東京都文京区では、地域の大切な文化資源である「まつり」を活用し、観光誘客とあわせて、将来にわたって文京区に住み続け、あるいは応援し続けてくれる“地域のファン”を育てていくことを目指しています。
この目的を実現するため、令和5年1月には「未来への祭(さい)スタート!『まつりの街、文京』プロジェクト」として、企画・運営力の高い事業者を募るプロポーザルが実施されました。オマツリジャパンはその提案内容を評価いただき、委託事業者として採択。令和5年度から3年間にわたり、まつりを軸にした地域交流・人材育成プロジェクトを 観光協会とともに進めています。
<この記事のポイント>
・子どもがまつりを取材し、地域への関心と愛着を育成
・広報紙制作を通じて、地域と主体的に関わる経験を提供
・関与人口・将来の地域担い手を育む次世代育成モデル
まつりを「楽しむ」から「関わる」へ——3年計画の最終年度

本プロジェクトでは、地域のまつりをテーマに、子どもたちの参加意識を段階的に深めていく三か年計画を設計。初年度は「楽しむ」、2年目は「知る」、そして今年度は「関わる」をテーマに据えています。
2025年度の目玉は、子どもたちが「まつり広報チーム」として地域のまつりを取材し、自らの言葉で魅力を発信する広報紙づくり。地域に足を運び、人と出会い、学んだことを伝える一連のプロセスを通じて、文京区とのつながりを深めることを狙いとしています。
このワークショップは全4回が予定されており、6月8日にはその第1回として「文京あじさいまつり」で初回が実施されました。
子どもたちの記者体験

舞台となったのは、白山神社と白山公園で開催された「文京あじさいまつり」。小学4年生から中学生までの15人が参加し、まつりの現場を取材し、 記者体験に挑戦しました。

午前中は文京シビックセンターで、まつりの背景や広報の意義、取材・記事作成の基本を学ぶ座学を実施。その後、白山神社へ移動し、約3000株のあじさいや富士塚の公開、模擬店やステージイベント、来場者インタビューなど、まつりの空気を五感で取材しました。


午後は再び会議室に戻り、子どもたちはグループで協力しながら記事執筆に挑戦。スタッフのサポートを受けながら、自らの視点や発見を文章にまとめていきました。完成した広報紙は、区内の小中学校や図書館などの公共施設に掲出されるほか、「文京花めぐり」公式サイトにも掲載される予定です。
地域と子どもをつなぐ、新しい“まつりのかたち”

「まつり」は地域の誇りであり、人と人を結びつける大切な文化資源です。その価値を次世代にどうつなぐか——オマツリジャパンは、まつりを“見るもの”から“関わるもの”へと位置づけ直すことで、地域への愛着と主体性を育む仕掛けを生み出してきました。

この取り組みを通じて、子どもたちの中に「また来たい」「もっと知りたい」という気持ちが芽生えること。それが、地域を支える未来のファンづくりにつながると信じています。

文京区で進むこのモデル事業は、観光・教育・地域づくりの先進例として、多くの自治体や関係機関にとっても注目に値する事例といえるでしょう。