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知られざる東京の歴史に触れるおまつり「照姫まつり」とは?参加する人がハマるその世界

2024/2/15
2024/2/14
知られざる東京の歴史に触れるおまつり「照姫まつり」とは?参加する人がハマるその世界

西武池袋線、池袋駅から急行で約10分。「石神井公園駅」から南に歩いて約7分。商店街を抜けると、豊かな緑に囲まれた「石神井公園」が見えてきます。ここでは毎年春に、練馬区の二大まつりのひとつ「照姫まつり」が開催されます。

実は、この「石神井公園」には室町時代にお城があり、激しい戦が行われた場所なのです。今でも公園内の「三宝寺池」のほとりに城址が残されています。その名も「石神井城」。照姫まつりは石神井城城主豊島泰経と娘・照姫にまつわる伝説を今に伝えるおまつりで、豊島氏一族に扮した約100人が公園から駅までを練り歩く「照姫行列」と野外ステージの「舞台演技 照姫伝説」を中心に、様々な催しが楽しめます。都心からこんなに近い場所で本格的な時代行列に出会えるなんて、ちょっと驚きではないでしょうか。

この記事では照姫まつりの時代行列に関わって12年の筆者が、その魅力をご紹介します。

照姫まつりとは

照姫まつり画像提供:照姫まつり推進協議会

照姫まつりは、石神井城落城の史実と地域に伝わる伝説を今に伝え地域活性化をはかる祭りとして、昭和63年から始まりました。その由来を知るには、野外ステージで「舞台演技 照姫伝説」を見るのが一番です。

物語をおさらいしてみましょう。

室町時代の文明9年(京都では応仁の乱が終わったばかりの時代)、現在の東京都23区の北部をおさめていた石神井城城主・豊島泰経には、照姫という美しい姫がいました。関東の争乱のなかで、豊島氏は江戸城城主・太田道灌と対立。江古田原・沼袋で戦いますが、敗れ、石神井城も攻め落とされてしまいます。泰経、照姫、奥方は三宝寺池に身を投げ、龍に姿をかえて天に昇ります。

画像提供:照姫まつり推進協議会

大人から子供まで総勢100名が豊島一族に扮する舞台演技は感動的です。が、史実をネタ晴らししてしまうと、豊島泰経はここでは死なず、平塚城(現在の北区)に逃れて(諸説あり)再起を図ったのちに、行方知れずとなって豊島氏は滅んだといわれます。また照姫も伝説上の人物とされています。しかしながら、石神井公園周辺には白馬にまたがった泰経とともに三宝寺池に沈んだとされる「金の乗鞍」の伝説、豊島氏をしのんで築かれたといわれてきた「殿塚」「姫塚」などがあり、歴史のかなたに消えた豊島氏が慕われてきたことがうかがわれます。それを形にして現代によみがえらせたのが「照姫まつり」なんですね。ほかにも練馬区内には、泰経の弟・泰明が守った練馬城跡(現在は「練馬城址公園」)があります。太田道灌が進軍した跡もあちこちに残っており、おまつりをきっかけにゆかりの地をめぐるのも楽しそうです。

最大の見どころ!豪華絢爛「照姫行列」

画像提供:照姫まつり推進協議会

照姫まつりの最大の見どころは、三役と呼ばれる「照姫」「豊島泰経」「奥方」の輿を中心に、華やかな時代装束に身を包んだ総勢100名が練り歩く「照姫行列」です。公園からスタートして駅前まで、商店街を練り歩きながら往復します。龍神を先頭に、男女の武者達、重臣、豊島氏一族の姫達、花拍子、巫女舞姫、稚児童姫など、様々な衣装が続きます。龍神は声をかけると近くまで来てくれることがあります。行列と舞台演技の出演者は区民から一般公募で選ばれます。特に三役は厳しいオーディションで選ばれるため、笑顔も威厳もとびっきり。太鼓やほら貝が鳴り響く中、部隊ごとに声をそろえる鬨の声「エイエイオー!」にも注目です。

行列を見るポイントは5つ。

○石神井池のほとり:公園の緑をバックに行列の写真を撮ることができます。

画像提供:照姫まつり推進協議会

○住宅街:観客が少なく、ゆったり見ることができます。

画像提供:照姫まつり推進協議会

○商店街:行列も観客も一番盛り上がるのはやっぱり商店街!

画像提供:照姫まつり推進協議会

○駅前:舞台演技の一部を再演します。地元の太鼓団体の演奏に合わせて到着、出立の貴重なシーンが見られます。

画像提供:照姫まつり推進協議会

○公園内西けやき広場:グランドフィナーレの前に通ります。徒歩の照姫様を間近に見られるスポットです。

画像提供:照姫まつり推進協議会

さあ、あなたはどのポイントで行列を見たいですか?

ハマる区民続出!行列のひみつ

画像提供:照姫まつり推進協議会

多くの時代行列まつりと大きく異なる、照姫行列の特徴、それは“一体感”です。多くの時代行列が当日集合なのに対し、照姫行列の出演者は約1か月前から、舞台演技の踊りや演技とともに、行列の鬨の声や歩き方をみっちり練習して臨みます。大人から小学生まで総勢100名、毎週末同じ場所に集まって練習することで、連帯感や地域愛が生まれます。子供たちは「いずれは照姫や大人の役をやりたい」と夢を抱くようになります。武者役の大人たちは「来年こそは太田道灌に勝つぞ!」「我こそは来年の殿!」という下剋上を夢見ます。そうした熱いリピーターに支えられ、さらに新しい参加者を取り込んで地元を盛り上げているのです。

他にも楽しさいっぱい!チャンバラ合戦、屋台など

画像提供:照姫まつり推進協議会

照姫まつりには、ほかにも戦国文化を身近に感じるイベントがいっぱいです。前回復活した「チャンバラ合戦」は各回200名(こども体験会は100名)が参加できます。こちらでは宿敵「太田道灌」に勝利することもあるそうで・・・。このイベントで使用しているスポンジの刀を使い、自分だけのオリジナル刀を作るワークショップもあります。自作の刀でチャンバラ合戦にいざ参戦!

画像提供:照姫まつり推進協議会

公園内の広場には屋台がたくさん出店しています。屋台は区内の企業や団体、提携都市がメイン。区内の名物に認定された「ねりコレ」商品や、ほかでは食べられない地元の味が並びます。商店街でも石神井のお店がいい匂いを立ち昇らせています。

画像提供:照姫まつり推進協議会

野外ステージは公園内に3か所、駅前に1か所設置されています。こちらでは練馬区内のサークル団体によるダンスや演奏が盛りだくさん。熱いパフォーマンスを披露していて見どころ満載です。駅前ステージは石神井公園駅の改札正面に設置され、太鼓の演奏をはじめ様々なパフォーマンスが乗降客を迎えてくれます。

まさに練馬区の今と昔が感じられる「照姫まつり」。2024年は4月21日(日)に開催が決定しています。楽しみですね!

トップ画像提供:照姫まつり推進協議会

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