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郡山「大和な雛まつり」金魚の町で約100カ所の雛飾り

更新日:2023/3/24 佐々木 美佳
郡山「大和な雛まつり」金魚の町で約100カ所の雛飾り

金魚と城の街「大和郡山」

柳澤氏15万石の城下町である奈良県大和郡山市。江戸中期に、甲府藩主・柳澤吉里(やなぎさわ・よしさと※5代将軍・徳川綱吉に重用された柳澤吉保の子)が郡山に転封された際、家臣らが山梨から観賞用に金魚を持ち込んだことがきっかけで、金魚が珍重されるようになります。その後、幕末〜維新の頃になると藩士たちの副業として栄え、今や年間6000万匹を出荷する「金魚の街」として有名です。

今回はこの郡山で行われる雛まつりのイベント「大和な雛まつり」を紹介いたします。

約100カ所でひな飾りが見られる「大和な雛まつり」

雛まつりの時期、JR郡山駅と近鉄郡山駅の間にある店舗や個人の家など約100カ所に雛人形が展示されます。

メイン会場は元は遊郭だった「町家物語館」。他には江戸時代からの藍染め商の町家を再生した「箱本館 紺屋」などがあります。それ以外にも寺社、登録有形文化財の町家や商家、さらには一般の商店でも雛人形が展示されます。駅で配布されているマップには番号が書かれており、今どこにいるかがわかりやすいです。

まずは郡山八幡神社へ行ってみると、奉納された雛人形がずらりと並ぶ姿が見られました。赤や白の梅の花も綺麗に咲いており、静かな境内に彩りをそえています。

藍染め商の町家「箱本館 紺屋」

次は江戸時代から続いた藍染め商の町家「箱本館紺屋」へ!城下町の中心部にある町家で、目の前には幅1mの紺屋川が流れているのが特徴です。

写真左が箱本館。見どころ満載なのに入館無料なのが嬉しい。

名前の「箱本」とは、この地域の自治組織のことで、建物のある紺屋町は藍染職人が集まった職人町です。江戸時代には東西209mで159軒近くあったと「郡山藩旧記」に書かれており、現在まで同じような町の規模です。

雛まつりの期間の箱本館にはいくつもの雛壇が飾られています。金魚の町らしい「金魚のおひなさま」という水槽を使った珍しい雛壇飾りもありました。

事前に予約をしておくとハンカチなどの藍染体験も出来ます。

金魚すくいのポイを使った藍染アート

遊廓建築「町家物語館」(旧川本家住宅)

「町家物語館」(旧川本家住宅)の本館は、1924(大正13)年に建てられた珍しい木造3階建ての建物。

中は客同士が顔を合わさないように移動できるよう大階段が2つあり、2階と3階には小さな3畳ほどの数寄屋造りの客間がたくさんあります。

遊郭の値段表

昭和時代には下宿として使われており、2014(平成26)年に登録有形文化財になっています。

空気を循環させる意味もある庭が中央にあるのも遊郭の特徴

座敷の雪見障子は障子の一部を開けたり閉めたり出来る珍しい作り方をしています。

こうして建物を見て歩くだけでも見応えがあるのに「大和な雛まつり」の時期はつるし雛や雛壇飾りもあります。これで入場無料とはお得すぎます。

2階の髪結場から見た猪の目窓がハート型で可愛い

2階のお部屋の中を覗くと、遊女たちの自室兼仕事場だった小さなお部屋がいくつもありました。雛まつりの期間は部屋ごとにお雛様が飾られています。

そしていよいよ町家物語のメインの雛飾りのお目見えです。

ほの暗い大階段でスポットライトを浴びたような雛飾りは歴史の重みをまとったような雰囲気を醸しています。びっしりと並んだお雛様は迫力満点。階段に雛人形を飾る催しは全国各地にありますが、その元祖はここだそうです。ぜひ見ていって欲しい雛飾りです。

元・両替商「葉本家住宅」ハモトプチミュージアム

葉本家住宅は現在、「ハモトプチミュージアム」として公開されており、両替商をしていた明治中期頃の算盤や帳場などを見ることができます。

虫籠窓には両替商の名残の分銅の絵が印されている

中に入ると婚礼籠や本業煉瓦が張られた珍しい竈など、当時のことがよくわかる資料館になっています。

葉本家を観覧するには予約が必要です。上下する入口の戸を実際に動かして丁寧に説明してもらえたり、雛祭りの期間はお雛様も飾られており見応えがあります。

特に、御所・紫宸殿と天皇皇后を模したスタイル「御殿飾り」の雛飾りはあまり見る機会がないため、じっくりと見ていって欲しいです。

浄瑠璃「義経千本桜」由来の源九郎稲荷神社

町家物語館の近くに「源九郎稲荷神社」があります。この神社には狐にまつわるいくつもの伝説が伝わっていますが、社名は人形浄瑠璃や歌舞伎で有名な「義経千本桜」に登場する「源九郎狐」に由来するのだとか。

あらすじを紹介すると、討手を逃れて奈良の吉野山に落ちのびた源義経(源九郎判官義経)のもとへ、ある日家来の佐藤忠信が訪ねてきます。ところがそのすぐ後に、もう一人の忠信が、義経の愛妾・静御前を送り届けてやってきます。怪しむ義経が静御前に鼓を打たせてどちらが本物の忠信か確かめさせると、なんと静御前に付き従っていた忠信の正体は狐だったのです。静御前が持つ鼓の皮になってしまった親狐が恋しくて追ってきたという狐忠信。義経は親を慕う狐に同情し、自分の名である「源九郎」をこの狐に与えたというお話です。

この物語を思い浮かべると、境内にある狛狐の姿も何か歌舞伎の舞台装置のようにも見えてきます。

雛まつりの時期になると境内には吊るし雛や雛壇飾り、御殿飾りと所狭しと雛人形が飾られます。節分の名残なのかユーモラスな顔の鬼のぬいぐるみまで置いてあります。

この源九郎稲荷神社の例祭は3月26日にあり、時代行列の白狐渡御では白狐に扮した子どもたちが踊りながら練り歩きます。

以上、「大和な雛まつり」レポートでした。

この雛まつりの期間が終わると今度は郡山では「大和郡山お城まつり」も開催されます。
祭りの期間にかかわらず、「御金魚帖」というお店にある金魚スタンプを集めて回るスタンプラリーを楽しむこともできます。魅力満載の郡山にぜひ一度、訪れてみてください。

箱本十三町観光案内所。JR郡山駅からすぐの場所には大和郡山市観光協会もあります。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
毎日「京都散歩の旅」なカメラマン。
奈良・吉野アンバサダー。観光経済新聞、楽天トラベル等を執筆。聖地と舞が好き。民俗芸能や瀬織津姫研究中。
instagram @kyoto.photographer
https://earth-traveler.com/

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