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桔梗の寺「天得院」初夏の特別拝観

2020/7/16
2020/7/17
桔梗の寺「天得院」初夏の特別拝観

◆東福寺塔頭寺院「天得院」

東福寺はその昔、鴨川までが境内だったという広大な敷地がありました。今でも「日本最古の最大級の伽藍」といわれるほど大きなお寺で、25もの塔頭(たっちゅう/関連寺院)があります。

その中でも天得院(てんとくいん)の歴史は古く、南北朝時代に開創。歴史は古いのですが東福寺の塔頭寺院としては新しいお寺です。


写真:天得院提供

◆豊臣秀頼による方広寺の鐘銘「国家安康、君臣豊楽」

天得院を語るうえで外せないのは鐘銘事件。
京都国立博物館の近くにある方広寺には大きな鐘があり、そこには歴史的な物語が残っています。


写真:方広寺の梵鐘。天女が舞う天井画もみどころのひとつ。

五山の学僧といわれた天得院の文英清韓(ぶんえいせいかん)和尚は豊臣秀吉、秀頼から厚い信頼を受けていました。
秀頼の命により方広寺の梵鐘(重要文化財)に「国家安康、君臣豊楽」と銘を入れたところ、徳川家康から「徳川家を呪い、豊臣家の繁栄を願うものだ」と「大坂冬の陣」に発展し、天得院は破壊されてしまいます。
それから天得院は天明九年(1789)に再建され、現在にいたります。

◆桔梗の寺「天得院」初夏の特別拝観

桃山時代に作庭された枯山水庭園には苔。
桔梗をはじめ四季折々の花が目を楽しませてくれます。

万葉集では「あさがお(桔梗のこと)」と歌われ、坂本龍馬の家紋にも使われる桔梗。
寺紋は坂本家の他に今話題の明智光秀の明智家も桔梗紋です。

桔梗の花言葉は「永遠の愛、誠実、勝利、多徳、執念」。
色別の花言葉もあり、紫の桔梗の花言葉は「気品」。白の桔梗の花言葉は「清楚、従順」です。

お庭には数年前に来た時より、随分たくさんの桔梗が花を咲かせていました。

天得院の公式WEB 庭園の手入れをしている曽根造園のお話が載っています。

作業において細心の注意を払うのは、やはり桔梗を傷めないようにすることだそうで、桔梗の花は見た目の凛々しさにそぐわず、ちょっとした力ですぐにヘタってしまうのだとか。でも特に注意が必要なのは、この時期よりも冬場なんだそうで、桔梗が芽吹く場所がはっきり判別がつかず、誤って踏みつけてしまわないよう細心の注意を払わないといけないからだそうです。

このような職人の技術で桔梗が美しく咲いているのでしょう。


写真:天得院提供

他には「植木は、ほんの少し、1cm刈り方が違うだけで、それが積み重なって10年後には大きく形が違ってしまう」という桃山時代に作庭されたときのイメージを残すためのお話が印象的でした。


写真:天得院提供

今回は天得院の住職代務、願成寺(がんじょうじ)の副住職を兼任している明石さんにお話を伺いました。

桔梗の見ごろは7月はじめから中旬

「秋の七草にも数えられる桔梗ですが、桔梗の見ごろは7月初めから中旬がピーク。
天得院では300本の桔梗を見ることができます。」

苔は自然の雨だけで生きると強くなる

「苔は自然の雨だけで生えています。
茶色の部分は枯れているのではなく、葉を閉じて茶色くなっています。
水をあげないほうが強くなり、雑草も生えません。
本山東福寺では水はやりませんが、天得院では状況を見極め、水やりをします。」

◆天得院「秋の特別公開」と「願成寺 苦労削除祭」

天得院は通常非公開寺院で桔梗の咲く初夏と紅葉の美しい秋のみ一般公開が行われます。
秋の特別拝観は11月中旬からを予定。ライトアップを見られるのは秋だけです。(9月ごろに夜間拝観の有無や予約制かどうかなどの詳細決定予定。公式サイトをご参照ください。)


写真:天得院提供 秋の夜間特別拝観

明石さんに天得院だけでなく、「願成寺」の苦労削除祭のお話もお伺いしました。
毎年11月3日の文化の日に山伏たちが苦労災厄を浄化で焼き尽くす親王祭「苦労削除祭」が行われます。舞や散華のあとは大護摩、最後は参拝者も素足になっての無病息災を祈る火渡りの行に参加できます。通常非公開寺院のため、この日はとても貴重な一日です。

東福寺は京都駅からも近く、JR、京阪と電車でもバスでもアクセス抜群。
天得院や願成寺をはじめとした紅葉の名所「東福寺」の塔頭寺院を巡ったり、歴代の天皇が愛称「御寺(みてら)」と呼んでいた泉涌寺(せんにゅうじ)で、ゆったり時間を過ごしてはいかがでしょうか。
千本鳥居で大人気の伏見稲荷大社に行くのもオススメです。


写真:お抹茶と「京菓子司 鶴屋弦月」の白か紫の桔梗を模した上生菓子がいただける

京都東福寺塔頭 天得院
〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-802
075-561-5239
https://tentokuin.jp/

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