成田最後の夏祭り
日本の玄関口、成田国際空港があることでもお馴染みの千葉県成田市。この成田市内の南西に位置する宗吾(そうご)地区に、宗吾霊堂(そうご れいどう)と称される鳴鐘山東勝寺があります。
東勝寺は桓武天皇の時代に坂上田村麻呂が房総を平定した際、戦没者供養のために建立されたと伝わる寺院です。そして江戸時代の当地域の義民、佐倉宗吾(別名:木内惣五郎)が祀られていることから、宗吾霊堂と呼ばれ近隣の方々に大切にされています。
この宗吾霊堂で、毎年9月第一土日に開催されているお祭りを今回はご紹介。そのお祭りの名は「御待夜祭(おたいやさい)」です!
宗吾霊堂の大本堂
2023年は9月2日と3日の二日間で開催される「御待夜祭」
御待夜祭のはじまりに欠かせない人物が、義民と称される佐倉宗吾。佐倉宗吾は江戸時代初期に生きた公津村(現在の成田市の一部)の名主で、領民の救済のために立ち上がり、四代将軍徳川家綱に直訴をした人物です。領民のためとはいえ、当時将軍への直訴は御法度。その罪で宗吾は1653年8月3日に公津ヶ原で磔刑にされてしまいました。
その後、佐倉宗吾の150年忌供養を迎えた1802年に笹踊りが行われ、このことが御待夜祭のはじまりとなったと言われています。なお、お祭り名になっている「たいや」とは元々「逮夜」と書かれ、忌日(命日)の前夜を指す仏教用語。御待夜祭は佐倉宗吾の命日(新暦で9月3日とされる)に合わせて開催されてきましたが、2004年からは毎年9月の第1土・日曜日に行われています。
宗吾霊堂境内には、宗吾の活躍を66体の人形で紹介する施設があります
今年は9月2日と3日のうちの初日に現地へとやって来ましたので、お祭りの様子をご紹介します。
屋台が曳き廻される
御待夜祭の見どころの一つが、屋台の曳き回し!両日とも13時から17時が子どもの部。18時から22時が大人の部として屋台が宗吾の街を練り歩きます。早速その屋台が曳かれて前方からやって来ました。
屋根に二人の男衆が乗るスタイルで、屋台が曳かれていきます。
昼間は子どもが主役ということで、地元の子どもたちが元気いっぱい綱を曳いていますよ!
屋台行列の先頭には、お寺のお祭りらしく万灯が先導しているのも特徴的。カラフルな花が付いていてかわいらしいですね。
宗吾霊堂横の屋台蔵を出発した屋台は、宗吾の各地域を次々に練り歩いていきます。
宗吾地区は門前町であり、さらに成田山新勝寺や印旛沼をつなぐ道(旧成田街道から分岐した宗吾街道は宗吾霊堂の前を通り印旛沼までを繋いでいる)が通っていることからも、歴史を感じさせる古い街並みが残っているのも魅力です。
お祭りの到来を知らせるように、辺りに響くのは佐原囃子。さらに歌声に合わせて屋根の上の男衆が見事な舞を見せていきます。
これはかっこいいですね!
宗吾霊堂御待夜祭へやって来ました!子どもたちによって、元気よく屋台が曳き廻されています!18時からは大人による曳き廻しもはじまる予定です!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/Ta8e6mV1nT
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) September 2, 2023
暖色系の装いに彩られた手古舞が屋台の前でお祭りに色を添えます。
宗吾の街を巡ってきた屋台行列が、宗吾霊堂の方へと戻っていきますよ。
威勢よく宗吾霊堂の門前を曲がっていく屋台。これは見応えがありますね。鼓の軽やかな音色もクセになります。
宗吾霊堂の門前を、活気よく屋台が通っていきます!#御待夜祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/t0RUHSXabm
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) September 2, 2023
境内横の道から、大本堂に向けて踊りを披露する場面も!この後子どもの部は終了となり、屋台蔵へと一旦帰っていきました。
宗吾霊堂の大本堂に向けて、屋台からパフォーマンスがされています!これは盛り上がりますね!#御待夜祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/UaTP9p0du1
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) September 2, 2023
夕闇と提灯で幻想的に
日も傾きはじめた18時、今度は大人の部による屋台の曳き廻しがはじまります。大人の部では提灯へ明かりが点き、昼間とは打って変わった屋台の姿を楽しむことができますよ!
出発に際し、再び大本堂へ向けて踊りを披露していきます。今回は大人たくさんバージョンでの披露です。
大人の部の屋台曳き廻しもはじまりました!まずは宗吾霊堂の大本堂へ向けてご挨拶。提灯に火が灯って雰囲気がありますね!#御待夜祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/xR7NJ8uJ7T
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そのまま屋台は宗吾霊堂の正面の方へ。
この時間になると日もだいぶ暮れて、提灯の輝きが一層増してきました。
大人たちが力強く綱を曳いていきます。
宗吾街道を西へ、印旛沼方面へとどんどん曳かれていく屋台。
提灯の明かりに照らされながら進む屋台行列のこの雰囲気がたまらないですね!
夕日にも照らされます。
黄昏時の空を背景に盛り上げていきますよ!
夕陽を背景に踊りが披露されていきます。この雰囲気がたまらないですね!#御待夜祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/7GKbU0KAmA
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大人の部でも屋台行列の先頭は万灯が務めます。宗吾霊堂の正面へ戻って来た頃には、すっかり真っ暗になっていました。
こちらでも踊っています。この後22時頃まで屋台が巡行されていました。
技の見せ所です!宗吾霊堂の門前で屋台を一気に90度回転させ進んでいきます!#御待夜祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/E0C5KBnFRu
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奉納演芸や護摩祈祷も
宗吾霊堂の境内にはステージが設置され、歌や踊りなどの演芸が奉納されているのも必見です!
老若男女が次々と踊りを披露していきます。これは見ていて楽しいですね。
一人で傘を使ったパフォーマンスも!
こちらは境内に歌声を響かせ、観客を盛り上げていました。
また、成田市のゆるキャラ「うなりくん」が登場する場面も。うなりくんが境内をお散歩すると「うなりく~ん!」と子どもから大人までが声をかけていて、地域で愛されているのが伝わってきました。
子どもたちと記念写真を撮るような場面もあり、これは嬉しいサービスですね。
お寺のお祭りということで、大本堂では複数回に渡り大護摩修行が行われています。この修行への行き帰りに登場する僧侶の皆様の姿が見られる時間もありました。
大本堂へ向かう僧侶の皆様
大本堂から出てきた僧侶の皆様
大本堂から出てきた僧侶の皆様
境内には露店がいっぱい
お祭りへやって来たら、露店巡りも楽しみたいですよね。御待夜祭では宗吾霊堂の広い境内いっぱいに露店が連なっているのも魅力なんです!
定番のたこ焼きやお好み焼きから、夏らしくかき氷からレモネードまであります。
焼きそばやいか焼きは、焼いている香りだけで食欲がそそられちゃいますよね。
浴衣で来ている地元の方も多く、これは夏の思い出になりそうです。
遊べる露店があるのも子どもには嬉しい!射的や金魚すくいなどがありました。
こっちは大人に嬉しい!居酒屋の露店まで登場していました。夜には座れない程の大繁盛に。
宗吾霊堂へのアクセス
・京成本線 宗吾参道駅西口より徒歩で約13分
成田山新勝寺の成田祇園祭をはじめ、成田市内各地でいくつも開催されている夏祭り。その締めくくりとなるのが9月第一土日に開催される宗吾霊堂の御待夜祭です。
本日3日も22時頃まで開催されていますので、ぜひお近くの方は来てみてください!