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オールナイト24時間!「芝居」の語源は古代の野外フェス!?奈良・春日若宮おん祭

更新日:2023/1/6 ざきさん
オールナイト24時間!「芝居」の語源は古代の野外フェス!?奈良・春日若宮おん祭

皆様、「芝居」という言葉は聞いたことあると思います。「舞台」ではなく「芝居」。演劇が好きな方でも、そうでもない方でも、耳にしたことはある単語でしょう。この単語の由来となった祭が12月中旬に、奈良で行われます。それが12月の奈良最大の祭礼「春日若宮おん祭」です。

有名な「サンタクロースとコカ・コーラ」

2017年も残るところあと2週間強。イベント尽くしの月間ですが、最大のイベントはおそらくクリスマス(イブ含む)でしょう。クリスマスといえばサンタクロース。このサンタクロース、白い髭に赤い服が特徴ですが、実はこの姿が定着したのは1931年のこと。赤い服に白いあごひげをたくわえたやや太った姿の陽気なおじさん姿が、コカ・コーラ社のクリスマスキャンペーンの時に描かれたのがきっかけ。

コカコーラとサンタクロース

以来今日に至るまで、サンタクロースといえばこの姿。おじさん姿が好評だったというより、それだけ世界中でコカ・コーラが飲まれていたわけです。さすが世界企業。

それはさておき、日本文化に話を戻して、いざ、本題。

「芝居」という言葉の由来

皆様、「芝居」という言葉は聞いたことあると思います。「舞台」ではなく「芝居」。演劇が好きな方でも、そうでもない方でも、耳にしたことはある単語でしょう。

芝居小屋

この単語の由来となった祭が12月中旬に、奈良で行われます。

12月15~18日にかけて春日大社で行われる「春日若宮おん祭」

それは、12月15~18日にかけて春日大社で行われる「春日若宮おん祭」。「おんまつり」と発音します。厳密には7月から始まっているのですが、クライマックスが12月の3日間でして、1136年に始まって以来今日まで880年間途切れることなく行われてきた祭礼です。

この祭には深夜0時に神さまをお迎えするところからお見送りするまで2日間にわたってはいけないというルールがあります。また、神さまを迎えた日の日中は、お旅所(神さまが休憩するために設けられる場所)で、およそ7時間にわたってあらゆる伝統芸能が奉納されるのですが、その奉納が今回の本題。

12月17日に行われるこの「お旅所祭」が行われる場所が芝生なんです。そして芸能を行う場所は「芝舞台」。お客は芝に座って奉納される芸能を見てきました。

芝に座る・・・芝に居る・・・芝居

芸能を見るために芝に座る・・・芝に居る・・・から「芝居」という言葉が生まれたというわけです。芝の上で芸能を奉納する、この行事が由来というのはあまり知られていない気がします。

ちなみに「座」という言葉を演劇集団名や施設名に使うこともありますが(例:歌舞伎座、明治座、前進座)、この「座」・・・公的な場所や市場内における特定の座席(座ってみる席)という説もあります。芝に座る姿を連想しちゃいそうです。

伝統芸能「能」にも深い関わりがある「春日若宮おん祭」

この祭、実は伝統芸能「能」にも深い関わりがあります。能舞台を見たことありますか?能舞台の後ろの壁にデデンと、必ず松が描かれております。これも、おん祭由来です。

能舞台の松

おん祭の最中、田楽や猿楽などの古典芸能者が一之鳥居の傍らにある一本の松の前で芸を披露することになっておりまして、その松が春日明神が影向する(ようごう。神仏が仮の姿をとって現れること)とされております。
つまり、じつはこれ、松ではなく神様なんですね、実は。そんな祭での奉納の名残が、現在の能舞台に残っているというわけです。

12月の奈良最大の祭礼「春日若宮おん祭」。他にも「埒が明かない」の語源となった芸能もあったりしますが、なにはともあれ、是非一度「芝舞台」を現地でご覧いただけたら嬉しいです。

「あー、これが『芝居』ね」と納得いただけるかと思います。
そして舞台を見る時などに、ちょっとしたコネタに使える気がしますよ♪

今回は「芝居」のルーツのお話でした。

祭り開催情報

名称 春日若宮おん祭
開催場所 奈良県奈良市春日野町
春日大社
開催日 2023年12月15日(金)、2023年12月16日(土)、2023年12月17日(日)、2023年12月18日(月)
13:00~、16日は14:30~、17日は00:00~
主催者 春日若宮おん祭保存会事務局
アクセス 近鉄奈良線近鉄奈良駅から奈良交通春日大社本殿行きバスで10分、終点下車すぐ
関連サイト http://www.kasugataisha.or.jp/onmatsuri/
https://www.mapple.net/spot/29000927/
この記事を書いた人
山崎敬子(やまさき けいこ)

1976年生まれ。実践女子大学院文学研究科美術史学専攻修士課程卒。大学在学時から三隅治雄・西角井正大両先生から折口信夫の民俗芸能学(折口学)を学び、全国の祭礼を見て歩く。現在、玉川大学芸術学部や学習院大学さくらアカデミーなどで民俗芸能の講座を担当しているほか、(一社)鬼ごっこ協会・鬼ごっこ総合研究所、(社)日本ペンクラブ、(株)オマツリジャパンなどに所属し地域活性事業に取り組んでいる。ほか、日本サンボ連盟理事 。

【実績一例】
編集:『年中行事辞典』(三隅治雄・編/東京堂出版 2007年)
共著:『メディアの将来像』(メディア文化研究所・編/一藝社2014年)
著書:『にっぽんオニ図鑑』(じゃこめてい出版 2019年)
脚本:朗読劇『イナダヒメ語り』(武蔵一宮氷川神社 2018年)ほか
コラム:
「鬼文化コラム」:(社)鬼ごっこ協会 
「氷川風土記」:武蔵一宮氷川神社 など
漫画:
「北越雪譜」4コマ:協力/鈴木牧之記念館(新潟県南魚沼市塩沢1112-2)

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