2021年7月24日(土)
背後に山が迫った港町“鼠ヶ関”(ねずがせき)。
風光明媚なこの町で希望への祈りを込めた、大きな花火が咲き誇りました。
お祭りが盛んな町”鼠ヶ関”
新潟県との県境に位置する、鼠ヶ関地区。
2005年、広域合併により鶴岡市になりました。海が綺麗な町です。
清流が注ぎ込む海は栄養豊かで、とても良い漁場であります。
年中を通してお祭りが盛んなのが特徴です。
5月:大漁旗フェスティバル
6月:イカ祭り
7月:海開き
9月:酒と肴と鼠ヶ関 鰆祭り
9月:エビ祭り
10月:カニ祭り
魅力的なお祭りの連続!
たくさんの人々を呼び、みんなに楽しんでもらおうとの心意気のある町です。
以前は50年連続で花火大会が開催されていたのですが、諸般の理由により途絶えていました。
それが昨年のシークレット花火により、21年ぶりに海辺での花火が復活したのです。
行き場を失った花火玉を上げたい
鼠ヶ関花火 実行委員長の佐藤 丈典さんより、今回の鼠ヶ関の花火を打ち上げるに至った経緯をお伺いしました。
2020年。コロナ禍により、日本全国の花火大会が中止の連鎖。
同じ鶴岡市内で行われる全国屈指の大規模花火「赤川花火大会」も中止になりました。
そこで、赤川花火大会を運営する”アカハナ会”より、
「行き場を失った花火玉を上げて花火師を助けたい。その為に花火を上げる会場を探している。」
と打診があり、「お祭りが無くなって寂しい思いをしている町民を元気づけたい!」と思っていた鼠ヶ関地区が全面協力。シークレット形式で350発、6分間の花火が打ち上がりました。
そうして打ち上げられた、昨年のシークレット花火。
打上10分前に本降りの雨に降られ、一時はどうなるかと思いきや、5分前には雨は上がり、澄んだ空に大輪の花火を咲かせる事が出来た「奇跡の花火」になった様です。
花火が終わった後は、地元の方々はみんな涙し、大感動。
小学生が「この花火で勇気をもらった!」と新聞のインタビューに応えてくれた事に感銘を受け、2021年も開催したい!と奮い立ったそうです。
今回のクラウドファンディングでは、「奇跡の花火をもう一度!」と名付け、多くの支援を受けました。
夕暮れ絶景!日本海
当日の様子。ここは日本海。海へ沈みゆく夕日がとても美しい!
この日は雲の条件も良く、茜色に染まった空と、映し出す海原の情景が艶やかでした。
観覧場 海辺ギリギリで楽しめます!
大玉ぞろい!圧巻の演出
なんと!!
直径330mにも開花する”10号玉”が34発もΣ(・ω・ノ)ノ!
メインの担当業者さんは、長野県 伊那火工堀内煙火店。
赤川花火大会では毎年、700mのスーパーワイドスターマインを打ち上げる、世界屈指の技術集団です。
今回の花火では、伊那火工堀内煙火店の他にも、
・山形県 安藤煙火店
・愛知県 磯谷煙火店
・山梨県 マルゴー
・長野県 紅屋青木煙火店
の4社の10号玉が打ち上げられました!
全て芸術玉!!
何て贅沢で幸せな時間なのでしょう(*’▽’)
オープニング花火
磯谷煙火店 コスモ
磯谷煙火店 光の宝石
夕空に上がる、崇高な造形美。
幻想と悠久の果てを感じさせる、尊い情景でした。
2社(伊那火工堀内煙火店&安藤煙火店)共同スターマイン
テーマ ~勇気~
一般的な”スターマイン”ではなく、全て、5号、7~10号と、中玉と大玉のみ!
地上部を演出するのは
・[トラ](銀or金色の吹き出しがV字状に打たれる)
・[ザラ](カラフルな色彩の光が線or束になって放射状に打たれる)
のワイドな展開です。打ち上げ幅は、200m以上です!
3色のザラが海面を彩り、錦冠(金色の花火)が優雅に舞い、序章を告げます。
鮮やかな色彩の八方咲き(円状では無く、花形や放射状の独創的な造形もの)が登場!
和火(炭火色の薄いオレンジ色。炭の燃える色の花火)のワイドで、侘びさびの世界へ誘います。
カラフルパステル登場!
私自身、大好きな八方咲きが次々と咲きます!!
伊那火工堀内煙火店らしい、存在感のある力強い光跡です。
絶え間なく咲き続ける色彩と造形に、気持ちが踊ります。
いよいよ佳境へ入ります。
八重芯(内側に2層の芯があり、全体で3層構造になる花火)の10号玉と、
芯入り(内側に層があり、全体で2層構造になる花火)の5号玉が、
ワイドで迫ります!!!
全身で感じる、圧巻の迫力は、
天も海も照らす、荘厳な神殿の如し。
地球の胎動、天地を揺らす祭典。
たたみかける大玉の轟きに、高揚感が沸き上がり、目頭が熱くなる感動の世界でした。
そして、四重芯(内側に4層の芯があり、全体で5層構造になる花火)が打ち上げられました!
昇り小花(昇る最中に、小さくパッと幾つも左右に咲く小さい花火)もカラフルです!
四重芯は、製作に途方もない手間が掛かる為、競技大会以外では、滅多にお目に掛かれません。
伊那火工堀内煙火店さんの心意気により、特別に披露して頂いたようです。
夜空を埋め尽くす、錦冠でフィナーレ。
さらに、フィナーレの後には、特別なサプライズが用意されていました!
赤川花火大会では、2011年の東日本大震災からの復興を願う、”希望の光”というプログラムがあります。地上をカラフルで躍動するザラが疾走し、上空を20号玉が照らす、壮大な花火です。
そんな”希望の光”を彷彿とさせる花火。
MCの「これから打ち上げる花火に、想いを込めて下さい」のメッセージに心打たれました!
のどかな港町で、丁寧に、尊く、大きく、咲き続けた花火。
数では無く、質の高い大玉で魅了し、日本の花火の真髄を体感できた花火大会でした。
冒頭でも触れた通り、鼠ヶ関はお祭りが盛んな町なので、来年はそのお祭りにも行ってみたいと思いました。
関係者の皆さま、本当にありがとうございました!