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配信というツールを手に入れたことは怪我の功名。ひろしま安芸高田神楽の挑戦 知って興味を持ち、交流する。広がり続けるひろしま安芸高田神楽、継承への思い

更新日:2022/11/24 minoshimatakako
配信というツールを手に入れたことは怪我の功名。ひろしま安芸高田神楽の挑戦 知って興味を持ち、交流する。広がり続けるひろしま安芸高田神楽、継承への思い

全国の神楽ブームの火付け役となった「ひろしま安芸高田神楽」。コロナ禍で公演や練習ができないといった苦難を乗り越え、2022年には本格的に公演を再開しました。さらに、11月27日(日)には、神楽門前湯治村の神楽ドームでの「2022 ひろしま神楽 春夏秋冬特別公演【秋の舞】」開催が決定。安芸高田市をはじめ、広島県内の神楽団が集結します。

松田祐生さん松田祐生さん

コロナ禍という苦境を経て、今後、ひろしま安芸高田神楽をどのように継承していくか。神楽への熱い思いとあわせて、広島県安芸高田市 産業部 商工観光課 課長/桑田天使神楽団 団長の松田祐生さんにお話を伺いました。

広島県安芸高田市 産業部 商工観光課 課長
平成27年度国際交流基金 文化芸術交流海外派遣助成事業として採択された、メキシコ・ブラジルでの中南米神楽公演では、広島選抜神楽団メンバーとして出演。2019年より桑田天使神楽団の団長を務める。

ひろしま安芸高田神楽とその魅力

——松田さんは商工観光課の課長でありながら、神楽団の団長も務めているのですね。

はい。小学校3〜4年の頃から神楽を始めて、現在、神楽歴は40年ほどです。

——長い期間活動されているのですね。続いて、ひろしま安芸高田神楽の特徴について教えてください。

神楽は全国にありますが、広島の神楽は、古くからの形を残す石見地方の神楽がルーツとなっています。加えて、出雲や高千穂などさまざまな神楽の影響を受けて形作られてきました。

最大の特徴は、昭和20年代から始まった「新舞」です。これは敗戦後に連合国最高司令部(GHQ)が出した神楽禁止令がきっかけで生まれました。歌舞伎や能の要素を取り入れ、神道的な要素を薄めたもので、スピード感があり、ストーリーもわかりやすくなっています。

——松田さんにとって神楽とは、どのような存在ですか。

自分を表現できる場です。ステージに上がることで人に見てもらえるという魅力があります。また和太鼓の音色はDNAに刻まれた音。叩く音を聞くだけで、ウキウキしてしまいますよね。

それに神楽団には、さまざまな年代、性別、職業の人が集まります。地域の情報を交換する場でもあるのです。一度入ると、なかなかやめられなくなる魅力的な場所だと感じています。

神楽継承のために行っている3つのこと

——神楽の中でも、特に人気があるひろしま安芸高田神楽ですが、継承のために必要だと感じていることを教えてください。

どう継承していくべきかを考えたときに、大きく3つの要素が必要だと考えます。それが、「舞台を作る」「次世代の発表の場をつくる」「多くの人に知ってもらう」です。

1,舞台を作る
まず、練習した神楽を舞うためのステージを作ることが要素として欠かせません。年間150日の定期公演といった、毎週神楽を発表する場を作るという取り組みを行っています。

2,次世代発表の場を作る
次に、神楽を受け継いでいく次世代の高校生たちが発表する場として毎年7月に「神楽甲子園」を開催しています。また、より幼い頃にも発表できるように、「子ども神楽発表大会」も開催しています。

こういった体験により、若者たちが「神楽があるからこの地域に残る」というきっかけにもつながってほしいという願いもあります。

3,大都市公演で広く知ってもらう
そして3つめには、大都市公演で広く知ってもらう、ということが挙げられます。湯治村では平成10年から定期公演を行ってきましたが、もっと広く知ってもらうためにと平成20年頃から全国的に公演を行っています。

またインバウンドに向けて、海外公演も行っています。

——現役、次世代、そして外部へのプロモーションと多角的に行われているのですね。次世代について、今全国的にも少子化が問題となっています。その点についてはどのようにお考えでしょうか。

やはりどれだけ働きかけても、子どもの母数は少なくなっています。だからこそ、幅広く神楽を発信することで、興味を持ってもらって、この安芸高田との交流が生まれ、最終的に定住につなげていくことができれば理想ですね。

そのためにも、まずは「知ってもらう」ことが重要だと考えます。

——松田さんは他の地域でも神楽を教えていると伺いました。そういった活動をされているのは、なぜでしょうか。

オファーをいただいたことがきっかけで、神楽がない地域で教えています。こういった活動をしているのは、神楽が全国に根付くことで、その地域に人も根付くことが一番いいなと感じているからです。

今の時代、情報が伝播するスピードが速くなっています。よさこい祭りも、どんどん全国に広がっていきました。同じように、各地に神楽が作られ、それぞれ盛り上がることで、互いに相乗効果も狙えると考えています。

今回の公演に向けて

——コロナ禍は、ひろしま安芸高田神楽にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。

コロナ禍によって、舞う機会が失われてしまいました。その代わりに多くの方々のお力を借りて行ったのが、ウェブ配信です。機会は減りましたが、配信があったからこそ、コロナ禍でも続けてこられたのだと思います。

練習についても、緊急事態宣言やまん延防止措置の間は集まることができませんでした。公演前に新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者がでたりする中で、なんとかやりくりをしてきた状態です。

また演者たちだけでなく、神楽の衣装やお面など、公演を支える人たちにも多大な影響があったことも忘れてはいけません。

——団員のみなさんは無報酬で舞われているのでしょうか。

そうです。無償のなか、技を磨き続けています。公演で出た売上げは、1着100万~200万円する衣装やお面などさまざまな経費に使われています。

——かなり高額なのですね。

舞う人や観客だけでなく、そういったものを作る職人さんたちにも支えられて神楽は成立しているのです。だからこそ、どんどん国内外へ発信して、日本国内だけでなく、海外のリピーターさんも増やしていく必要があると考えています。

この安芸高田は、各地へ観光にきた外国人からスルーされやすい場所なのも課題なのです。

そう考えると、コロナ禍で配信というツールに出会えたことは怪我の功名。広めるツールを手に入れられたと思います。

——「2022 ひろしま神楽 春夏秋冬特別公演【秋の舞】」開催については、どのようなお気持ちですか?

秋の一番いい時期に開催される公演です。コロナ禍以降、神楽を舞う機会が減りましたが、こうやって再開できることは皆さんのお力のおかげ。ぜひ楽しみにしていてください。

取材:2022年10月4日

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この記事を書いた人
minoshimatakako
オマツリジャパン オフィシャルライター

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