こんにちは。「民俗芸能の数百年に亘る伝承のすごさ」に感動しているどんぐり圭子です。
今回は、11月23日(土)に宮崎市で行われる“民俗芸能まつり”をご紹介しますね。保存・継承を支援し、普及に努める宮崎市が取組む一大イベントです。市内の芸能が一堂に会して、一度に見られるという年一回の機会をぜひお見逃しなく!
どんなまつり?
「みやざき民俗芸能まつり」は、1987年(昭和62年)に始まり、今年で33回目を迎えます。宮崎市のそれぞれの地域で伝えられてきた様々な民俗芸能のうち、毎年、5~7の団体が天気に左右されない大きなホールの舞台で披露します。
今年の参加団体は、高屋神社神楽・青島臼太鼓踊り・曽我兄弟踊り・下小松なぎなた踊り・細江神楽と、ゲスト出演として、宮崎県綾町から宮原唐人踊りです。
参加する民俗芸能団体をご紹介
今回参加する芸能を大雑把に見渡して分類すると、次のようになります。
神楽系統
宮崎県は神楽の宝庫です。県北山間部で冬にある夜神楽が有名ですが、宮崎平野の水田地帯で伝承されてきた春にある昼神楽にも大変興味深い神楽がたくさん伝承されています。
元々は、田植え前の五穀豊穣を予祝、祈願する稲作と密接な関係にある行事です。「清め、祓い(はらい)、魂鎮目(たましずめ)」の神事を神聖な場所で行います。
◆ 高屋神社(たかやじんじゃ)神楽
高屋神社神楽は、3月に15、6番を奉納します。高屋神社境内に作る舞処は、それは見事で独特です。鬼神系の舞いが多く、他に修験の影響を受けた舞い、増殖儀礼の舞いなどが伝わっています。
保存会から一言
『「三人剣」をその刀の力で、大いに邪気を払ってまいります。三人の息の合ったところ、一人一人の個性豊かな舞いをご覧ください。』
★高屋神社神楽の「鬼神舞」は、いつもは五穀豊穣の願いを神に届け、民衆の救済を神が与える様子を鬼神が舞いますが、今回は、特別に現代感覚での解釈、表現にチャレンジし、伝統と現代の融合を試みます。お楽しみに!
◆ 細江(ほそえ)神楽
細江神楽は、現在13番が伝わっています。稲作地帯の神楽らしく、かまどのすすのついたしゃもじを持ち、かごを背負い、種もみの入った藁包みを腰に下げた田の神が登場する場面があります。
この2カ所の神楽には、嫁女(よめじょ)の舞いに滑稽なちょっかいが出され、笑いを誘います。子孫繁栄、五穀豊穣は祈られ、饌供撒き(せんぐまき)といって大量の餅が撒かれます。太鼓のリズムにも共通性から神楽の伝播に思いをはせることができます。今回の祭りで、リズムの効き比べをしてみてはいかがでしょう。
保存会から一言
『今回の見どころは3つ! 1つめは、5人全員で杵と箕を持ち合って輪になり、箕の下をくぐってまた元の輪に戻るところ、2つ目は、男神と女神で餅を搗いているうちに仲むつまじく激しく絡み合うところ、3つ目は、4人の男神が井桁に組んだ杵の上に餅の入った箕を持った女神が立って、五穀豊穣と子孫繁栄を願い四方八方に餅を撒いてご利益をお裾分けするところです。ヒヤヒヤ、ドキドキの楽しいこの舞を参考にすれば子孫繁栄間違いなし!』
風流(ふりゅう)系統
風流とは、元々は雅やかなものという意味でしたが、太鼓・鼓・笛・鉦などの囃子に合せて、そろいの扮装をし、歌いながら踊る群舞となっていきました。魂を鎮めたり、悪霊を退散させたりするために踊られます。
◆ 青島臼太鼓踊り
青島臼太鼓踊りは、豊臣秀吉による朝鮮半島出兵の際、飫肥藩士の士気を鼓舞し、相手を威かくするために踊ったのが始まりと言われています。県内には、数多くの臼太鼓踊りがあり、そのほとんどが太鼓を腹部につけ、背に旗を負い、笠を被って鉦のリズムに合わせて踊ります。ところが、青島臼太鼓踊りの踊り手は、太鼓も旗も身に着けず、鬼面を着け、紙蓑を頭からかぶって激しく踊ります。名前は臼太鼓踊りですが、芸態は、大変ユニークなものとなっています。
詳しくはこちら http://www.miyazaki-archive.jp/d-museum/mch/details/view/2014
フェイスブックもあります https://www.facebook.com/aoshimausudaikoodorihozonkai/
保存会から一言
『来場者の皆さまを勇壮な踊りで魅了し、まつりを盛り上げていけるよう、全力で披露させていただきます。』
◆ 下小松なぎなた踊り
踊りの由来は定かではありませんが、昔、武士に無礼打ちになった農民の遺児姉弟が親の仇討ちを決意し、姉はなぎなた、弟は鎖鎌で武道に励む姿を表現したものと言われています。姉弟に扮した踊り手が4人1組となり、鎌となぎなたを打合せながら激しい立ち回りを演じる勇壮な踊りです。
保存会より一言
『ナギナタ、カマの打ち合いに気合を込め、火花の一つでも飛ばせるような迫力ある踊りを披露したいと思います。』
◆ 曽我兄弟踊り
12世紀の史実「曽我の五郎・十郎の兄弟が父を殺した工藤祐経を討った仇討ち」をテーマにした踊りです。封建時代の人々の考え方や美意識と合致して、芝居がたくさん作られ日本中に広がりました。宮崎県佐土原町(さどわらちょう)には、約150年前に上方から歌が流れ伝わったと言い伝えられています。戦前は、地区の長男が踊っていましたが、戦中、祭りを絶やさないために女性が踊り、それが今に伝わります。大変りりしい若武者に扮した女性が踊ります。
詳しくはこちら http://www.miten.jp/miten/modules/addon_saruki/index.php/frame20151025.html
保存会から一言
『苦難を乗り越え見事本懐を遂げるくだりを、太鼓・撥・唄とが一体になって演じます。勇壮な雰囲気をお楽しみください。屋外で演じる際は、松明に点火するんですよ!』
綾町より特別ゲスト
◆ 宮原唐人踊り
350年くらい前、琉球王からの貢ぎ物はことごとく海賊に奪われていました。そこで、このような滑稽な衣装の人々の中に貢ぎ物を持った人を忍ばせて、無事に送り届けることができたと伝わっています。海賊に捕らわれたら、この踊りを見せて油断させたようです。
宮崎市文化財課・岩満さんにインタビュー
『 民俗芸能は、古代より五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を願って、踊り、舞い、唄い継がれて来ました。それぞれに地域性があり、表現の違いがあり、そこに面白さを感じられると思います。今日に至るまで、この伝統を守り続けて来られた人々の努力は、大変なものであったと思います。この伝統にこめられた思い、また、繋いでこられた人々の努力を汲みながら、鑑賞していただきたいと思います。』
開催の詳細
◆日 時 令和元年11月23日(土)
◆開演 13:00 (開場 12:30)
◆終演 15:00
場 所 宮崎市市民プラザ オルブライトホール
入場料 無料
最寄バス停 橘通1丁目
駐車場 松橋駐車場(無料)、市民プラザ地下駐車場(有料)、市役所第5駐車場(無料)
ぜひお越しください。