神様と暮らす町 高千穂

森に守られ、森を守る、里人の暮らし

長野県上松町(あげまつまち)。長野県南西部に位置するこの町は、中央アルプス・最高峰の木曽駒ケ岳をはじめとする急峻な山々に囲まれている。また谷底の川沿いでは、長い年月、激流に削られてきた花崗岩の白い岩肌が織りなす風光明媚な景観が広がる。広大な森林が大地の大部分を覆い尽くし、春は青々とした木々が芽吹き、秋には彩り豊かな紅葉が見られる。
この町から産出される木曽檜は古くから良質な木材として知られ、城郭・社寺建築に重用されてきた。また江戸時代から、20年に一度執り行われる伊勢神宮の式年遷宮で用いられる2本の御神木が奉納されている。次回開催を2025年に控えた町では、その誉を盛大に祝う「御神木祭」の成功に向けた気運が徐々に高まりを見せている。

マップ

森の暮らしと祈り

A Praying Life

上松町には、森と向き合い続けた歴史がある。そこに祭りが生まれ、人々の願いや祈りが受け継がれてきた。

森から紐解く里人の暮らし

森から紐解く里人の暮らし

長野県の南西部にある木曽谷。約9割が森林地帯であり、豊臣秀吉の時代には、米の代わりに木年貢が課せられてきたといわれている。耕作地の少ない木曽では、領民にとって、良質な木材は資産だったのである。
しかし、安土桃山から江戸時代にかけ、城郭や城下町建設のための木材需要が増加。木曽谷から大量の木材から伐り出されたことから、山は荒廃し、森林資源は一時、枯渇状態に陥った。これを危惧した尾張藩は、「木一本、首一つ」といわれるほど徹底した伐木制限を実施。この施策は、森林資源で生計を立ててきた領民にとって過酷なものだったが、当時としては、先進的な持続可能な森づくりの取り組みだったといえるだろう。

森の暮らしと祭り

森の暮らしと祭り

古くから上松町に生きる里人は、山、森、川など、身近な自然に感謝するとともに、畏敬の念を抱きながら暮らしてきた。この地で最も有名なお祭りは、20年に一度開催されるの大祭「御神木祭」だ。伊勢神宮の式年遷宮に向けて伐り出された木曽檜の御神木を祝う奉祝行事が行なわれ、伊勢の地に送り出される。その他にも、各地区で年間を通して多くの祭事が執り行われ、神楽や歌舞伎、獅子狂言などさまざまな芸能を見ることができる。これらの祭りを通し、里人は共同体としての一体感を高め、土地や森に感謝と祈りを捧げてきた。

みどころ

HIGHLIGHTS

森とともに生きてきた人々の暮らしに想いを馳せられるスポットが町内各地にある。その歴史や背景を考えながら、これらを巡り歩いてみるのも良いだろう。

赤沢自然休養林

赤沢自然休養林

上松町西部に位置し、平均樹齢350年の檜の天然林が広がっている。江戸時代以降は尾張藩の直轄領、明治時代以降は国有林に指定され、厳しい 森林保護政策を背景に美しい天然林が残った。
伊勢神宮式年遷宮御杣始祭(みそまはじめさい)の御神木はこの森周辺から伐り出され、また森林浴や森林セラピーなどでも親しまれている。

寝覚の床

寝覚の床

豊かな森林が蓄えた水は、谷底の急峻な木曽川へと流れ出る。白色の大きな花崗岩が水墨画のように垂直的に削られたその景観は、観る者を圧倒させ、四季折々の表情を魅せる。
中山道を歩く旅人の憩いの場として古くから親しまれてきた。浦島太郎が晩年を過ごしたという伝説も伝わる。

  • 木曽駒ケ岳

    木曽駒ケ岳

    峻厳な山肌をもつ、中央アルプス最高峰・木曽駒ケ岳(標高2,956m)。古くから信仰の山として威光を放ち、崇められてきた。上松町の登山口からもその頂きを目指せる。

  • 小野の滝

    小野の滝

    中山道沿いを進むと、JRの高架下に突如現れる小野の滝。木曽駒ケ岳を源流とする。江戸時代、葛飾北斎や歌川広重の浮世絵に描かれたほど、上松宿の名所として知られた景観である。

  • 赤沢森林鉄道

    赤沢森林鉄道

    自然休養林を走る鉄道。それは大正から昭和に、森を生きる人々の木材運搬に欠かせない存在だった。現在は観光路線として整備されており、車窓から美しい森を眺められる。

おすすめ

RECOMMEND

例祭一覧

特産品一覧

アクセス

ACCESS

自動車でのアクセス

自動車でのアクセス

鉄道でのアクセス

公共交通機関でのアクセス
SNSでシェア!