広島県三原市では、もっと観光客を増やしたいが、市内の観光コンテンツをどう磨き上げればいいかお悩みでした。「世界遺産の広島市平和記念公園や宮島厳島神社には外国人観光客が来ている。なんとか、三原市に誘客できないだろうか?」そんな課題もお持ちでした。
そこで観光コンテンツとして、三原市内で開催されるお祭りを活用するにあたり、お祭り専門会社のオマツリジャパンが“訪日外国人向けのお祭り参加体験のモニタリングツアーの実施”を手掛けました。取り組みについて三原市職員の吉原和喜さんに伺いました。
<この記事のポイント>
・外国人向けお祭り体験ツアーの造成
・オマツリジャパンのノウハウを活かして、外国人観光客が参加しやすいスケジュールと受け入れ態勢を整備!
・WEBサイトやSNSを通じた情報配信により、12か国21名の集客!
目次
三原やっさ祭りとは?
今回外国人観光客向けのお祭り体験ツアーを造成するにあたり、対象としたのは「三原やっさ祭り」です。
毎年8月に広島県三原市で開催される「三原やっさ祭り」は中国地方を代表する夏祭り。
やっさ祭りで踊られる「やっさ踊り」は、1567年に三原城が築城された際、町中の老若男女が築城完成を祝って踊ったことが始まりとされ、400年以上の歴史を誇ります。はやしことばが「やっさ、やっさ」と声をかけられるところから、この踊りは「やっさ踊り」と呼ばれ、三原の歴史と共に地元の人々に愛され続けてきました。
毎年30万人を超える来場者で賑わうこのお祭りですが、2018年は7月に豪雨災害があり、8月の開催は延期。11月に「浮城まつり」と合同開催で「復興祈願祭~がんばろう!三原~」として開催されました。
オマツリジャパンに依頼しようと思ったきっかけ
-オマツリジャパンに依頼しようと思ったきっかけについてお聞かせいただけますか。
自立したお祭りを作りあげることに取り組んでいる専門家集団ということを伺い、関心をもちました。各地のお祭りを続けて行くためには、資金、運営体制、人材、モチベーションなどで多くの課題があります。
どう解決し、皆さんが楽しみにしているお祭りを持続していくか、そのヒントになるのではと考えました。
やっさ祭りの体験を外国人に提供しようと考えたきっかけは?
-やっさ祭りの体験を外国人に提供しようと思った理由やきっかけについて聞かせて下さい。
三原市ならではのコト体験を味わっていただくには、市民総参加の「三原やっさ祭り」が最適だと考えました。
広島空港があり、新幹線も止まる三原市は、外国人の方が訪れやすい環境にあります。
外国人の方に地元の人と一緒に踊って楽しんでもらうことで、地元の人と交流することも出来る。訪れた方に満足度の高い体験を提供できるのではないか…と思ったことがきっかけです。
プロジェクトの概要
―オマツリジャパンと一緒に取り組んだプロジェクトの概要についてお聞かせ下さい。
まずは、お祭りを観光活用するために、外国人向けのお祭り体験ツアーの造成に取り組みました。
ただ、“やっさ踊りを体験してもらう”とはいえ、実際にどのように外国人観光客を受け入れたら良いのか?受け入れ体制をどのように作っていったら良いか?ノウハウを持ち合わせていませんでした。
やっさ踊りの体験ツアーに、外国人観光客がお金を払ってまで来たいと思ってくれるのか?など、検証すべき点も沢山ありました。そこでお祭り専門会社のオマツリジャパンさんに協力していただきました。
最終的には外国人観光客の方に、お金を払ってやっさ踊りの体験ツアーに参加してもらうために、まずは今回モニターツアーを行いました。
プロジェクトによって得られた成果
―プロジェクトによって得られた成果についてお聞かせ下さい。
オマツリジャパンさんのノウハウを活かして、外国人の方が参加しやすいスケジュールを組み、受け入れ態勢の整備を行いました。またモニターツアーの集客もオマツリジャパンさんのWEBサイトやSNSでの情報配信を行っていただきました。
結果として今回のモニターツアーには、総勢12か国 21名の方が参加してくれました!
モニターツアーの様子
まず初日は地元の方と一緒にやっさ踊りの練習をしていただき、2日目にお祭り本番!という行程で楽しんでいただきました。いきなり本番を楽しむより、練習本番と2倍楽しめるのではと考えました。事前に踊りの練習をしていただくことで地元の方との交流も楽しんでいただけたらと思い、この行程でツアーを実施しました。
1日目:やっさ踊りの練習と観光
市内の観光を楽しみつつ、地元の方と一緒に、やっさ踊りの練習を行いました。
言葉の壁は自動翻訳機を活用することで、問題なく意思疎通することができました。
2日目:祭り本番
2日目はいよいよ祭り本番!前日に練習した成果を発揮します。
参加された皆さんの笑顔が印象的でした!
なんと「ベストスマイル賞」のたすきをかけてもらうことに。
地元の方とハイタッチ!お祭りの高揚感の中でこそ生まれるコミュニケーションですね。
やっさ踊りは外国人の方にも受け入れやすく、改めてお祭りの醸し出す一体感のすごさを改めて実感しました。
また、やっさ踊りを楽しむ様子をFacebookなどのSNSで参加者それぞれが発信。街の魅力や、やっさ踊りの楽しさを拡散することにつながりました。
もちろん、SNS投稿に必要なWi-Fiも増設して準備を行いました。
参加者の反応・感想
今回参加された訪日外国人の方からは…
・初めて日本のお祭りに参加できてとても楽しかった!
・地元の人や一緒に参加した人と友達ができた。
・次は、三原の歴史や文化についても学びたい!
などの声が寄せられ、またこの内容であれば‟お金を出しても参加したい”という反応も得られました。
今後、オマツリジャパンに期待すること・要望など
―今後、オマツリジャパンに対する要望があればお聞かせください!
今回のモニターツアーを通して、外国人観光客のニーズの把握や、迎え入れるための準備などを知ることが出来ました。実行委員会の皆さんも今回のモニターツアーを通して実際に外国人観光客の方と交流することで、生の声を聞くことが出来、よい刺激になったとともに、今後の参考になったと思います。
祭りに参加し、踊るにとどまらず、お祭りのブランド力を更に高め、魅力あるものとなるよう取り組んでいく必要があると思っています。
祭りを支える、手伝うという三原ならではの体験を提供できる仕組みにまで作り上げ、祭りを通じて、三原ファンになっていただければ、交流人口拡大、インバウンド促進につながるものと考えています。
オマツリジャパン担当者より
三原やっさ祭りを対象としたのは、中国地方を代表するお祭りであることや、動員数が30万人を超える比較的大規模のお祭りであることが理由です。
また“踊り”は誰もが手軽に楽しめる体験型コンテンツの一つ。ただ見て楽しむだけでなく、一緒に体験して楽しめる「コト消費」のニーズは近年増加傾向にあります。文化体験としても”踊り”は訪日外国人の方々にきっと楽しんでもらえると考えました。また将来的には、お祭り当日にやっさ踊りを楽しめるだけでなく、定期的にやっさ踊りを楽しめる観光コンテンツの造成も見越してのご提案でした。
今回のモニターツアーでは、12か国 20名の参加者が地域の方のレクチャーで踊りを覚え、お祭りに参加しました。彼らに終わった後に感想を聞くと、「踊りを通じて、地元の方だけでなく参加者同士で交流することが出来て本当に楽しかった!」と答えて頂き、「お祭りを通じた交流は世界中に通じる魅力なのだ」と実感しました。 お祭りを訪日外国人の方に体験する機会を提供する事は、その地域のファンを作る事にも通じます!是非、一緒に取り組んでいければと考えています。