年「名月管絃祭」では、『尺八』新都山流 本曲「鶴の巣籠」、新都山流「秋の野」、『筝曲』錦 綾子社中「琵琶湖周航の歌」「浜辺の歌」「椰子の実」「Axis アクシス」「カノン」が奉納演奏されました。

雅楽といえば、曲名を知らずとも誰もがどこかで耳にしたことがある有名な「越天楽(えてんらく)」をはじめ、筝でこんな現代物のアップテンポな曲も奏するのかという、飽きさせないセットリストが次々に奏でられます。

写真:筑前琵琶 京都旭城会 「茶臼山」「那須与一」

そして琵琶といえば、やっぱり一度は聴いてみたいのが「那須与一」。
どうしても扇の的を見事に撃ち落とす場面の歌詞に耳を傾けてしまいます。
語りと演奏に惹きこまれ、心の中で静かに拍手喝采。

琵琶自体を聴く機会がなかなかありませんが、合奏で聴けたというのはとても貴重な体験でした。

月明かりのもと、静かに管絃祭は続きます。

絢爛豪華な王朝舞

舞楽では管弦と違い、管楽器と打楽器のみによる編成になります。
野外演奏が多いため弦楽器を用いず、大太鼓(だだいこ)や大鉦鼓(だいしょうこ)を使って演奏されます。

そして一般的に雅楽では笙・篳篥・笛などの楽器ができるようになってから舞を習います。
曲が体の中に入った状態で舞う舞人たち。豪華な衣装を身につけた雅な舞に心奪われます。

写真:舞楽 平安雅楽会「賀殿(かてん)」

最初に披露された舞「賀殿」は赤系統の色の襲装束(かさねしょうぞく)に専用の兜が特徴の左方の平舞(ひらまい:文舞/ぶんのまい)※。賀殿という名前から新築祝いにも奉納演舞されることが多い曲です。

※左方(さほう)とは日本から大陸に向かって左の方にある中国の系統の楽舞を源流とするもので、朝鮮半島系の楽舞を源流とするものは右方(うほう)とし、それぞれ左舞(さまい)、右舞(うまい)とも呼びます。平舞はゆるやかなテンポのゆったりした舞です。

続いて童舞(わらわまい)「胡蝶」。
仏の声で鳴くという迦陵頻(かりょうびん)の答舞(とうぶ:先に演じる左舞の対となる右舞)です。
可愛らしい子供たちの舞は見るだけでも微笑ましいものですが、羽の形や模様はそれぞれの舞楽の会によって少しずつ異なるため、違いを見るのも楽しみのひとつです。

最後は「蘭陵王」。
兵士の部下たちが見惚れるほど美しすぎるため、獰猛な仮面をかぶって士気を高め勝利したといわれる蘭陵王長恭(らんりょうおうちょうきょう)。右手に桴(ばち)、左手に剣印(けんいん)を持ち、武将が馬上にいる姿を表した舞です。

以上、下鴨神社の名月管絃祭の様子をお届けしました。
舞が好きなので3曲も見られて良かったです。貴重な文化がこれからも受け継がれていく平和な世の中でありますようにと月明かりに願いました。

みなさまもぜひ、中秋の名月には下鴨神社を訪れ、名月管絃祭で京都の雅なお月見を体験してみてください。

2023年の開催情報!

日時:2023年9月29日 (金)17:30~

場所:下鴨神社(京都府京都市左京区下鴨泉川町59)

料金:1,000円 お茶席

アクセス:市バス205「下鴨神社前」下車

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