東京都中央区の築地波除神社で開催される酉の市
2021年の酉の日は、一の酉が11月9日(火)、二の酉が11月21日(日)です。両日ともに関東の数多くの寺社で酉の市が開催されます。一説には日本武尊(やまとたけるのみこと)が11月の酉の日に、東征の成功を祝して埼玉県久喜市の鷲宮神社前の松の木に熊手をかけたことが、酉の市の起源と伝わります。東京都中央区に社殿を構える築地波除神社でも例年、酉の市が行われています。
災難を除き波を乗り切る築地波除神社
築地波除神社が社殿を構える築地は、江戸幕府が開かれる前には海でした。幕府は江戸の町作りのため盛んに海の埋め立てを行います。
第4代将軍の徳川家綱は築地の埋め立て工事を行いましたが、困難を極めました。工事が思うように捗らない1659年のある日の夜、稲荷大神の御神体が海面で輝いているのを見つけ、社殿を建立してお祀りすると波風が途絶え工事が進んだのです。御神体の災難を除き波を乗り切るご利益から、築地波除神社が造営されました。
築地波除神社の現在の本社は1937年に、伊勢神宮の外宮にならい神明造りで建造されました。
酉の市で授与所に準備される開運熊手神符「かっこめ」
酉の市の開催日には、本社に隣接する授与所に開運熊手神符「かっこめ」が準備されます。八本爪の熊手に稲穂、小判、金銀の鈴、開運神符が添えられているので、幸運をかきこむことができることでしょう。
境内の内外に溢れる酉の市の熊手
本社や授与所の北に広がる境内は数十メートル四方しかないため、酉の市の日には境内は熊手で埋め尽くされるようです。近くの企業や商店の人々が商売繁盛を願って熊手を購入すると、境内には手打ちの音が響きます。
酉の市には大小の熊手が並びますが、小ぶりの福あつめなども種類豊富に揃っています。
数え切れない熊手は、境内の外にもはみ出しています。
境内の西面に並ぶ魚に因んだ塚
バラエティー豊かな熊手を眺めているだけでも時間を忘れてしまいそうですが、築地波除神社の西面は珍しいエリアとなっています。神社は築地場外市場の南に接しているため、魚に因んだ塚が並んでいるのです。活魚塚、鮟鱇塚、海老塚、すし塚、玉子塚などを眺めると、空腹感を感じるかもしれません。
2021年の一の酉は11月9日です。東京都中央区の築地場外市場の南に接する築地波除神社では例年通り、酉の市が開催されました。神社の境内には種類豊富な酉の市の熊手が溢れ、授与所では開運熊手神符「かっこめ」が頒布されました。