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女人舞楽・原笙会「柳花苑」幻の舞が復活!

更新日:2020/8/30 佐々木 美佳
女人舞楽・原笙会「柳花苑」幻の舞が復活!

文化や舞が大好きなカメラマン佐々木です。
2020年はコロナ禍によりお祭り中止が相次いでいます。三密を避けるため、お祭りがなく奉納演舞もできないため、この間に希少な文化を記録に残そう!と、スタジオ撮影を試みました。
普段、なかなか知ることのない舞楽についてシリーズでご紹介いたします。

◆舞楽とは

雅楽は「世界最古のオーケストラ」とも呼ばれており、舞楽はその雅楽の中の一種。歴史を紐解くと「日本書紀」などにも、神楽を起源として書かれているようです。
千四百年ほど前の平安時代に中国大陸や朝鮮半島から渡来した「日本で一番古い伝統文化」と言われています。

舞楽は、雅楽のうち、器楽伴奏による舞の曲をさします。
平安時代、それまでに大陸から伝わったものを中心に整えられました。
日本から大陸に向かって左の方にある中国の系統は「左舞(さまい)」と呼ばれ、赤系統の装束を着ます。
右の方にある朝鮮半島の系統は「右舞(うまい)」と呼ばれ、青(緑)系統の装束を着ます。

舞楽では弦楽器を用いず、管楽器と打楽器だけで演奏します。太鼓や大鉦鼓(おおしょうこ)など、管絃とは異なる楽器も用いられます。


写真:左方「蘭陵王」と右方「納曽利(なそり)」の番舞。(※京都市内にて撮影。一般的に雅楽は男性が舞うことが多い。写真は原笙会ではありません。)

舞楽は日本古来の伝統芸能、というイメージがありますが、実は神様に中国大陸や朝鮮半島からやってきた珍しい舞を見て楽しんでいただくという、古代アジア諸国やシルクロードの芸能に基づき、日本で整理された古典舞踊です。

◆女人舞楽・原笙会

伝統芸能・舞楽を習える「原笙会(はらしょうかい)」。
元宮内庁楽師から基本指導を受けた舞楽を兵庫県芦屋市で習えます。
通常、雅楽は笙・篳篥・笛などの楽器ができるようになってから舞を習いますが、若くて綺麗なうちに女性が舞えるようにと舞に特化しています。

創設者の原 笙子(はら しょうこ)は昭和8年に京都の神官の家に生まれて、5歳から舞楽を習い、昭和30年より民間の舞楽指導者を行った方です。
「不良少女と呼ばれて」などの小説を執筆し、このタイトルを使ったドラマが大ヒットしました。(小説の内容は雅楽を根底にしており、ドラマは全く別物)このときの印税は全て、原笙会の装束代になっています。


写真:近江神宮にて撮影 左が生川純子先生

それでは平安時代に途絶えた舞を復活し、原笙会だけが舞う曲「柳花苑」を、原笙子に唯一認められた指導者、原笙会の代表・生川純子先生にご紹介いただきましょう!

◆源氏物語の中の幻の舞「柳花苑」

源氏物語「花宴」のみに記述される舞

「頭中将、いづら(意味「どこ」)。遅し」とあれば、柳花苑といふ舞を、これは今すこし過ぐして、かかることもやと心づかひやしけむ(意味「普通の程度以上に物事をする」)、いとおもしろければ、御衣賜はりて、いとめづらしきことに人思へり。

「柳花苑」という舞の名は源氏物語のこの場面にただ一箇所出てくるだけで、他の時代の物語、和歌などにこの舞についての記述は残っていません。
というのも女舞であったこの曲の舞は、千年ほど昔に絶え、曲だけが現存していたのです。

柳花苑はどのような舞か

昭和63年秋、源氏物語に見る舞楽公演を準備中、源氏物語を研究されている方から「名も美しい柳花苑とは、どのような舞なのですか?」と言う質問を受け、女人舞楽「原笙会」創始者の原笙子は舞楽生活50年の記念に復活を思い立ちました。

平成元年4月8日、「信西古楽図」に遺された唐風装束の舞姿を参考に髪を結い上げ、男性にわたりあって仕事をし、歌を詠む教養をそなえた宮女たちが、比礼打ち振り歌垣作って遊ぶ姿を再現、平安神宮に於いて発表しました。

当会のロゴマークにもなっているこの舞は、最も大切にしている舞のひとつです。

原笙会の特徴的な舞

「柳花苑」のほかに、原笙会だけが舞う曲があります。
例えば原笙子が源氏物語の若紫をイメージした「桃李花若紫(とうりかわかむらさき)」、『現在は蛮絵装束で男性が舞っている五常楽は、昔は女舞いだった』と気がついた「厳島五常楽(いつくしまごじょうらく)」など、他では見ることのできない復活した舞があります。

◆装束は全て原笙子の仕立てたもの

装束は仕立ててもらうと何百万円とかかります。
創始者原笙子は京都の井筒装束店の八代目・與兵衛(よへい)のもとで仕立てを習い、一人で作りました。

「絵を描く方とご縁があったら描いてもらうように」と原笙子先生から説明を受けていた、無地の細帯も入門して来た日本画家の弟子に紋様を描いてもらいました。

原笙会では奈良・平安時代の装束を身にまとい、記念写真を撮ることができます。
兵庫・芦屋にお越しの際には、体験してみてはいかがでしょうか。

次回は子供のデビュー曲でもおなじみの童舞「胡蝶」について解説いたします。

童舞「胡蝶」を大人でも舞える女人舞楽・原笙会

ー生川先生、解説いただきありがとうございます!

そして奈良・薬師寺ではじめて柳花苑を見てから、いつか撮影したいと思っていた夢が叶いました。(堂内撮影禁止だったのが本当に残念)
また、他の原笙会ならではの美しい舞をスタジオでも撮影出来たら嬉しいです。

撮影協力:7studio京都

女人舞楽・原笙会
〒659-0015
兵庫県芦屋市楠町14-20-115
TEL/FAX 0797-23-1886
http://www7a.biglobe.ne.jp/~gagaku/

佐々木 美佳
この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
舞台、雅な文化、民俗風習、旅が好き。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

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