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世界でも貴重な天然木の森「赤沢自然休養林」などを散策、長野県上松町だから体験できる8つのこと

2023/7/25
2023/7/25
世界でも貴重な天然木の森「赤沢自然休養林」などを散策、長野県上松町だから体験できる8つのこと

中央アルプスの最高峰である木曽駒ヶ岳の麓、一面深い森に囲まれた上松町。旧中山道沿いにあるこの町は、古くより良質な檜(ひのき)の産出地として知られ、里人は森と向き合いながら暮らしてきた。雨が滴る瑞々しい新緑、荒々しい岩肌など自然の景観と向き合い、この土地の長い歴史に想いを馳せるという贅沢さ。この上松の底知れぬ魅力を、「赤沢自然休養林」と「寝覚の床」などの見どころとともにお伝えします。

①ガイドと共に「赤沢自然休養林」を散策・堪能する

まずご紹介させていただくのが、上松町南西部に位置する赤沢自然休養林。日本三大美林として知られる木曽檜の天然林が広がっており、森林セラピーや森林浴が人気です。園内には誰もが楽しめる7つのコースが整備されています。

事前に上松町観光協会経由で予約をすると、「NPO木曽ひのきの森」のガイドの方に森の案内をしていただくことができます。ガイドの方は全員、赤沢自然休養林の隅々まで知り尽くしていることはもちろん、森の癒し効果についての生理学的な知見のある有資格者もいます。経験豊富なガイドの方と森を散策することで、動植物の観察、森林の歴史等の知識も深めることができます。

森を案内する「NPO木曽ひのきの森」の田中伸一さん

たとえば「この森の特徴は、単なる檜林ではなく、天然木であることです。通常このような環境では笹が地上に生い茂りやすいのですが、それがこの森では生えていません。だから(十分なスペースが確保されて)手を加えなくても素晴らしい天然の檜が育つんです。」などと、森の生態系を教えてくださいます。

サラサラと流れる川のせせらぎがとても気持ちの良い音を立てて、心が洗われるようです。時には小魚も見つけられます。植物の名前や小話を教えてもらいながら、森の中を進んでいきます。鳥のさえずりが聞こえると、「あれは〇〇という名前の鳥だよ」と教えてくれます。

前日が大雨だったと思えないほど、透明度の高い小川

20年に一度、伊勢神宮の式年遷宮で使われる御神木を伐切り出す御杣始祭(みそまはじめさい)。御神木を伐りだした跡地を見学することができます。

1985年6月3日の御神木伐採跡

赤沢自然休養林は、森林浴発祥の地としても知られています。森の中で寝そべったり深呼吸しながらストレッチをしたりすると、心身ともにリフレッシュされるのか、心は清々しく、体も少し軽くなるように感じます。県立木曽病院と提携した医師が同行して森林浴を楽しむ森林セラピーメニューもあります。

森林セラピー体験はいかが?

今回は新緑の時期(6月の様子)のご紹介でしたが、紅葉の時期はまた違った風景で、赤や黄色に色づいた木々が楽しませてくれるでしょう。春と秋には森林浴大会も開催されます。散策ガイドは2時間6,000円〜、森林セラピーメニューは要相談、問い合わせは上松町観光協会 (電話番号:0264-52-1133)まで。

②森のトンネルを抜ける高揚感、「赤沢森林鉄道」

森林は歩くだけでなく、森林鉄道に乗ってその雰囲気を味わうこともできます。この鉄道は大正初期から昭和35年まで、実際に木材の運び出しなどに使われ、当時非常に活況だった林業を支えてきました。現在は観光用として復活し、大人(中学生以上)900円、子ども(4歳〜小学生)600円で乗れるようになっています。

沢の風景を見下ろしたり、遊歩道を歩く人に手を振ってみたりと、歩きでは体感できない森の楽しみ方ができます。車内放送では、赤沢自然休養林に関する歴史なども説明してくれるため、その理解がグッと深まります。

車窓から見える景色は、手が届きそうなところに木々が生い茂り、まるで緑のトンネルを抜けていくような感覚があります。鉄道に乗っていると、森に深く潜るように進み、高揚感が味わえます。

鉄道の発着駅付近には森林鉄道記念館があり、実際に木材を運んでいた昔の蒸気機関車が展示されています。

また、車内が理髪店として改装されたユニークな展示もあり、かつては実際に利用されていました。材木関係のお仕事で、一度山に上がるとしばらく帰れないため、理髪車を利用する方々もいたのです。

走る床屋「理髪車」には、鏡、椅子、スチーム釜、流し台が完備。(今回特別に内部からの撮影許可をいただきました)

③森をより深く知ることができる「森林資料館」

また、赤沢自然休養林の駐車場付近にある、森林資料館では、森と関わってきた人々の暮らしに関する展示が行われています。入館は無料です。

森の中に暮らす野生動物のこと、木を伐採するのに使うノコギリや斧、チェーンソーなどの道具、御杣始祭(みそまはじめさい)の様子のことなど、森にまつわることが学べます。

【赤沢自然休養林】
住所:長野県木曽郡上松町小川入国有林
交通案内:上松駅からバス30分、妻籠宿から車で70分
開園時期:4月下旬-11月上旬
ホームページ:https://kiso-hinoki.jp/colibri-wp/tourist/akasawa/
入園料:無料(赤沢森林鉄道乗車料金は有料)
駐車場料金:普通車 600円
※森林散策・赤沢森林鉄道・森林資料館、共通の駐車場です。
※駐車料金は、園内の整備清掃などに活用される利用者協力金を含みます。

④長い歴史が生み出した、奇岩の絶景「寝覚の床」

自然の景観を楽しめる場所として、寝覚の床(ねざめのとこ)があります。ここは、旧中山道に沿って流れる木曽川のカーブする地点で、白くて大きな花崗岩が長い年月をかけて削られ、大岩や奇岩がならんでいます。その大迫力の絶景に息を飲むことでしょう。

この寝覚の床の近くには、臨川寺というお寺があります。臨川寺の宝物庫には、寝覚の床付近で晩年を過ごした伝説がある浦島太郎が使っていたとされる釣竿などの珍宝や、古い道具などが保管されています。

また、周辺にある「食事処寿伊舎」や「木曽人ねざめ亭」といった食事処では、中央本線と寝覚の床が一緒に見られる屋外席もあります。名物の美味しいお蕎麦など、ぜひランチとともに楽しんでみるのも良いでしょう。

【寝覚の床】
住所:長野県木曽郡上松町寝覚
交通案内:無料駐車場あり、中津川インターから60分、上松駅からバス5分
ホームページ:https://kiso-hinoki.jp/colibri-wp/tourist/nezamenotoko/
観覧料:無料、臨川寺(拝観料200円)

⑤江戸時代の旅人も感動した「小野の滝」

小野の滝は旧中山道の道沿いに、突如として姿を現す滝です。古くからここを通る多くの旅人の疲れを癒してきました。その雄大な姿は歌川広重や葛飾北斎が浮世絵に描き残しているほどです。

歌川広重作:「木曽海道六拾九次乃内」の「上ヶ松」

鉄道道路脇に車を停め、すぐにそこから見られる手軽さがあり、滝壺の近くまで歩み寄ることもできます。

【小野の滝】
住所:長野県木曽郡上松町小野
交通案内:無料駐車場あり、中津川インターから60分。
上松駅からバス10分
※寝覚の床から車で3分
観覧料:無料

⑥旧中山道で、古の旅人に思いを馳せる

上松駅周辺には旧中山道・上松宿に関連するスポットも盛りだくさんです。一里塚が置かれている場所もあり、一部古い町並みも残っています。今では車や電車、バスなど便利な移動手段がありますが、江戸時代の旅人は歩いて移動していました。当時に思いを馳せながら中山道の名所を巡ってみるのも楽しいでしょう。

⑦上松の食「朴葉巻き」を堪能する

上松のお土産・名物についても一部ご紹介しておきましょう。こちらは、木曽地域に伝わる伝統的な祝い餅「朴葉巻き」です。一見柏餅を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、香り豊かな朴の葉で小豆のあんが入った米粉の餅を包んで蒸した和菓子です。葉が柔らかい5月下旬〜7月中旬頃の新緑の季節しか出回らないため、もしこの時期に訪れることがあればぜひ、食してみるのも良いでしょう。

道の駅や和菓子店、スーパーで販売されているほか、「上松町特産品開発センター」(住所:長野県木曽郡上松町大字小川3428, 電話番号:0264-52-1505)に問い合わせると地方発送も可能です。

⑧夜の星空を眺め、旅の疲れを癒す

さて、旅の夜、空を眺めてみると、絶景の星空が広がります。上松町は町灯りが少ない分、美しい星空を眺めることができます。また、6月下旬〜7月にかけて、蛍が見られる場所もあります。きっと、旅の疲れを癒してくれることでしょう。

このように、上松町は森林をはじめとした自然資源に恵まれており、さまざまな体験を通して、それを味わうことができます。また、森とともに生きてきた里人の暮らしの歴史や背景までも知ることで、より深く楽しむことができるでしょう。

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