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年末の風物詩!忠臣蔵を再現する東京泉岳寺「義士祭」と日本各地で行われる「義士祭」

2018/12/28
2023/12/14
年末の風物詩!忠臣蔵を再現する東京泉岳寺「義士祭」と日本各地で行われる「義士祭」

「各々方、討ち入りでござる!」

年末の風物詩ともいえる「忠臣蔵」。江戸時代、赤穂の浪人47人が主人の敵討ちをする物語で、勧善懲悪のドラマチックなストーリーが日本人の心をくすぐり、これまで幾度となく歌舞伎や映画、ドラマに取り上げられています。

その歴史絵巻を体験できるのが、日本の各地で行われる「赤穂義士祭」。この記事では、その中でも東京の泉岳寺で行われる「義士祭(冬)」を中心にご紹介します。

年末の風物詩「赤穂義士」と「忠臣蔵」とは?

仮名手本忠臣蔵 松の廊下

赤穂は兵庫県赤穂市のこと。赤穂義士とは、江戸時代中期にあたる元禄 15 (1702) 年 12月 14日夜 (15日早朝)、江戸の吉良邸で旧主の仇討ちをとげた浪士47人のことを指します。

一連の「赤穂事件」について歴史的事実の考証は現在も続いていますが、忠臣蔵のストーリーによると発端は次のとおり。
播磨赤穂藩の第3代藩主 浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)は、勅使饗応役という大役を幕府から仰せつかっていました。これは勅使・院使に渡された天皇と上皇の手紙に将軍が返事をする重要な儀式の手配をする係。

これについて、若い内匠頭は、高家旗本 吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしなか)にアドバイスを得ていました。しかし、度重なる嫌がらせ、辱めを受け、限界に達した内匠頭。江戸城松の廊下で「この間の遺恨覚えたるか!」と叫び吉良に切り付け、即日切腹の沙汰に。さらに浅野家は御家断絶となりました。

仮名手本忠臣蔵 討ち入りの図

この恨みを晴らすため、立ち上がった旧赤穂藩士47名。この中心となったのが、大石良雄(通称 内蔵助)。東京両国の吉良邸で吉良の首を打ち取り、泉岳寺にある旧藩主の墓前に捧げます。そして翌年2月4日、幕府の命により切腹、泉岳寺に葬られました。

忠義を貫き討ち入りを果たした赤穂浪士の行列は、江戸の庶民にも大人気。翌年にはこの事件を題材とした芝居が作られます。「忠臣蔵」は「忠義ある家臣」と「内蔵助」からインスパイヤされたタイトル。内蔵助だけでなく、個性あふれる魅力的な登場人物のスピンオフ作品も作られる、日本最大の興行作品となります。

現在も、雪の降りしきる中、そろいの陣羽織、内蔵助の陣太鼓を合図に討ち入るシーンは、年末ドラマの名場面となっています。

東京泉岳寺で行われる「義士祭」

討ち入り後の赤穂義士の行軍の最終目的地となった泉岳寺。今も浅野内匠頭および義士たちの眠るこの寺は、忠臣蔵ファンの聖地です。毎年4月には赤穂義士追善法要として春の義士祭、毎年12月14日には冬の義士祭と、年に2回義士祭が行われています。

今回ご紹介する冬の義士祭は、討ち入りのあった12月14日にあわせて行われます。お祭りらしくグルメ屋台なども多く出店するので、歴史ファンのみならず多くの人でにぎわいます。

【例年の開催概要】
■日時:毎年12月14日 7:00~ 閉門は20時
・11時頃 墓前供養 浅野長矩公之墓所
・12時頃 献茶式 東阿部流献茶式(本堂にて) 献茶式に続き 義士追善供養(本堂にて)
■場所:泉岳寺とその周辺(忠臣蔵パレードは中央区市役所前~泉岳寺まで)
■アクセス:都営浅草線 泉岳寺駅 A2出口 徒歩2分
※泉岳寺への入園は無料です

まさに歴史絵巻!赤穂義士の足取りを辿る、7kmのパレード

毎年好評なのが、赤穂義士に扮して行われるパレード。義士装束をまとった47人を含む、総勢約55名の行列は圧巻です。例年のパレードのルートとおおよその通過時間は以下の通りです。

12:00 中央区役所前 出発式後パレード開始
12:35 築地川銀座公園 記念撮影 晴海通りから昭和通り日比谷通りを通行
13:35 増上寺到着 小休止後パレード再開
14:30 芝5丁目交差点を右折 第一京浜を泉岳寺方面へ
14:50 泉岳寺駅付近 一旦停止 隊列を整え
15:00~15:30 泉岳寺に向けパレード再開

クライマックスは泉岳寺の浅野内匠頭の墓前で一同が集まり、勝ちどきをあげる場面。
全行程の中でも特に見物客がかなりの数にのぼるので、パレードのルート上のポイントで、通過時間に合わせて行列を待つのも一つです。

ちなみにパレードのルートは義士たちが歩いた道のりの一部。ゆっくり歴史体験をしたい方は、お祭りの時期を外してゆっくりウォーキングするのもおすすめです。

筆者はお祭りの時ではないですが、日本史マニアの息子(当時小5)とともに全行程を歩いたことがあります。
義士たちは何と2時間で歩いた、という道のり。我々はというと、吉良邸のある両国でちゃんこを食べ、築地で楽しくなってお買い物。
道々残る様々な史跡にいちいち大興奮し、泉岳寺についたときは夕方五時。「ゴーン」という鐘の音が聞こえたな~と思ったら閉門でした。まあ、その時間真っ暗な境内に入ってもお墓参りは無理ですね。歴史散策は計画的に(笑)。

全国の赤穂義士祭

赤穂義士祭の「義士行列」 写真©obaq

12月14日には、各地の赤穂義士ゆかりの地で義士祭が行われます。主なものをご紹介します。

◎兵庫県赤穂市「赤穂義士祭」

赤穂藩のあった義士たちの故郷、兵庫県赤穂市の赤穂城跡の周辺で行われているのが「赤穂義士祭」です。祭りは例年、晴れやかな音楽パレードで幕を開け、大名行列や南京玉すだれ、殺陣の披露などで一気に江戸時代へタイムスリップしたかのような気分を味わえます。

忠臣蔵の名場面も山車の上で再現され、祭りのフィナーレで赤穂四十七士が練り歩く「義士行列」が最大の見どころ。例年、大石内蔵助役には高橋英樹さんや中村雅俊さんといった豪華ゲストが登場して盛り上がります。

オマツリジャパンには、現地からの詳しいレポートがありますのでぜひご覧ください!


◎京都府京都市山科区「山科義士まつり」

大石内蔵助が討ち入りまでの間、隠棲した地でもあり、四十七士に深いゆかりのある京都市山科。大石神社境内で義挙大祭が行われるほか、討入り装束の四十七士が大石神社へ行進します。

ほかにもかわいらしいい幼稚園児による子ども義士隊や、「刃傷松の廊下」「切腹」「連判状改め」「討ち入り」などの芝居、女性陣による「大石音頭」「元禄花見踊り」など見どころがいっぱいです。

◎新潟県新発田市「義士祭」

赤穂義士として活躍した一人に、新発田出身で剣の腕を見込まれて赤穂藩士の堀部家に入った堀部安兵衛がいます。安兵衛を偲んで祖父の菩提寺である長徳寺で法要が行われ、義士堂の中に祀られている「赤穂義士四十七士の木像」がこの日に限り一般開放されます。

そのほか剣道形の披露、赤穂義士に扮した少年少女剣士による市中パレード、御免町安兵衛太鼓部の演奏なども行われます。詳しくは、しばた観光ガイドの案内ページ新潟観光ナビの案内ページなどでご確認ください。

◎兵庫県丹波篠山市「古市義士祭」

赤穂義士の一人、不破数右衛門の実の両親が身を寄せ、実子大五郎・鶴の二人が暮らしていた古市の宗玄寺で行われます。

義士装束をまとった子どもたちによる義士行列が練り歩き、討ち入りそばも振る舞われます。ほかにも会場では、絵画展、生花展示、写真展、短歌・俳句展示、餅つき大会、竹太鼓演奏などが行われ、1日中にぎやかな歓声に包まれます。

詳しくは古市自治会ホームページ丹波篠山市の案内ページなどでご確認ください。

◎北海道砂川市・北泉岳寺「北海道義士祭」

赤穂浪士の熱烈な崇拝者だった初代住職が、東京都の泉岳寺に義士墓建立と寺名の変更を陳情し、二代目住職となった昭和28年2月4日、四十七士切腹の日に、「北泉岳寺と名のってもよい」という承認書が届きます。昭和31年に墓所をつくり、盛大な開眼、入魂祭を挙行して、義士祭も行われるようになりました。

祭りでは義士隊が北泉岳寺に参集し、試し切りの奉納、義士墓前祭、吉祥祈願などが行われ、勝ちどきをあげます。他の地域にはない雪が積もる独特の雰囲気の中で行われ、訪れた人たちは、お振舞いの当たり矢そばや甘酒などで体を温めます。

詳しくは北海道義士祭公式サイトでご確認ください。

おわりに

いかがでしたか?忠臣蔵は時代を超え、映画、歌舞伎、お芝居と様々な形で愛される、日本最大のエンターテインメント。お祭りをきっかけにさらに背景を知り、この不朽の名作に触れてみてください。

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