神戸市兵庫区の柳原蛭子神社で開催される「十日えびす」
日本の政治の中心は江戸時代に東京に移りましたが、天下の台所は変わることなく大阪が経済をリードし続けています。無数の商人が商売を競う関西地方では各地で、年始に商売繁盛を願う行事が行われています。1月9日から3日間行われる「十日戎」では、軽やかなお囃子に合わせて、「商売繁盛で笹持って来いっ」と歌われるのです。神戸市兵庫区に社殿を構える柳原蛭子神社でも、「十日えびす」が開催されています。
2022年の「十日えびす」のポスター
市内に掲示される「十日えびす」の案内
港町神戸の原点に社殿を構える柳原蛭子神社
柳原蛭子神社は、港町神戸の原点に社殿を構えています。柳原の浜辺には平安時代から大輪田泊(おおわだのとまり)が整備されました。
12世紀には平清盛が沖合に波除のための人工島を建設し船の安全を確保し、中国大陸から宋の貿易船を迎え入れました。江戸時代には北前船の航路の一つとなりました。柳原蛭子神社の創建は明らかとはなっていませんが、1691年の兵庫津の「寺社改帳」に柳原蛭子神社の記録があるようです。
柳原蛭子神社の社殿
社殿東の境内
鳥居
柳原蛭子神社では、えびす様の蛭子大神と大国様の大物主大神をご祭神として祀っています。境内には、にこやかな表情のえびす様の像が建立され、授与所にはタイをわきに抱えるえびす様が描かれた御神影が準備されています。御朱印には神紋の横に「福の神」の文字が記され、幸運が引き寄せられてくるようです。
えびす様の像
御神影
御朱印
漁業の神様に奉納されるマグロ、タイ、ブリ
主祭神の蛭子大神は、漁業や海上安全、商売繁盛の神様として親しまれています。例年の「十日えびす」では、1月9日の午前中に「まぐろ奉納神輿」が宮入するのですが2022年の神事は中止となり、社殿正面にブリと並んで奉納されるのみでした。
社殿正面の奉納品
社殿正面に奉納されるまぐろ
「まぐろ奉納神事」とともに例年、社殿の東に接する神楽殿で演じられる淡路人形浄瑠璃 福神楽「戎舞」も、2022年は中止となりました。舞台は神棚に様変わりし、タイやブリの奉納品が並べられました。尻尾をはねあげる海の生き物からはエネルギーが漲ってきます。棚の頂点では「戎舞」を舞うはずの人形が立ち止まって参拝者を見つめています。
神棚に様変わりした神楽殿
神棚に様変わりした神楽殿
神楽殿に奉納されるタイ
神楽殿に奉納されるブリ
神楽殿の神棚の頂点で立ち止まる淡路人形浄瑠璃の人形
多種多様の縁起物
2022年の「十日えびす」では、淡路人形浄瑠璃など柳原蛭子神社独特の行事は行われませんでしたが、境内に並ぶ縁起物は例年通りでした。
福笹をはじめ、熊手、福箕、えびす人形、宝船、福俵などに恵比寿様、お多福、大判小判、鯛などがデザインされます。熊手を使えば福をかき込むことができるでしょう。福箕では福をすくいとることができるでしょう。
境内に並ぶ縁起物の授与所
境内に並ぶ縁起物の授与所
多種多様の縁起物
福笹
熊手
熊手
福箕
福箕
えびす人形と宝船
福俵
一年安鯛
柳原蛭子神社は、JR山陽本線の兵庫駅から東に300メートル余りのところに建立されています。南口からの一本道には幟や立看板、提灯が並んでいるので、これらに沿って進めば朱色の鳥居が見えてきます。
JR山陽本線の兵庫駅の南口
兵庫駅と柳原蛭子神社繋ぐ通り
兵庫駅と柳原蛭子神社繋ぐ通り
柳原蛭子神社の鳥居
港町神戸の原点に社殿を構え蛭子大神を主祭神として祀る柳原蛭子神社では、例年1月9日~11日に「十日えびす」が開催されます。漁業や海上安全、商売繁盛を祈って、マグロやタイ、ブリなどの海の幸が奉納されます。