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京都で大人気の節分祭!吉田神社の追儺式を徹底レポート!行き方や見所は?

更新日:2023/2/9 稲村 行真
京都で大人気の節分祭!吉田神社の追儺式を徹底レポート!行き方や見所は?

京都の節分行事の中でも一際、参拝者が多い吉田神社の節分祭。室町時代に執行されて以来、長い歴史の中で継承されてきた。

この祭りの中でも、鬼などが登場し注目度も高い追儺式(ついなしき)について、その魅力やどのような願いが込められているかに触れながら、2023年当日の様子を振り返りたい。

吉田神社の追儺式とは?

まずはこの追儺式の概要について。追儺式とは古来、人間に対して疫病を流行らせる神がいると信じられており、それを疫鬼(えっき、以下「鬼」と表記)と呼んできた。追儺式はその疫病神を追い払い、無病息災などを願うものだ。また節分は旧暦における年越しにあたるため、新しい年を迎えるという年越しの行事でもあった。

吉田神社の追儺式は、節分の前日に行われる。流れとしてはまず陰陽師が祭文を奏する。その後、鬼と方相氏が入場。方相氏は黄金四つ目の仮面を被り、赤と黒の衣装を着て侲子(しんし)という小童を多数従える。この方相氏は3匹の鬼を追いながら舞殿を3周する。最後に殿上人が矢を放ち、鬼を追い払う。暗闇の中、恐ろしい雰囲気で行事は進んでいく。

平安京鎮護の神として、また全国の神を祀る社として、鬼を追い祓うという大きな役目を担ってきた規模の大きな追儺式だ。例年、50万人の参拝者が訪れるとも言われている。

悪鬼を追い払う追儺式を訪れた

2023年2月2日、この追儺式を拝見するために吉田神社を訪れた。吉田神社は、京都市バス「京大正門前」停留所より徒歩約5分の場所にある。

吉田神社へ行く道は、数百の露店が出ており、人で溢れかえっていた。進むことが困難な場所もあり、京都で最も人が多く訪れるとも言われる吉田神社の節分祭の盛況ぶりを伺うことができた。

こちらの鳥居をくぐり階段を上ると、いよいよ吉田神社の本宮にたどり着く。

境内には屋台など様々なお店が立ち並んでいた。節分といえば豆まきだ。さまざまな種類の豆が並べられていた。五色の豆やわさびが入っているものなど、種類が豊富だった。

節分沢庵(たくあん)という食べ物を発見した。大根は「食べる万能薬」として、縁起の良い野菜とされているそうだ。健康祈願の願いとともに漬け込まれている。

また、鬼などが描かれた絵馬も販売されていた。

さて夕方となり、ぞろぞろと見物客が本宮前舞殿の周囲に集まってきた。人垣は次第に幾重にもなり、身動きが取れないほどの大賑わいだ。追儺式はまず、厳かな雰囲気で、陰陽師が祭文を奏するところから始まった。

それからが登場!1匹ずつ、大きな声を上げながら地面に膝をついて嘆くように叫び、そして舞殿を中心として、ふらふらとよろめきながら歩き回っていた。

鬼は赤、青、黄の3匹いる。赤鬼は怒り、青鬼は悲しみ、黄鬼は苦しみを表すとされる。鬼が歩いている後ろからみるみるうちに姿が大きくなってくるのは方相氏だ。ここから鬼たちを追いかけて、舞殿の周りをぐるぐると3周する。

方相氏は赤と黒の衣装を身にまとい、右手に矛を、左手に盾を持ち、侲子と呼ばれる多くの童を従えて鬼を追う。

松明は暗い闇を赤々と照らしている。

舞殿の四隅で、鬼たちは棍棒を方相氏に向ける。しかし、それに屈することはなく、方相氏はそれを盾で防ぐ。

それから方相氏は矛で鬼を退散させる。この場面は吉田神社の追儺式で最も見所のあるシーンの1つだ。

鬼は舞殿を3周回り終え、降参して鳥居をくぐって出ていく。それに続いて方相氏や侲子も鳥居の外へと出ることになる。

鬼や方相氏などが去ったのち、上卿(しょうけい)が鬼が逃げていった方角に、桃の弓で葦の矢を放ち終了する。追儺式は全体で30分ほどの短い時間で実施された。しかし、情報量が多く、中身の濃い時間に感じられた。

舞殿から鳥居をくぐって出ていった鬼や方相氏たちは、それから神事としてではなく大元宮を訪れたようだ。鬼たちはふらふらの足取りで歩いている。

この行列が最後に行き着く先は、竹中稲荷社だ。薄暗い階段を登り、松明の明かりを頼りにしながら、一行は暗闇の先へと消えていった。

吉田神社の節分祭の見所は?

松明が灯る中、おどろおどろしい雰囲気での鬼と方相氏のやり取りは、どこか悲壮感も漂い、見るものに何かを感じさせるような魅力があった。

元々この追儺式における鬼は「儺」であり、ありとあらゆる災いそのものだ。儺の字の人偏は火、難は干ばつ、落雷、山火事などの災難を指す。それを追い払うことで、災いの除斥を実現することを約束づけるのだ。これが「追儺」という行事の語源でもある。

この複雑な鬼という存在をきちんと役柄で登場させ、方相氏との決闘の中でわかりやすい形で具現化して受け継いでいると感じた。鬼が出てくる節分行事の中で、代表的なものを考えた時に吉田神社の節分祭が挙げられることが多いのもどことなく頷ける。

近くにある観光名所は?

吉田神社周辺には、他にも様々な見所があった。吉田神社は京都御所からすると東側に位置し、「洛東」にあたる。銀閣寺や平安神宮、八坂神社などの有名な観光地とも近い。

2月2日同日には八坂神社でも節分行事があり、舞踊の奉納や豆まきなどが行われていた。地元の方々はもちろん、海外の観光客が多く訪れていたのがとても印象的だった。海外の人から見たら、この節分行事はどう見えているだろう?と想像しながら散策するのが楽しかった。

京都は長い間日本の政治や文化の中心地だった。その中で、この節分の期間に京都に滞在することは、日本の文化を感じるのにとても良い機会だと感じた。まだ、吉田神社を始め節分祭を訪れたことがないという方はぜひ、訪れてみると良いだろう。

八坂神社の入り口(西楼門)

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
日本全国500件以上の獅子舞を取材してきました。民俗芸能に関する執筆、研究、作品制作等を行っています。

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