Now Loading...

時を超えて今も残る原風景。里人たちが守り伝える世界農業遺産・高千穂町の棚田

更新日:2022/8/29 高千穂町 企画観光課
時を超えて今も残る原風景。里人たちが守り伝える世界農業遺産・高千穂町の棚田

高千穂町の美しい景色と言えば、“インスタ映え”で有名な高千穂峡を真っ先に思い浮かべるかも知れません。

でも、森林に囲まれた平地が少ない地域だからこそ、渓谷だけでなく、そこに至るまでに広がる景色すべてが、里人たちの手によって受け継ぎ守られてきた原風景。特に、斜面に広がる棚田の美しさは、きっと目を引くはず。

「フォトジェニック」のひと言では終われない、高千穂町の棚田にまつわるストーリーをご紹介します。

山深い土地に広がる。美しい棚田の風景

棚田とは、急な山の斜面に対して、段々になるように作られた田んぼのこと。高千穂町がある宮崎県内には、17つもの棚田が存在しており、「ひなたの棚田遺産」として宮崎県が情報を発信しています。

高千穂町内には、この「ひなたの棚田遺産」として、川を挟んで右岸側と左岸側に広がっている「尾戸の口棚田」「栃又棚田」、そして南西部に位置する「徳別当棚田」の3カ所が認定されています。これらの棚田は、美しい景観から「棚田百選」にも選ばれました。

フォトジェニックな景色ですが、高千穂町の棚田が魅力的なのは、目に映る景色だけではないのです。

息づく自然、文化すべてが繋がるからこそ「世界農業遺産」に

さらに平成27年には、高千穂町を含む高千穂郷・椎葉山地域が「世界農業遺産」に認定されています。

世界農業遺産とは、伝統的な農業や農法によって、独自の農林水産業を営む地域に対して、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定をしているもの。

この地域が認定されたのは、和牛やお茶の生産、棚田での稲作など複数の要素を組み合わせたりすることで、生計を立ててきたというこのエリアならではの複合的なシステムが評価されたから。

標高が高く、平地が少ない集落は、かつて生活水を汲むためにも4kmかけて川まで降りないといけないという厳しい状況でした。

そこで農業用水を確保するために明治末期から大正初期にかけて山腹用水路(別名:いで)を作り上げたことで、棚田が営みの中心となるきっかけにもなりました。最初は16kmだった「いで」は、いまや500kmもの長さに!

この「いで」を作った先人のお話は漫画でも公開されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「高千穂郷・椎葉山地域 – 高千穂 いで物語 山腹用水路の秘密 –」

大昔から棚田が広がっていたわけではなく、先人たちの努力があったからこそ、今の我々が美しい棚田の風景に出会えているんですね。

そして……

標高が高く、平地が少ないという農地として厳しかったという歴史があるからこそ、五穀豊穣を祈る伝統文化「神楽」も盛んに。今も各集落で奉納され続けています。

この「神楽」も、世界農業遺産として認められた「山間地農林業複合システム」の一部なのです。

自然を敬う気持ち。伝統文化やコミュニティに繋がる里人マインド

——美しい棚田は先人たちが残してくれた貴重な農用地——そんな気持ちが里人たちの間に自然と息づいているからこそ、用水路や棚田の景観を保全するために草刈りを行い、五穀豊穣を願い、地域ごとに「高千穂の夜神楽」を奉納し続けているのです。

町の中に広がる景色や営みは、世代を超えて、里人たちの気持ちと強いコミュニティによって守り伝えてきたもの。高千穂町で出会えるおいしい食材や美しい風景とあわせて、里人たちのストーリーにも、ぜひ思いを馳せてみてください。

この記事を書いた人
ブンカジャパン
九州を代表する観光地で、「神々の里」と言われる宮崎県高千穂町の魅力を紹介!

オマツリジャパン オフィシャルSNS

あわせて読みたい記事