豊作や疫病を予言「アマビエ」とは
「アマビエ」です。水木しげるの原画を撮影しました。
江戸時代、熊本の海に現れ「疫病が流行ったら私の写し絵を早々に人々に見せよ」と言って海中に姿を消した妖怪、というより神に近い…もの。
現代の疫病が消えますように。 pic.twitter.com/0P7HfyRe8h— 水木プロダクション (@mizukipro) March 17, 2020
江戸時代、熊本の海に光り輝く姿で現れ「疫病が流行ったら私の写し絵を早々に人々に見せよ」と豊作や疫病などの予言し、海中に姿を消した妖怪、というより神に近いもの。
その絵姿を見ることで流行り病から逃れることができると言われています。
リアル アマビエまつりをやってみた
緊急事態宣言が発令された際、次々にお祭りが中止、規模縮小となっていきました。
カメラマンの私にも何かできないか…と考え、疫病退散のアマビエを描くのではなく「写真に撮る。」というアイディアを思いつき、舞などをされている方に「アマビエ変身してみませんか」と、お声がけさせていただきました。
しかし神聖な奉納舞をしている方々が妖怪になり、衣装も用意していただくという非常にハードルの高いチャレンジ。
疫病退散を願うという前に、「アマビエ変身はできない」とお断りされるケースが続出。
撮影モデルもお披露目させていただく神社仏閣もなかなか決まりませんでした。
そんな中、快くOKしてくれたのは舞妓さんよりも稀少な存在の島原太夫の葵太夫。
外出自粛で衣装や小物を用意するのも大変でしたが、日本画家の鴨脚(いちょう)先生が着物に彩色をしてくださったりと、創意工夫で和装によるアマビエを見事に表現してくださいました。
写真:京都島原太夫によるアマビエ 関連記事:「アマビエまつり」リアル・アマビエ現世降臨!
太神楽曲芸「豊来家玉之助」創作!『アマビエ踊り』
声をかけていた方の一人、傘回しなどの太神楽曲芸をする豊来家玉之助さんから「『アマビエまつり』で描いたアマビエさんが御朱印になりました!」と連絡が!
「獅子舞でアマビエの踊りというのは陸と海の物だけに無理がある…」。
それなら、と絵を描いてくださったのが、なんと漢國神社(かんごう じんじゃ)の御朱印になりました。
御朱印を受けた方から「目がないのが怖い」ということから、「願いが叶ったら目玉をいれる」というダルマのような話になり、だんだんとアマビエが縁起物に…。
写真:稽古場には獅子舞を祀り、その前で基本の後ろ返りの練習や伊勢音頭を謡う
そして夏の終わりに玉之助さんから、またとんでもない連絡が入る。
玉之助「アマビエ踊りお練り、11月ごろにお披露目できそうです!」
佐々木「えええええええええ?!アマビエ踊り?!」
玉之助「佐々木さんに何かでアマビエやってほしいと言ってもらっておりましたので、やるなら かっちり道具から作ることにしました。
絵も自分で描くと良いというものなので、踊りと囃子と道具も公開して誰でも使えるように作ろうかと。」
お願いしていたことが半年近く経ってから、とんでもないことになって戻ってきた。という衝撃とともに「昔の人もこうして疫病退散を願って神に願い、儀式化し、文化になっていったのだろうか…。」と思いをはせることしきり。
写真;鳴り物の練習は灰皿。意外と良い音がなる。
早速、どんなものか見せていただこう!と、西宮神社の会館に行くと、「手で縫った方が情念がこもってよい」と道具を作っている玉之助さんの姿が。
玉之助「最初から出来上がってるとマネしづらいから、白生地に疫病退散の文字を入れたものがいいな。そのうち、好きなように色を入れたり、アレンジしてくれればいい。」と、竹と布を組み合わせ「ここが頭で、ここは銅」とみんなで重さを確かめる。
絵であったアマビエ。絵を抜け出て動きだし、踊りはじめた瞬間だった。
写真:これがアマビエになるらしい。なんだかちゃんと、お練りになってる!
稀少文化消滅の危機の加速
アマビエ踊りのお稽古の際、玉之助さんにお話を伺いました。
玉之助「地域の役回りとして獅子舞を習っていた人たちも『コロナだから』と断る口実になるのではと心配しています。お祭りが中止や規模縮小で発表の機会もない。残っているのは僕とベテランの人くらいです。」
Facebookでは玉之助さんの所属する獅子舞「韓園講(からそのこう)」でその苦しい状況を公開していました。
漢國神社韓園講 参考記事;
どうしても生活、生きる事を優先にせねばならない中、それは講の仲間も同様です。やっと形になってきた漢國神社韓園講も、危機に瀕する事となります。
このまま流行病が続けば、また0どころかマイナスからの再出発となるでしょう。今の状況と講の質を取り戻す事は困難となります。最悪は絶望的となると思います。
そこでお願いがあります。講の皆は自分達で稽古して、披露する事に必死で、発足から現在に至るまで、自分達でほとんど写真や動画を撮っておりません。
そこで
講の皆が、自分達の存在が確かにある事、そしてコロナが収束した時の励みになるように
そして、今まで応援してくださったお客様とこれからご縁が生まれるであろうお客様のために、
皆さんがお持ちの写真や動画をこちらにご投稿願えませんでしょうか。舞台裏や恥ずかしいものや可笑しいものも含めて、皆様のおかげで、人間ドラマが確かにあって、韓園講が出来上がっている事をもう一度再確認させてあげてください。是非ご協力お願い致します。
この呼びかけにより写何年も前の貴重な写真や動画が本当にたくさん掲載されました。
御杖村桃俣の獅子舞も、漢國神社の獅子舞も、ただ滅びて行くだけで良いのなら、ここまで稽古する必要も無かった彼らです。
続けていくという事、その為には見てくださる方あって、その人たちがやりたいと言ってくれて、その人たちに全て託す、そこまで行って初めて0の出発点だという事を、皆がわかる前にこのような事態になりました。
祭りに真摯に向き合い、太神楽のプロである玉之助さん。
「誰でもできることを披露しても面白くない」「その昔は練習する場所もなく、河川敷で一人大きな声を出していた」ということなども伺いました。
今のメンバーは「神事をするのは代々、当たり前の生活だったから」という氏子さんや、WEBを見て獅子舞をしてみたいと集まってくれた人たち。
お稽古では大きな神社の会館で練習できるなんてありがたい。と、地域の人たちの明るくほのぼのとした感じが伝わってくる。
楽しくひきつけられる演舞の裏側には、文化を繋ぐことの大変さや、厳しい指導の現場がそこにはありました。
写真:指導中の顔は真剣。思わず一緒に踊りたくなるを追求し、指導に熱がこもる。
セルフブランディングへの挑戦
このような緊急事態となると無観客ライブをするためにパソコンでの映像の作成や発信などのITの知識も必要になります。
コロナでの活動給付金はPCやカメラなど、これからの活動のために貯金もつぎ込んで用意。
芸の練習だけでなく、オンラインでのチケットの販売方法や、「見たい!」と思わせる広告を作成、継続して楽しんでいただく方法を模索する姿がありました。
(ちなみにカメラマン佐々木も「アマビエまつり」でコロナ支援金申請をしましたが残念ながら却下されました。
玉之助さん曰く「稀少な地域文化の記録」とすればよいのではないかとのご意見。なるほど。確かに普段撮影しているのは文化ばかり!表現の仕方で結果が変わるなと納得。勉強になります。)
玉之助「誰もドリルの先にはなりたくない」。
一番、負荷がかかり、折れてしまうかもしれないドリルの先、何もない0から1への大変さを感じる一言でした。
そういった危機を乗り越え、「アマビエ踊り」いよいよ公開!
冬に向け寒さに負けずと、笑う門には福来る!悪疫退散!!
2020年11月29日(日) 12:30 ツイキャス
電脳獅子神楽 創作アマビエ踊りを初お披露目
2020年12月6日(日) 23:59まで視聴可能
関連記事:※妖怪を受け入れアマビエ御朱印を授与できる神社仏閣のリサーチで書いた記事