観光経済新聞のコラム記事連載が、2019年9月14号からスタートしました!「お祭り」をフックに旅情あふれる記事を、オマツリジャパンライターの皆さんに書いていただき、毎週掲載して行きます。普段のマツログ記事とは一味違う表現で書いていただいていますので、ぜひお楽しみください。(オマツリジャパン編集部)
静御前が降臨 白拍子の舞(京都市)
神泉苑は二条城のほど近くにある東寺真言宗寺院。元は平安京大内裏の天皇のための庭園「禁苑」。毎年5月2~4日に行われる神泉苑祭では、初日に「転読」という経文をダイナミックにめくるのが特徴の「大般若経六百巻転読祈願法要」、中日は子供神輿(みこし)や稚児拝礼・お練り、野点、最終日は祇園囃子(はやし)奉納といろいろな行事が行われる。
特に注目したいのは中日に行われる、願いが叶う赤い「法成橋」で舞う「静御前の舞」。立烏帽子(たてえぼし)に公家の私服である水干(すいかん)に帯刀をした白拍子による舞が奉納される。
「静御前の舞」は寿永元年(1182年)、賀茂川や桂川も干上がるほどの大干ばつに日本は見舞われ、後白河法皇の命により、高僧100人が祈祷するも雨は降らない。次はと99人の白拍子が舞うが、それでも効力は現れない。後白河法皇が最後の1人、見目麗しい静御前に願いを託すと念願の雨雲が現れ、3日間の恵みの雨が降った、という伝説に基づいている。
白拍子は室町時代に衰退したため、なぜ男装なのかということや、どんな旋律で謡ったのかは謎に包まれている。そんな白拍子が舞う「静御前の舞」は5月3日に行われる。
また、毎年7月24日には神泉苑で祇園祭還幸祭も行われる。祇園祭は八坂神社のお祭りで、貞観11年(869年)に日本の国の数66本の鉾を禁苑であり、祈雨の霊場でもあった神泉苑に建立し、牛頭天王をまつる御神輿を送り、疫病平癒、日本の平安を祈念したことが始まり。
「ほいっと、ほいっと」という掛け声で中御座の御神輿が大勢の担ぎ手とともに神泉苑にやってきて、鳥居の前で真言密教と神道の習合儀式の後、近くの八坂神社又旅社に移動する。
祇園祭は壮大な露払いである山鉾巡行を思い浮かべるが、やはり祭の本体は御神輿。祇園祭の歴史の中心でありながら、穴場という神泉苑で御神輿をお迎えしてはいかがだろうか。