本日7/13は「オカルト記念日」です。映画『エクソシスト』の日本公開されたことを記念して制定されました。
この映画が公開されたのは1974年(昭和49年)。当時の日本は「オカルト」という言葉が一般化する前でしたが、寺社のお祭や縁日で盛んに「見世物小屋」が開かれ、奇々怪界な世界がエンターテイメントとして存在していました。
そんな「見世物小屋」ですが、現代の日本でもわずかながら楽しむことができる場所があることをご存知でしょうか。この記事では見世物小屋を体験する方法と、その内容をご紹介します。
見世物小屋とは?
あなたは見世物小屋と言うとどのような印象を持ちますか?「見世物小屋」という言葉を聞いたことがある方は、顔が2つある人や手や足が無い人など、奇形児や障害者が観衆の前に晒されるという印象があるかも知れませんが、それは過去の話です。
まだ現代の見世物小屋に馴染みのない方に向けて、日本と西洋に分けて見世物小屋の歴史をご紹介します。
日本における見世物小屋
日本の見世物小屋は、現代におけるサーカス・お化け屋敷・動物園・美術館などの複合的な出し物を披露するパフォーマンス集団です。パフォーマーの中には、やはり身体に障害を持つ方もいたようです。見世物小屋の始まりは、室町時代と言われており当時は庶民の娯楽として親しまれていたそうです。
江戸時代後期には、300軒あまりの見世物小屋が日本全国にあったと言われています。当時の見世物小屋では、曲芸師によるアクロバティックな演出や馬上で行う早替り、カラクリ人形の披露、像や狼などの動物たちの曲芸、人魚や河童のミイラの展示などがありました。また、時には葛飾北斎によるライブペイントも行われていたそうです。
昭和の中期まで盛んだった見世物小屋ですが、昭和50年頃になると障害者を舞台に立たせることへの批判やテレビの普及により見世物小屋は衰退していきました。
西洋における見世物小屋
海外の見世物小屋は、主に奇形の体を持つ人たちのパフォーマンス集団で、サーカスの隣で開催していることから「サイドショー」と呼ばれていました。また、パフォーマーとして、双子の体が繋がっている結合双生児の方や、通常の大人よりも背が低い小人症の方、手足のいずれかまたは全てが生まれつき無い四肢欠損の方、皮膚が魚の鱗のようになる魚鱗癬(ぎょせんりん)の方などの奇形の体(フリークス)の人が所属していることから「フリークスショー」とも呼ばれていました。
フリークショーは、16世紀半ば頃にイギリスの大衆娯楽の1つとなったそうです。19世紀にはイギリスとアメリカで人気をはせ、1840年から1940年までは肉体的な欠陥だけでなく、精神的な欠陥を持つ人たち、奇妙なパフォーマンスを披露する者も加わったと言われています。
20世紀初頭に身体障害は、病気や遺伝的変異によるものという認識が高まり、身体障害者に対しての認識は徐々に見直されていく流れとなりました。その後、学術面を除き、フリークスの展示を禁止する法律が定められたためフリークショーは衰退していきました。
見世物小屋を楽しめるのは…なんと東京・新宿?
日本における見世物小屋や海外におけるフリークショーでは、非現実的なパフォーマンスが行われていたようですが、社会の変化と共に衰退したことが分かりました。そのため、現在は見世物小屋のショーを見る機会はほとんどありません。
しかし、毎年11月に関東で盛んに行われる「酉の市」において、見世物小屋を楽しむことができます。東京新宿、花園神社で行われる酉の市では毎年興行が行われ、ここぞとばかりに見物客でごった返します。
#新宿 の #花園神社 の #酉の市 で #見世物小屋 を楽しみにしている皆さんに朗報
今年の見世物小屋は #一の酉 と #二の酉 で演者と演目がいくつか入れ替えてるもよう
一の酉で見世物を見た方も、二の酉で新しい演目が見られるようです pic.twitter.com/89Ya4zeE7O— 見世物 (@yabukomono) November 12, 2018
見世物小屋の概要
花園神社・酉の市の見世物小屋のパフォーマンスに触れる前に、ショーを観るにあたっての料金システムやショーが開催されている時間などをご紹介します。
料金
演劇やパフォーマンスを観る場合、一般的には入場前に料金を支払います。しかし、花園神社・酉の市で開催される見世物小屋は、ショーを観た後に小屋の出口で料金を支払います。過去に開催された際のショー観覧料金は以下のとおりです。
・大人800円
・小人500円
・幼児300円
見世物小屋のショーならではの貴重な体験にしては、リーズナブルな料金です。公演1回あたり20分程度ですが、20分で会場から出なくてはならないわけではなく、入退場自由のシステムです。
時間
見世物小屋の開催時間をご紹介する前に、2021年に酉の市が行われる日程を確認しましょう。
一の酉:2021/11/9(金)
二の酉:2021/11/21(日)
例年、見世物小屋は酉の市の日とその前日の前夜祭で開催されています。見世物小屋は、概ね4時から深夜の1時過ぎまで公演を行っていますが、本年は新型コロナウイルス蔓延の影響を受けて変更の可能性があることをご留意ください。
アクセス
花園神社へは、電車・バス・車を使って行くことができます。電車やバスからのアクセスはそれぞれ2通りありアクセス方法は以下のとおりです。
●電車の場合
・東京メトロ丸の内線・都営新宿線・副都心線の「新宿三丁目駅」E2出口より徒歩0分
・JR・京王線・小田急線の「新宿駅」東口より徒歩7分
●自動車の場合
首都高速4号新宿線の新宿出口より5分
見世物小屋の見どころ
新宿花園神社の酉の市、見世物小屋が最高でした。 pic.twitter.com/hSSMFaCFm4
— オマツリジャパン (@omatsurijapan) November 20, 2019
見世物小屋の中では何が行われている?
花園神社への行き方や見世物小屋のショーが開催されている時間帯を把握できたところで、実際に見世物小屋の内部でどのようなパフォーマンスが行われているのか気になってきたと思います。ここからは、見世物小屋で行われるパフォーマンスなどをご紹介します。
日本で最後の見世物小屋!
花園神社・酉の市で見世物小屋を開催しているのは、大寅興行社という一座です。戦前から、通常の見世物小屋よりも大きくサーカスよりも小さい見世物小屋を運営しており、数多くの見世物小屋よりも華やかな一座だったと言われています。戦後に衰退した見世物小屋ですが、大寅興行社は時代の流れに乗りつつ形を変えて生き残りました。
現代で見世物小屋と呼ばれるショーを開催しているのは、日本では大寅興行社のみと言われています。大寅興行社によるショーを観ることができるのは、花園神社・酉の市とその他に1・2ヶ所程度だそうです。
怖いけど見ていたい…凄すぎるパフォーマンス
花園神社・酉の市の見世物小屋では、「デリシャスウィートス」や「ゴキブリコンビナート」などの団体による過激なパフォーマンスが行われます。ここからは、パフォーマンスの一部を抜粋してご紹介します。
・年頃の女
レトロ感満載のメイクや衣装に身を包み、ちょっとエロスな女性3人が中年オヤジの演奏に合わせてどこか懐かしいダンスを魅せます。見世物小屋らしい独特の世界観です。
・火を噴く女
美しい女性がロウソクの蝋を口に垂らしたと思うとドラゴンのように火を噴きます。パフォーマンスとしてはありふれていますが、生で観ることで火炎噴射の迫力を体感できるでしょう。
・串刺し
左の頬から右の頬まで銀の串を貫通させて、それで重いものを引くパフォーマンスです。地味ですが、千切れるのではないかと息を呑む光景です。
・ヤモリ女
エロ可愛いヤモリ女が芋虫やゲジゲジを観客の前で美味しそうに咀嚼します。観客からは悲鳴が上がり、完全に引いてしまう方もいるでしょう。
・狂ったOL
ホチキスの芯をひたすら顔面や腕に刺し続けます。一見地味ですが、痛みに過敏に反応する方や流血に耐性がない方にはかなりショッキングな光景です。
上記はほんの一部で、他にも「巨大な寄生虫を体に飼う男」「逃げ遅れた病気老人」「メコン川流域の首狩族」など名前だけ見ても独特な世界観のパフォーマーがおり、ハレンチすれすれのショーもありそうです。入場から退場まで心拍数は上がりっぱなしで、入ったことを後悔しても出口に足が向かないというかつてなく奇妙なを体験するでしょう。
前回2019年に行われた花園神社でのパフォーマンスは「デリシャスウィートス」による「カッパ御殿」でした!
本日初日
花園神社酉の市 見世物小屋
デリシャスウィートスの【カッパ御殿】
17時過ぎ〜深夜1時過ぎ頃までぐるぐる回しでお届け*
まもなく開幕いたします◎11月
一の酉 7日(木) 8日(金)
二の酉 19日(火)20日(水)於:東京新宿 花園神社 pic.twitter.com/rqtn6qJvXT
— デリシャスウィートス (@derisyasweets) November 7, 2019
見世物小屋の注意点
花園神社・酉の市の見世物小屋でリサーチをしても、内部の映像や画像はあまり流出していませんよね。それは、見世物小屋の内部は撮影禁止というルールがあるからです。大まかにどのようなショーを行っているかは広まっていますが、内部の衝撃的な光景は足を運んだ人しか知ることができません。花園神社・酉の市に参加して、そこでしか味わえない貴重な体験をしましょう。
江戸から続く日本で最後の見世物小屋。
こういうのは無くならないでほしい。#酉の市 pic.twitter.com/FrUZU0rgaA— ウルフルケイスケ (@ulfulkeisuke) December 2, 2017
これまで「見世物小屋」というと、負のイメージを持っていた方も少なくないでしょう。しかし、見世物小屋のパフォーマンスは、昔も今も驚異的で人々の興味関心を惹きつける芸術です。
社会の移り変わりとともに衰退した見世物小屋の過激なパフォーマンスは、酉の市や一部の劇場でしか観ることが出来ません。今年はあなたも、花園神社の酉の市で異世界を体験してみてはいかがでしょうか?自分の中で何かが変わるかもしれません。