近江国一宮の夏祭り
滋賀県の県庁所在地、大津市。琵琶湖畔のこの街に、近江国一之宮の建部大社(たけべ たいしゃ)があります。建部大社の創建は古代まで遡った景行天皇46年と伝わり、また御祭神は日本武尊(やまとたけるのみこと)で、尊の死後に妃の布多遅比売命(ふたじひめのみこと)が神勅によって日本武尊を「建部大神」としてお祀りしたのがはじまりと言われています。
日本武尊が御祭神ということで、拝殿の左右には父の景行天皇や妃の布多遅比売命をはじめとした家族や家臣を祀る末社が存在するのも特徴的。横一列に末社が並ぶ姿は壮観ですよ。
この建部大社で毎年8月17日に開催されるお祭りがあります。大津祭、山王祭とともに「大津三大祭り」と称される「船幸祭(せんこうさい)」です!建部の街と琵琶湖から流れ出す瀬田川を中心に開催される船幸祭。ここからは4年ぶりの通常規模開催となったお祭りの様子をご紹介します。
お神輿の出発
船幸祭が開催される8月17日の17時前に建部大社の境内へとやってきました。神門の前には地元の子どもたちが法被を着て集合し、お祭りの開始を心待ちにしています。
子どもたちを横目に神門を抜け拝殿の方へ。提灯の付けられたお神輿が既にスタンバイしていました。
その先の拝殿奥へ行くと、こちらには関係者が集まり神事が執り行われています。
お神輿の出発に向けての大切な神事です。祝詞奏上やお祓い等が厳かに実施されました。
時を同じくして、拝殿の周りには鉢巻を巻いた男衆が集っています。まもなく拝殿前に置かれた大神輿の出発となりますよ!
あいにくの雨でカッパを被っていた大神輿ですが、出発に合わせてカッパが外されその姿を現しました。金色に輝き、赤い提灯をぐるりと屋根に付けているのが目を惹きますね。
さあ、お神輿の出発です!まず進むのは子ども神輿。
先ほど神門の前にいた子どもたちがお神輿を担ぎ、元気よく渡御していきますよ。
お次は女性だけで担ぐ女神輿も出発!
そして大人の男衆が担ぐ大神輿です。先ほどまでのお神輿と比べると一回りも二回りも大きく、存在感があります。威勢良く担がれ、二之鳥居を抜けていきました。
近江国一宮建部大社の船幸祭がはじまりました!大神輿が担ぎ上げられ出発です!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/5VIIV4V8oY
— 高橋佑馬|お祭りライター (@yuma_walking) August 17, 2023
そのまま参道の杉並木を進みます。緑の木々と金色のお神輿のコントラストが美しいですね。
木々の生い茂る長い参道を真っ直ぐ進んでいきます。
一之鳥居へ大神輿が到達。ここからは境内を出て、建部の街へと繰り出していきます!
お神輿の前を歩むのは、太鼓と鉦を響かせる皆様。その音でお祭りの開催を周りへ知らせていきます。
その後ろには、びわ湖大津観光大使のお二人が御神火を灯す提灯を持って続いていました。
建部の街へと繰り出したお神輿は、旧東海道を進んで瀬田の唐橋の袂にある瀬田浜を目指して進みます。
子ども神輿も声をあげて盛り上げますよ!古い街並みの残る通りで、風情がありますね。
大神輿もより気合を入れて担がれていきます。
琵琶湖や瀬田川は鰻の産地として知られ「瀬田鰻」という言葉もあるんだそうです。旧東海道沿いで400年続く老舗鰻屋さんの前もお神輿が通っていきました。
鰻屋さんの前では、お神輿が差し上げられる瞬間も。これは高ぶります!
船幸祭の大神輿は、こんな風に練り上げられるのですね!#祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/SRo6yR2c74
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女神輿が名所、瀬田の唐橋へとやってきました。この右側に瀬田浜があります。
大神輿も瀬田の唐橋の袂へ到着です!この辺りまで来ると、見物の方の数も多くなってきます。ここからは、陸を渡御していた様子とは打って変わって、川のお祭りへと変貌していきますよ。
瀬田川を船で進むお神輿
瀬田の唐橋から眺めた瀬田川です。奥には琵琶湖が見え、右側の船が集まっている場所が瀬田浜になります。
瀬田浜の河岸には、ずらっと露店が並び地元の子どもたちで賑わっていました。その横で、お神輿が次々に船へと乗り込んでいくんです!
さあ、大神輿が陸から船の上へと移っていきますよ。
無事、大神輿が船に乗せられました。
準備が整ったところで、船での渡御がスタートします。夕方の瀬田川を進むお神輿は、どこか幻想的な風景ですね。
瀬田川は最終的に大阪湾へと注ぐ川で、京都では宇治川、大阪では淀川と名を変え流れていきます。
船幸祭では瀬田浜から約5km下流の御旅所である黒津浜までお神輿が進み、再び瀬田浜まで帰ってくる川のお祭りを楽しむことができるのが特徴です。
瀬田の唐橋をお神輿を乗せた船がくぐりました!
氏子の皆様が乗り込んだ船が進んでいく場面も。お神輿を乗せた船をはじめ、たくさんの船が川に浮かんでいる様子は圧巻ですよ。この船での渡御の様子は、日本武尊が船団を組んで東征に向かったという故事を再現しているそうです。
クライマックスは花火大会
20時前の瀬田の唐橋です。空は暗くなり、橋がライトアップされました。
瀬田川の両岸では、まもなくはじまる花火大会に備え、たくさんの方が集まってきています。瀬田川の上空へと浮かぶ花火、楽しみですね。
花火大会の時間となり、花火が夜空へと打ち上がりました!
空高く、次々に花火が上がりました!花火が上がる時のこの音もたまらないですよね。#船幸祭 #建部大社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/CKHss2ik0c
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瀬田の唐橋の上で、花火を楽しんでいる人も多くいる様子です。
花火の打ち上げに合わせて黒津浜からお神輿が帰ってきました。花火の左下で金色に輝くものがお神輿です。
お神輿と花火の共演、美しいですね。
瀬田の唐橋をくぐり抜けていくお神輿。そしてお神輿を迎え入れる花火。美しい光景ですね!#船幸祭 #建部大社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/LNdVZW4Fcb
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お神輿を先導する、花火船なんてものもありました!
黒津浜の御旅所から帰って来たお神輿を、花火が先導します!#船幸祭 #建部大社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/D76LWYfG5b
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大輪の花火も打ち上がります。
瀬田浜に到着したお神輿は、陸へと上がりそのまま瀬田の唐橋へ。
花火が次々に打ち上がる瀬田の唐橋へ、建部大社の大神輿が入場します!#船幸祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/caSy87DoWG
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橋を渡り切り、一周していきます。
瀬田の唐橋を渡っていく、建部大社の大神輿!花火との共演に目を惹かれます!#船幸祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/YKQA93zxE6
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お神輿が瀬田の唐橋を渡り終えると、いよいよ花火もクライマックスへ。
船幸祭、大神輿が瀬田の唐橋を渡御する中での花火のクライマックスシーンです!#建部大社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/lLMokLjteU
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約1,000発打ち上げられた花火もフィナーレを迎え、瀬田川の周りからは歓声が上がっていました。
花火が終わると、あとは建部大社へとお神輿が帰っていくのみとなります。最後まで威勢良く渡御していきますよ!
船を降り、建部大社へと向かう大神輿。ラストスパートの東海道を進みます!#船幸祭 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/1f2cOXWqQf
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東海道での練り!夜になり提灯に明かりが灯り、雰囲気がありますね!#船幸祭 #建部大社 #祭り #オマツリジャパン pic.twitter.com/hBs1m4fxK6
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鳥居をくぐれば、もうラストスパートです!
夜の参道では、提灯に火が灯りお神輿を迎え入れます。
そのまま参道をお神輿は進み、社殿横の神輿蔵前へと無事帰りました。
露店や盆踊りも楽しめる
お祭りへやってきたら楽しみたいものの一つが、お祭りグルメ。そんなお祭りグルメを提供する露店が瀬田川沿いにびっしりと立ち並ぶのも船幸祭の魅力なんです!
定番のやきそばやお好み焼き、たこ焼きはもちろん、いか焼きやフランクフルト、夏らしくかき氷等も提供されていました。
鉄板で焼かれ、広がる香ばしいソースの香り。たまらないですよね。
また瀬田浜では盆踊りや和太鼓の披露も行われていました。滋賀らしく「江州音頭」で踊っているのも必見です。
建部大社へのアクセス
・京阪電気鉄道石山坂本線 唐橋前駅より徒歩約11分
・JR琵琶湖線(東海道本線) 石山駅より徒歩約21分
毎年8月17日に開催される船幸祭。陸と水上と二つのお神輿の渡御の様子が楽しめるお祭りです。ぜひこの光景を味わいに来てみてください!