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担い手の確保、文化継承の秘策とは?中能登町・獅子舞保存会のキーマンに聞く!

更新日:2021/10/22 いなむ
担い手の確保、文化継承の秘策とは?中能登町・獅子舞保存会のキーマンに聞く!

能登半島の中能登町小竹にて、獅子舞に関する展示会が開かれた。10月10日14時~16時の日程で行われ、今年で開催2年目だ。近年は新型コロナウイルスの影響により秋祭りの獅子舞が実施できないため、せめて展示会を開いて文化を伝えていこうという事例も増えているように思う。
そのような社会情勢の中で、小竹地区では様々な工夫を凝らし、獅子舞を継承している。この地域の獅子舞運営について知るべく、小竹獅子舞保存会に所属しながら獅子舞の調査・研究に携わる諏訪雄士さん(上記写真)にお話を伺った。展示の内容とともに紹介させていただきたい。

喜楽館で行われた獅子舞展示の様子は?

中能登町小竹は能登半島の中部に位置し、山に囲まれた農業が盛んな地域である。この地域の交流拠点の1つとなっているのが、ふれあい交流館・喜楽館だ。ここは例年だと獅子舞の練習場であり、今回は獅子舞の展示会が開催された。

今回の展示会でお披露目されたのは、大正時代から今に至るまでの祭礼用獅子頭やダンボールで作られた獅子頭、獅子に対峙する天狗の烏帽子、太刀などの祭り道具だ。獅子頭は近年、富山県の井波で制作されたようで、白くて長い髪の毛が印象的である。

獅子頭

烏帽子

また、今回は展示だけでなく、花を打ってくださる人(ご祝儀をくださる人のこと)がいると、喜楽館の玄関前で、獅子舞の披露が行われた。蚊帳なし衣装なしの簡易的なものだが、2年間全く練習していないにもかかわらず演技は素晴らしいものだった。わずか2時間の展示でありながらたくさんご祝儀が集まり、時間内に複数回に分けて披露されていた。

獅子舞の演目の数が多い

今回、小竹獅子舞保存会の諏訪雄士さんに、この地域の獅子舞の特色について伺うことができた。その中で、演目数と担い手の数がとても多いことが印象的だった。

まずは、演目数について見てみよう。小竹の獅子舞の基本的な演目は12種類あり、ヨンブリ、ヒトアシ、ケン、ソデカブリ、バンガエシ、エッサリ、サッサイ、ドウチュウブリ、タチフリ、チリリン、キリコ、シシコロシという名前がつけられている。また、神社へ入る際に舞う「七五三のオネリコミ~ヨンブリ」、慶事のあった家でタチフリの前段に天狗と獅子の攻防を加えて舞う「ニラミのタチフリ」、更に特別な場合に披露される「ヨンブリクズシ」等これらを含めると演目は15種類にも及ぶ。

一番最初は必ずヨンブリから始まり、ドウチュウブリは神社から神輿と共に出る時と、地区回りを終えて神社に戻る時に参道で舞い、サッサイは主に祝い事のあった家で舞う。また、チリリン、タチフリは神社や古墳、当屋と呼ばれるクジ引きで選ばれた宿の前だけで舞うこととなっている。獅子舞の祭りの最後は、チリリン・キリコ・シシコロシの順番で締めくくられるが、喜び、眠らせる、断ち切るという意味が込められているという。

獅子舞グッズで演目や意味を伝える

諏訪さんはこれらの演目について表記した「獅子舞タオル」を作って、今回の展示に合わせて配っておられた。タオルに演目を表記するという発想はなかったので、とても斬新な取り組みだと思ったし、演目に対する想いも感じられた。

また、グッズに関していえば、獅子舞のカード型(名刺サイズで財布や壁等に貼れる)の「厄除け御守り」を制作されたそうだ。厄除けの意味の三角マークや、獅子舞の蚊帳の模様が使われている。また、反対の面には、獅子舞に込められた意味も書いてある。小竹神社の祭神である「加具土命」と「住吉三神」から「火」と「水」をイメージし、それぞれ赤と青の二色をメインにしたデザインの御守りを制作した。

A面

B面

獅子舞の担い手確保と組織作り

この地域の獅子舞は、演目の数が多いだけでなく、担い手の数も多い。昭和62年に保存会が発足して年齢制限なしで30人くらいの人数で運営されている。最年長では60代の方がいて、7キロくらいの獅子頭を持つこともあるという。壮年団を作っても、青年団が卒業して壮年団にシフトするから、年齢を区切ると人が足りなくなる場合もある。それならば年齢制限を撤廃しようということで、いまの保存会の形で運営しているというわけだ。

昔、中能登町小竹に住んでいたが、いまは違うところに住んでいるという人でも、祭りの日は帰ってきて獅子を舞うこともある。また、子供も何年生が何人いるというのを把握していて、いつになると担い手が何人になるかを計算しているし、いつどこでどの舞いを誰がしたのかを記録している。また、一昨年、大学コンソーシアムで金沢大学の学生が取り上げてくれて、動画制作も行われた。このように、大学と連携する中で、外部の人が関わる機会もあるのはとても重要だ。

諏訪さんに「担い手のモチベーションはどこにあるのですか?」と尋ねたところ「皆獅子舞に対して想いを持っている」とおっしゃっていた。諏訪さん自身も体力づくりのため、40歳を過ぎてからは獅子舞の祭りの前に1~2ヶ月はランニングをすることもあるという。また、獅子舞が各家を回る中で「自宅前での親子共演」を楽しみにしているメンバーもいるようだ。そのような想いの強さもあってか、中能登町全体でも獅子舞の継続率が高く、現在でも獅子舞を継続している地域は8割に及ぶ。

獅子舞に積極的に関わる人を増やすには?

現在、全国的に人口減少で祭りの担い手不足が進む中、この小竹獅子舞保存会の事例は、様々な地域にとって参考になるかもしれない。積極的に獅子舞に関わる人を増やしていくのは、なかなかできることではない。

それを地域の義務として片付けることはできるが、そこに一人一人の熱量が付いてくる必要がある。そういう意味で、今回のように限られた条件の中で、獅子舞の展示、演舞、グッズの制作などできることを積極的に行っていくことが大切だ。そして、大学との連携事業のように外の人が地域の獅子舞の魅力を地元の人に伝えていくような機会も重要になるだろう。

小竹獅子舞保存会の獅子舞は単に100年以上続く郷土芸能として伝承されるだけではなく、地域の多世代交流 や、子供たちの郷土愛を育むこと 、地区全体の活性化等の役割を果たしている。そのような獅子舞の多面的な役割を見つめながら、そこに関わる人を増やしていくことも必要である。

今後も活動に注目!展示や動画のご紹介

ちなみに、諏訪さんは羽咋市の「はくい獅子舞保存活性化実行委員会」のメンバーでもあり、毎年2月には獅子頭の展示会も実施されている。この活動にも、ぜひご注目いただけたら嬉しい(昨年度の展示の様子はこちら)。また、通常の秋祭りで行われている小竹獅子舞保存会の獅子舞の様子については、このYoutubeチャンネルに多数動画をアップされているようなので、ぜひご覧いただきたい。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
獅子舞マニアです。ライターやカメラマンをしています。趣味は、獅子舞の鼻を撮影することです。その他クレイジーな祭りにも潜入します。

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