2020年12月30日、福島県南相馬市でトワイライトふくしま大煙火祭が行われました。実はこの花火大会、企画から実施まで2ヶ月足らずで行われた前代未聞の花火大会になります。多くの花火大会は通常1年間掛けて準備をする事が多く、しかも新規の花火大会となると更に難易度が上がります。
本当は開催前のクラウドファンディングで集客するための告知記事なども書ければよかったのですが、時間に追われて断念。今回は運営にも携わらせて頂いたので、内側にも焦点を当ててレポートしてみようと思います。
花火大会の趣旨
11月初旬に実行委員長より「今年、福島で花火を上げたいので協力して欲しい」とSNSで連絡があったのが最初でした。彼とは震災後、東北で花火を打ち上げる活動で知り合ったのが切っ掛けで、各地の有名な花火大会に出向いている事を知り、意気投合した花火仲間でもあります。
あと2ヶ月で今年が終わってしまうのに何を言ってるだろうとツッコミどころ満載でしたが、話を聞くと花火業界の為に頑張ろうとしているのは伝わってきたので「やれる事であれば何でも協力する」と伝え、実行委員会に関わらせて貰うことになりました。
今回の新型コロナウイルスの影響で花火業界が大変な状態になっている事は多くの花火好きと同様に耐え難く、全国に眠っている使われなかった花火を消費して少しでも花火師さんの力になりたいと企画したそうです。
そして、開催地として選んだ場所は震災後のボランティアでも深く関わりがあり、あれから10年経った現在でも原発事故の影響が残る南相馬市。そんな場所だからこそ花火大会を開催し、地元の人に喜んで貰い、今回に限らず冬の花火イベントとして定着できれば、県外からも福島県に多くの人が訪れる切っ掛けにしたいとの事でした。また、花火大会名にトワイライトの名称を入れた理由には、ふくしまに希望の光が訪れてほしいとの想いが込められているそうです。
開催概要
場所:福島県(クラウドファンディングの条件により一部に告知)
日時:2020年12月30日 18:00~
担当煙火店:糸井火工 、丸玉屋小勝煙火店【大会プログラム】
1.オープニング花火 ミュージックワイドスターマイン
2.メッセージ花火
3.みんなの花火2020
4.ギフト 〜全国の有名花火師による競演〜 各花火師の10号玉(尺玉)打ち揚げ。参加企業20社
5.希望の花火2021 ミュージックワイドスターマイン 20号玉(二尺玉)入り
花火大会の費用には、企業協賛とクラウドファンディングなどで集めたのですが、開催までの期間が短く十分な準備ができなかったのと、やはりコロナ禍で企業の業績もなかなか厳しいものがあり、プログラムを減らし修正する必要がありました。また「みんなの花火2020」で使用する曲については、作者が特別な想いで作った為、運営側で公式に曲名を掲載できない経緯などもあり、そちらもカット。
予めプログラムの変更はあると記載していたにも関わらず、こんなコロナ禍の非常時でも一部の花火好きから非難の声があり、応援している者としては非常に残念な気持ちになりました。この花火大会に限らず、もっと自分本位でなく温かい目でみてあげて欲しいものです。
花火大会当日準備
朝8時に集合場所の双葉屋旅館へ到着。今回の花火大会のスポンサーでもあるこちらでは、実行委員会の宿泊拠点にもなっており、色々と運営上でもお世話になっているそうです。初対面の人も多いので自己紹介を行った後、当日の準備の流れを説明してくれました。
その後は花火大会の本部を設置する花見ふれあい広場に移動。テントを組み立て、音響設備の準備。当日の天気予報はあまりよくないので、雨よけの為のビニールシートを張って完成。
花火の開始までの時間では、観覧場所の誘導やアナウンサーの方と玉名の読み合わせ、花火カレンダーの販売などを行ったりと運営のお仕事をしました。予報通り雨も強くなり、寒さも厳しかったのですが、お昼ご飯に用意してくれた山形風芋煮が身体を温めてくれて有難かったです!
花火打ち上げ
18:00。土砂降りだった雨も花火大会の開催時間には不思議と最高のコンディションに変わりました。予め近隣に住む人には花火大会の告知を行っていましたが、雨風関係なく会場に集まっているのは大半がクラウドファンディングで支援して遠方から来てくれた花火好きの皆さんです。
1.オープニング花火 ミュージックワイドスターマイン
2.メッセージ花火
3.みんなの花火2020
4.ギフト 〜全国の有名花火師による競演〜 各花火師の10号玉(尺玉)打ち揚げ。参加企業20社
5.希望の花火2021
花火大会を終えて
いつもだと花火が終わったら帰ってしまうのですが、来場者を見送った後は本部テントの片付けと撤収作業。普通の花火大会だと、屋台とか家から持ってきた飲食物のゴミが大量に落ちているのですが、花火好きの人達は基本的にゴミを捨てていく人はいないので助かります。みんなクオリティの高い花火が見れて良かったと満足気で安心しました。
翌日は朝9時から打ち上げ現場の玉殻拾い。大半は打ち上げ後に花火屋さんが掃除しているのですが、色々な花火の部品も見つかって花火好きにはお宝拾いと言ってもいいかも知れません。運営メンバーに玉殻を見せながら花火のどんな部分かを説明をすると結構、興味を持ってくれて良かったです。
大成功に終わった花火大会ですが、悪条件を上げればキリがない新規の花火大会をたった2ヶ月でよくも開催できたものだと感心の方が大きかったです。勿論、これまでの積み重ねてきた人達との関係性や沢山の協力があったお陰だとは思いますが、まずはやろうと言う気持ちがないと前に進まなかった筈です。最初から無理と言うのは誰にでもできるし簡単なことですが、常識を捨ててこそ成し遂げられるものがあると自分自身、凄く勉強になりました
来年は工事が行われるので、今回開催した場所ではできなくなるとは思いますが、タイトルにある様にトワイライトふくしま大煙火祭なので、開催の候補地は福島県全域が対象になります。また次回、開催する時には協力したいものです。