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「長瀞火祭り」伝統の火渡修行が迫力満点|観光経済新聞

2020/9/26
2020/10/1
「長瀞火祭り」伝統の火渡修行が迫力満点|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

伝統の火渡修行が迫力満点

 埼玉県の北西部に位置する秩父路に春の訪れを告げるのは長瀞火祭り。行者が燃え盛る炎の中に飛び込み、裸足で走り抜ける荒行を行うことが最大の特徴だ。火渡修行は、真言宗醍醐派の総本山とされる京都の醍醐寺で行われていた紫燈護摩(さいとうごま)と呼ばれる加持祈祷を起源としている。

 長瀞火祭りの開催日は、毎年3月の第1日曜日。午前10時ごろから秩父鉄道の長瀞駅前広場や宝登山麓の火祭り広場で、郷土獅子舞や秩父屋台ばやしの奉納が行われ、祭りが始まる。秩父の各地に伝わる伝統の獅子舞が次々に演じられる。

 正午前後になると、行者や獅子舞が長瀞駅前に集結し、列をなして火祭り会場に向かって歩き始める。練行と呼ばれる行列には例年千人を超える人々が参加している。

 長瀞の街には、行者が吹き鳴らすほら貝の音や、獅子舞が打ち鳴らすお囃子(はやし)の音が響きわたる。行者が身にまとう法衣の鮮やかな彩りや、獅子舞のユニークな姿も見逃すことはできないだろう。

 練行の長い行列が火祭り広場に到着すると、柴燈護摩が始まる。まず行者が弓を放ち、神聖なエネルギーを宿す結界を作る。その後、刀を持った行者が現れ、「臨兵闘者皆陣列在前」の九つの文字を切って厄払いする。そして、清められた結界に不動明王を招くために火がたかれる。火祭り会場の中央に組んだ大きな護摩壇に火を付けると、もくもくと黒い煙が湧き上がり、煙の中に巨大な火柱が出現する。赤い炎の中には不動明王の姿が浮かび上がってきそうだ。

 火渡修行の道場が完成すると、行者たちが順に燃え盛る炎の中に裸足で突っ込んでいく。迫力満点だ。仏道の修行を行う行者が、護摩によって清められた火を渡ると、護摩の霊火により煩悩や穢れがたき清められ、人々に宝福招来や開運厄除をもたらすと言われている。行者たちの修行が終わり、炎の勢いがおさまれば、一般の奉賛者が火を渡り、厄除けの祈願を行うことができる。

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