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毎年7月11日~13日にモンゴルの首都ウランバートルで開催されるスポーツの祭典「ナーダム」
2021年の夏には世界のスポーツの祭典のため、各国からトップアスリートが東京に集結します。各々の国や地域で予選を勝ち抜いた選手によって繰り広げられる熱戦には誰しもが興奮することでしょう。中央アジアの草原を国土とするモンゴルでは、毎年7月11日~13日に首都のウランバートルで開催されるスポーツの祭典「ナーダム」が国民的行事となっています。3日間の大会でモンゴルNo1を争う競技は、競馬、モンゴル相撲のブフ、弓射の3種目です。いずれも草原に生きるモンゴル民族の伝統に深く根差しており、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。
騎馬隊のパレードで始まる「ナーダム」の開会セレモニー
「ナーダム」は、ウランバートルの中心に設けられるスフバートル広場から、メイン会場のスタジアムに向かう騎馬隊のパレードで始まります。
騎馬隊がゲートを潜ってスタジアムに入ると、「ナーダム」開会のセレモニーが行われます。セレモニーでは人と馬が一体となったパーフォーマンスが行われます。騎馬民族のエネルギーがスタジアム内に溢れる中、躍動的な民族舞踊が披露や、馬頭琴などの伝統民族楽器の音色やモンゴル固有の歌唱であるホーミーが会場全体に響き、ユニークな民族色を感じることができます。
メインスタジアムで行われるモンゴル相撲のブフと弓射
約1時間の開会セレモニーが終わると、モンゴル相撲と弓射の競技が始まります。モンゴル相撲は日本の相撲とは異なり土俵がありません。競技者の膝、肘、頭、背中などが地面につけるまで勝負は決まりません。実力が互角の場合は、長時間にわたって組み合うことになります。年によっては1000人を超える力士が参戦することもあり、頂点に立つには10回の取り組みに勝つ必要があります。
弓射では、長さ約1メートルの矢を、長さ120~170センチの弓から放ちます。的までの距離は男性75メートル、女性65メートルです。的の中心を射抜くことは至難の業に違いありませんが、的をしっかりと目に捉えることも実力の内といえるかもしれません。
ウランバートル郊外の中央アジアの草原を疾走する競馬
モンゴル相撲と弓射は、スタジアムで行われますが、競馬はウランバートル郊外の草原で行われます。馬の年齢によって協議の距離が異なり、2歳馬は15キロ、3歳馬は20キロ、4歳馬は25キロ、5歳馬は28キロ、6歳馬以上は30キロとなります。馬に跨る騎手は体重の軽い10歳前後の少年少女達です。小さな騎手が巧みに馬をコントロールし、土埃をあげながら中央アジアの草原を疾走する勇姿を見ると、見ているだけでも血が熱くなることでしょう。
中央アジアの草原を国土とするモンゴルで国民が最も熱狂するイベントは、毎年7月11日~13日に首都ウランバートルで開催されるスポーツの祭典「ナーダム」でしょう。開会式のセレモニーでは人馬一体となったパーフォーマンスに騎馬民族のエネルギーが漲ります。式典に続くモンゴル相撲のブフ、弓射、競馬の競技にもモンゴル民族の伝統を強く感じることができます。