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民話の世界観を再現した「狐の夜祭り」は地域の人々のアイディアが詰まっていた

2023/11/20
2023/11/20
民話の世界観を再現した「狐の夜祭り」は地域の人々のアイディアが詰まっていた

2023年10月8日(日)に新潟県柏崎市高柳で開催された『狐の夜祭り』に参加してきました。
『歩いた人から、狐の気分』というキャッチコピーを持つこちらのお祭り。
どこもかしこも狐だらけのお祭りをレポートします!

柏崎市高柳ってどんなところ?

新潟県柏崎市高柳町は、日本海に臨んだ柏崎市と、豪雪地帯である十日町市の中間に位置しており、「じょんのびの里」と呼ばれています。
「じょんのび」というのは新潟県の方言で「ゆったり、のんびり、心地よい」という意味。その言葉の通り高柳町は田園風景が美しい自然豊かな町です。

町の中には「荻ノ島かやぶき環状集落」をはじめとする茅葺き屋根の家々が点在し、日本の懐かしい原風景に出会うことができます。

夜だけじゃない! 楽しい催しが盛りだくさん

そんなのどかな町で『狐の夜祭り』というお祭りが開催されるということで、早速会場に向かいました!
お祭りのメイン会場となるのは、高柳町の『栃ヶ原』という地区と、『新潟県立こども自然王国』の二ヶ所。
こども自然王国に隣接する道の駅『じょんのびの里』と、栃ヶ原会場の区間は無料送迎バスが出ており、約10分ほど山道を登っていくと、栃ヶ原会場に到着しました。
栃ヶ原は現在13 世帯ほどが暮らす小さな集落です。

「夜祭り」というくらいなので、お祭りのメインは夜ですが、昼間もさまざまな催しが行われます。

最初にオープニングアクトとして会場を盛り上げていただいたのが、高柳小学校の生徒の皆さまと、地元のよさこいグループ『西山舞らんかい』『じょんのび輪舞(ロンド)』の皆さま。
神社へと続く田んぼ道がステージとなり、会場は一気に和やかなムードに包まれました。

柏崎市にはよさこいチームがいくつもあり、県内から県外まで様々な祭りやイベントに参加しているそうです。

地元の飲食店やお祭り関係者による飲食屋台の出店も楽しみのひとつ。
こちらも狐にまつわるものがちりばめられていました。

狐の好物といえばやっぱり油揚げ!炭火でこんがりと焼き目を付けた油揚げは香ばしくてたまりません! きつねうどんのお揚げも可愛い狐の顔に。きつねだらけの出店ブースは目でも舌でも楽しめます。

その後も、『黒姫神社神楽保存会』による獅子神楽の奉納や『MINGLE(ミングル)』のお二人によるミニコンサート、『黒姫山太鼓』の演奏などが行われ、会場は賑わいを見せます。

「黒姫神社保存会」の皆さま。獅子が舞いお祭りを祝福します。

「MINGLE(ミングル)」のお二人。バイオリンと管楽器の音色が里山に響きます。

「黒姫山太鼓」の力強くも繊細な太鼓の音。

さまざまな催しの合間に鳴り響いていたチェーンソーの音は、高柳町出身の石塚廣男さんによる木彫りのパフォーマンスです。一本の大きなスギの丸太が削られていき徐々に形になっていくと、最後には狐が姿を表しました。

迫力満点!畳一枚の大油揚げ作り

内容盛りだくさんの催しで楽しんだ後は、いよいよメインイベントのひとつでもある、畳一枚の大油揚げづくりが始まりました。
このお祭りのために特注で作った巨大な鍋と、大豆を18 ㎏も使用した巨大な生地が登場!
白装束を着た方々がゆっくりと慎重に生地を運んでいき、生地を鍋に沈めていくと、油がボコボコと波打ち、とても迫力があります。

火加減を調節しながらゆっくりと揚がっていく様子を見守ります。

畳一枚もある油揚げはひっくり返すのも大変。ここで失敗してしまったら巨大油揚げが台無しに。
緊張が走る中、7人がかりで見事にひっくり返すことに成功! 観客からもよかったと安堵の声と拍手が巻き起こりました。

両面が揚がったという合図が出て、鍋から取り出されると、まさにこんがりきつね色に!
こんな大きな油揚げは見たことありません。

大油揚げは大切に木箱に納められ、白装束を着て狐の姿になりきった人々が集まりはじめると、神事が始まりました。

アイディアで地域を盛り上げる!手作りのお祭り

狐の夜祭りは、今年で35回目の開催となります。
このお祭りは、地域の活動団体『夢追い人』が主体となり、栃ヶ原と漆島地区の方々と協力し、地域を元気づけようと平成元年に手作りで立ち上げました。

高柳町に古くから伝わる『藤五郎きつね』という民話をモチーフとし、試行錯誤を繰り返し、みんなでアイディアを出しながら企画しているそうです。過去には富山の風の盆とコラボしたこともあったとか。

現在は神奈川松蔭大学の学生たちが地域学習の一環として、お祭りの手伝いに来ていたり、行列には柏崎市第五中学校の学生たちに参加してもらったりと、若者たちが積極的に参加できる仕組みをつくっているそうです。

また、昨年から会場をこども自然王国に変更し、誰でも参加しやすいお祭りになっています。

夢追い人の皆さん手作りの幟旗。

狐の夜祭り実行委員長の藤村さんにお話を伺うと、「次の世代が引き継いでいけるように、年々やり方をやりやすいように工夫している。自分の代で終わらすわけにはいかないという想いでやっている」とお話ししてくださりました。

可愛らしい子狐たち。

暗闇に現れる不思議な狐火の行列

神事が終わると、いよいよメインイベントの狐の提灯行列が出発します。
栃ヶ原会場からこども自然王国まで約4㎞1時間の道のりを、提灯を持った狐の行列が進みます。
子供狐から大人狐まで、狐だらけの行列は可愛らしくもあり、奇妙な光景でもあります。

透き通った笛の音と拍子木の音が静かな山あいに響き渡る中、行列はゆっくりと進みます。
次第にあたりが薄暗くなってくると、提灯の光だけが浮かび上がり、さらに幻想的な風景となります。

写真提供:狐の夜祭り実行委員会

暗闇に包まれると、人の姿が見えなくなり、ゆらゆらと提灯だけが浮かぶ姿は、まるで狐火のようです。

写真提供:狐の夜祭り実行委員会

行列が到着すると、会場には多くの人が待ち構え、お目当ての大油揚げが披露され、会場の人々に振る舞われます。
手早く切り分けられ、行列に参加した人から順番にご利益のある油揚げを頂きます。

大油揚げの振る舞いがひと段落すると、地元の子供たちが藤五郎きつねの紙芝居を披露してくれました。

そして、お祭りのクライマックスを飾る『きつねの踊り』が始まりました。
焚き火の周りで狐に扮した白装束の人々が踊ります。
思わず口ずさみたくなるような不思議な電子音楽に合わせて、狐がぴょんと飛んだりステップを踏んだりと、コミカルな踊りを踊ります。

日本昔ばなしの物語のように、夜な夜な狐たちはこんな風に踊って遊んでいるのではないかと錯覚させるような情景に、見てはいけないものを見てしまったかのような不思議な気分になります。

狐たちは踊りが終わると山々に帰っていきました。

油揚げを頬張り、山から里に降りていき、踊り遊んで、また山に帰っていく。
まさにキャッチコピーの通り、狐の気分を味わうことができました。
豊かな自然と豊かな想像力が融合した幻想的なこのお祭り。
高柳の人々の地域を盛り上げたいという想いとアイディアでさまざま様々な人を巻き込み、このような素敵なお祭りを作り上げていることにとても感激しました。
民話の中に迷い込んでしまったようなお祭りに参加して、狐の気分を味わってみてはいかがでしょうか?

●祭り開催情報
名称:狐の夜祭り
開催場所:新潟県柏崎市高柳町栃ヶ原・新潟県立こども自然王国
開催日:10月上旬
主催者:狐の夜祭り実行委員会
アクセス:柏崎IC または六日町IC から車で約40分
JR 柏崎駅から路線バスで約55分
ほくほく線十日町駅からタクシーで約30分
関連サイト:https://www.city.kashiwazaki.lg.jp/soshikiichiran/shiminseikatsubu/chiikijim
usho/takayanagichojimusho/23/8568.html

 

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