羽柴秀吉ゆかりの歴史ある城下町でありながら、ガラスの街として西洋の雰囲気を感じることのできる滋賀県長浜市では、毎年「長浜曳山祭」というお祭りが開催されます。
2016年には、「京都祇園祭の山鉾行事」(京都市)、「博多祇園山笠行事」(福岡市)などと共にユネスコ無形文化遺産にも登録されており、間違いなく日本の誇るべきお祭りの一つでしょう。
今回は、4月9日から17日にわたって多彩な行事の行われる長浜曳山祭の中心である15日に現場へ足を運んでみました。
目次
1 長浜曳山祭の目玉「子ども歌舞伎」
様々な見所のある長浜曳山祭の中でも一番の目玉と言えるのがなんといっても「子ども歌舞伎」です。曳山を持つ町の5歳から12歳くらいまでの男の子が、3月の下旬から4月のお祭り当日まで約3週間もの特訓を重ねて本格的な歌舞伎を演じます。
見てくださいこの表情。
この子は「うつけ者」を演じているのですが、一瞬を切り取ってもそう見えますよね。
もちろん女方を演じるのも男の子。
こんな小さな子も一所懸命演じています。
長浜には全部で13の曳山が伝わっており、毎年その内の4基が入れ替わりで出番山として登場して、毎年新しい演目を山ごとに用意して披露します。
上演時間は約40分にも及び、約3週間でこれを仕上げるのですから本当に凄いですよね。
これを一日の間に各山4回ずつ公演します。
こんな商店街のアーケードの下でやったり、
長浜市街地の中心である「黒壁スクエア」の真横でやったりもします。
そして、どの公演も平日にも拘らず本当にたくさんの人で溢れていました。
2 由来はかの戦国武将?曳山祭の深い歴史とは…
そもそも「長浜曳山祭」は長浜八幡宮の春の例祭として奉納されるものです。
歴史は安土桃山時代にも遡り、かの有名な羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が長浜城主であった時に、初めての男の子が生まれたことを喜び、城下の人々に金(きん)を振る舞い、町民がこれをもとに12台の山車を作って八幡宮の祭礼に曳き回したのが始まりだといわれています。
そんなお祭りは長浜という街の発展に伴い発展し、装飾などもどんどんと豪華なものになっていきました。
江戸時代の職人による伝統工芸を結集した精巧な飾金具や彫刻、
ヨーロッパなどで製作された幕など、
芸術の宝庫ともいうべき曳山は「動く美術館」とも呼ばれています。
3 なんと学校も休みに!地域ぐるみでお祭りを盛り上げる!
そして、このお祭りの大きな特徴として挙げられるのは、曳山祭の日には街がお祭り一色に変わることでしょう。
もちろん他のお祭りでも街全体がお祭り騒ぎになることはたくさんありがますが、長浜曳山祭の凄いところは、15日が平日であれば地域の学校も合わせてお休みになるところ。
男の子の中には子ども歌舞伎の演者や裏方をしている子がいるのはもちろん、女の子も笛を吹いたりしてお祭りにかかわったりもするのです。
そのため、お祭りで役割を持っていない子も、ほとんどが友人の晴れ姿を見に曳山祭に足を運ぶのです。
だから今年も平日にも拘らず街は子どもたちの姿で溢れていました。
伝統文化の継承の難しさに悩む地域が多い中、こういう風に誰もが子どもの頃に地域のお祭りに触れる慣習ができあがっているのは、とても重要なことだなと思います。
3 お祭りの時期以外も曳山は楽しめる
関西圏以外からも毎年多くの人が訪れる長浜曳山祭。
とはいえ、なかなか平日には行けないという方も多いはず。
そんな方は曳山祭以外の時期に長浜に行ってみるのもいいかもしれません。
もちろん、子ども歌舞伎を楽しむことはできませんが、「曳山博物館」には次年度の出番山の内二つが常時展示されており、本物の曳山をいつでも見ることができるようになっています。
ちなみに、他の曳山普段は写真のような蔵に収納されていますよ。
4 長浜曳山祭を訪れよう!
今回は期間のメインの日程である15日に足を運びましたが、4月9日から17日の期間には他にも様々な行事が行われます。
なかには「裸参り」という若衆がサラシ姿で街を練り歩くようなものもあり、曳山祭の違った一面も見ることができたりもします。
日本三大山車祭の一つにも数えられる長浜曳山祭。
みなさん是非足を運んでみてください!