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来週開催!喜界島の奇祭「ソーメンガブー」とは?素麺が秋の夜空を乱れ飛ぶ!?

更新日:2022/11/4 ざきさん
来週開催!喜界島の奇祭「ソーメンガブー」とは?素麺が秋の夜空を乱れ飛ぶ!?

皆様、おそらく「流しソーメン」はご存知だと思います。一度は体験している方も多いかと。時にはソーメン以外も流れてきたりして…夏の風物詩のひとつだと思います。

が!しかし!今回ご紹介するお祭りは、ソーメン(乾麺)をブンなげるお祭。本当にブン投げるんです!しかも、秋の夜空の下、激しいソーメン争奪戦が巻き起こります!

今回は、珍祭というより、まさに「奇祭」な祭りをご紹介します。

鹿児島県喜界島に伝承される「ソーメンガブー」

そのお祭りは鹿児島県喜界島に伝承されております。
喜界島。鹿児島市から430キロほど南方向にある島です。鹿児島って、実は非常に広い範囲で「鹿児島県」なんですね。

さておき。ソーメンをブン投げるお祭り。

名称は「ソーメンガブー」。

100年以上続く10月頃の行事でして、実は喜界島・中里集落の豊年祭(集落の安全や豊年などを祈願するお祭り)の中の1つの行事。公民館ややぐらの上から投げられた700束(!)ほどの乾ソーメンを奪い合います。その光景は「激しい」の一言に尽きます。

祭りの由来ははっきりしていないのですが、どうやら明治時代に祭のあと集落で料理を振舞っていたのを、青年たちが娯楽としてソーメン(乾麺)を奪い合う形になったのではないか?と言われております。なんでソーメン奪いあったんだろうなあ…謎です。

しかし、きちんとしたお祭り。ルールもあります。

「年寄りにはタックルしないこと」

唯一のルールとして「年寄りにはタックルしないこと」が定められております。これは大事ですね。

あとはもう皆でワチャワチャしながらソーメンを奪い合うだけ!しかも、人が一旦手に入れたソーメンを奪い取ることも許されています。したがって、ソーメンガブーはまさしく激戦!ソーメンを手に入れてホッとしていたら、あっという間に横からブン盗られるという、本当に油断できない緊迫感あふれるお祭りなんです。

その景色について、奄美大島のコミニュティエフエム局「あまみエフエム」さんのサイトに掲載された体験記を引用させてもらいますと、

ヤグラの上から、公民館の屋上からそうめんが投げられる!

そうめんをキャッチ!

キャッチしたい人は、踊る!叫ぶ!!

そうめんが投げられる!

そうめんキャッチ!しようとすると横から奪われる!

そうめん盗まれる!

さらに闘争心が燃える!

出典 :あまみエフエム・ディ!ウェイヴ!「ガブ------!喜界町中里の島遊び

そこまでして、なぜソーメンをゲットするんだ(汗)という気がしないでもない、それが「ソーメンガブー」。

ちなみに、ソーメンをゲットすると1年間縁起が良いとまで言われております。ソーメンにそこまでの効力があるとは…ソーメンガブー恐るべし。

そこまでして奪い合うソーメンですが、実は、喜界島の特産ではないんですよね。本当に純粋に島のお兄さんたちの娯楽として始まったソーメン奪い合い、というのが、素敵です★

個人的にオススメのお祭りです。ぜひソーメンを奪い合ってみてくださいませ♪

※2022年のソーメンガブー(中里集落のシマ遊び)については、喜界町公式サイトの告知ページをご参照ください。

この記事を書いた人
山崎敬子(やまさき けいこ)

1976年生まれ。実践女子大学院文学研究科美術史学専攻修士課程卒。大学在学時から三隅治雄・西角井正大両先生から折口信夫の民俗芸能学(折口学)を学び、全国の祭礼を見て歩く。現在、玉川大学芸術学部や学習院大学さくらアカデミーなどで民俗芸能の講座を担当しているほか、(一社)鬼ごっこ協会・鬼ごっこ総合研究所、(社)日本ペンクラブ、(株)オマツリジャパンなどに所属し地域活性事業に取り組んでいる。ほか、日本サンボ連盟理事 。

【実績一例】
編集:『年中行事辞典』(三隅治雄・編/東京堂出版 2007年)
共著:『メディアの将来像』(メディア文化研究所・編/一藝社2014年)
著書:『にっぽんオニ図鑑』(じゃこめてい出版 2019年)
脚本:朗読劇『イナダヒメ語り』(武蔵一宮氷川神社 2018年)ほか
コラム:
「鬼文化コラム」:(社)鬼ごっこ協会 
「氷川風土記」:武蔵一宮氷川神社 など
漫画:
「北越雪譜」4コマ:協力/鈴木牧之記念館(新潟県南魚沼市塩沢1112-2)

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