伝統的な夏の風物詩でもある「盆踊り」。盆踊りとは本来、先祖を迎え送り供養するためのものですが、大勢でやぐらを囲み音楽に合わせて踊る盆踊りは、踊っても楽しいし観ているだけでも楽しいですよね。そこで今回は、踊って楽しむだけでなく、目で観ても楽しめる盆踊りを厳選してご紹介します。
日本三大盆踊りのひとつで、秋田県羽後町で長い歴史を持つのがこの「西馬音内(にしもない)盆踊り」です。人口約1万5千人の小さな町に、毎年10万人ほどの観光客が押し寄せます。8月16日から18日の3日間、夕方から夜遅くまで行われ、優雅で流れるような所作の踊りに、美しい編み笠や「端縫い(はぬい)衣装」と「藍染め浴衣」、哀愁漂う笛のお囃子や「音頭」「がんけ」の2種類の踊りなど目で見ても楽しめる見所が盛りだくさんです。
富山市南西部の八尾町にて行われる「おわら風の盆」は、毎年9月1日から3日にかけて行われる、江戸時代から受け継がれてきた歴史ある盆踊りです。元禄15年、加賀藩から下された後に町外に出てしまった「町建御墨付」を町衆が取り戻したお祝いに、三日三晩無礼講の賑わいで町を練り歩いたのが起源とされています。昔ながらの風情ある町並みに数千のぼんぼりが飾られ、その中を胡弓や太鼓の音に合わせ気品高く踊る姿は、なんとも幻想的で優雅な趣があります。
国の重要文化財に指定され、秋田県三大盆踊りのひとつでもある「毛馬内(けまない)の盆踊り」は、秋田県十和田毛馬内で開催されています。遅くとも江戸時代中期には始まっていたとされており、長い歴史を誇ります。町内の路上に篝火を焚き、その周りを細長い輪になり笛と太鼓の囃子で踊る「大の坂(だいのさか)」、無伴奏の唄のみで踊る「甚句」の2種類の踊りは、情緒豊かでなんとも風情があります。豆絞りの手ぬぐいを頬被りした独特の衣装も特徴です。
JR内郷駅前広場の特設会場にて行われる「いわき回転櫓盆踊り大会」は、昭和27年(1952年)の常磐炭鉱の時代から続く、福島県いわき市の伝統行事です。会場には電球や提灯を無数に施した高さ13メートル、縦横13メートルにも及ぶ電動式回転櫓が設置され、その周りを幾重にも広がる踊りの輪が囲んでいきます。夏の夜の闇に光り輝く、白水阿弥陀堂を模した回転やぐらはなんとも幻想的な雰囲気が漂います。
いわき盆踊り大会♪
回転櫓にきました! pic.twitter.com/vAbO1pmZBy— チーミチ (@sumicafe) August 14, 2018
「東山盆踊り」は、福島県会津若松市の東山温泉にて行われる夏の風物詩です。昭和19年(1944年)、太平洋戦争の最中この地に学童疎開してきた2千数百人の子ども達を励ますために開催され、70年ほどの歴史を持つ盆踊りです。今から約1300年前、名僧・行基により発見された東山温泉。その温泉街を流れる湯川の清流の上に組まれた櫓の周りを、民謡「会津磐梯山」に合わせて、温泉の女将や芸者衆、市民も温泉客も一緒になって盆踊りを楽しみます。温泉街に灯る無数の提灯とみんなで踊る盆踊りのトリプルコラボは情緒があって見ごたえも充分です。
栃木県日光市にある和楽踊発祥の地(清滝)で開催される「日光和楽踊り」は、大正2年(1913年)、日光電気精銅所(現在の古河電気工業株式会社)にて会社・所員の祝賀の席で自然発生的に歌い踊られたことが発祥とされています。元々は従業員の慰労を目的に行われたものでしたが、現在では多くの市民や観光客が参加する一大イベントとなっています。古河電工の敷地内を舞台に設置される豪華なイルミネーションは必見です。
びーどろやガラス工場、大河ドラマ「真田丸」でも有名な群馬県・利根沼田エリアにある片品村の各地区で毎年8月に開催される「鎌田盆踊り」。お祭りの締めくくりとして、最終日には200発の花火が打ち上げられます。群馬県と栃木県で古くから愛されている民謡「八木節」の軽快なリズムで踊る盆踊りと豪華な花火が楽しめます。
東京都中央区で開催される「築地本願寺納涼盆踊り大会」は、境内に櫓が組まれ盆踊りの曲目に合わせて踊るのは勿論のこと、3日目には仮装大会が行われ、着ぐるみやコスプレ、男装、女装など浴衣以外でも自由な仮装で盆踊りに参加することができます。銀座や歌舞伎座にも近い土地柄から、参加者にはプロのダンサーも多く、踊りのクオリティが高いのも特徴で、まさに目で見ても楽しめる盆踊り大会です。そして、築地本願寺納涼盆踊り大会は別名「日本一おいしい盆踊り」とも呼ばれており、「近江屋」のステーキや「きつねや」のもつ煮込み、「鳥藤」の焼鳥に「松露」の卵焼きなど、普段は行列ができる築地の名店が出店する模擬店も見逃せません。
本日より築地本願寺納涼盆踊り大会が開催!日本一美味しい盆踊りとも言われるこのお祭りは8/3(木)まで開催されます! pic.twitter.com/22FUUqKSNn
— オマツリジャパン (@omatsurijapan) July 31, 2019
静岡県の無形民俗文化財に指定される「妻良(めら)の盆踊り」は海岸にやぐらを組み、綱に大漁旗を吊るして飾られる、南伊豆町の華やかなお祭りです。はやし手や踊り子がみな花笠をかぶりながら、念仏調の歌に合わせて合掌態でゆったりと踊る姿は独特の優雅さがあり、観る者を魅了します。
【妻良盆踊り開催について】
8/15妻良盆踊りが開催されます。
盆踊り後に花火大会行われます。皆さまお誘いの上お越しください。
・盆踊り:19時30分頃から
・花火大会:21時頃から(盆踊り終了後)
※天候によっては、変更になる場合があります。ご了承ください。https://t.co/LX0w8o3e0a… pic.twitter.com/pY700Pm6Ue— 【公式】(一社)南伊豆町観光協会 (@info_mizu) August 15, 2019
いかがでしたか?日本各地には踊れるだけでなく、目で見ても楽しめるさまざまな盆踊りがあります。夏を思い切り楽しみたい方は、お酒や屋台フードを片手に眺めるも良し、実際に踊りの輪に加わるのも良し、老若男女みんなで楽しめる盆踊りにでかけてみてはいかがですか?