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浅川の花火をレポート!歴史と伝統、様々な想いを乗せて点火します!

浅川の花火をレポート!歴史と伝統、様々な想いを乗せて点火します!

福島県で最古の花火大会がある浅川町。もしかしたら、先日、フジテレビで放送された「新説!所 JAPAN」を見て興味を持った方もいるのではないでしょうか?

町の人口6,400人に対して、花火師が約200人もいる花火師だらけの町として紹介されていました。今回はそんなクラスに1人は花火師がいる計算になる特殊な町の花火大会レポートです!

浅川の花火 歴史・概要

浅川の花火の歴史は約300年とも言われています。諸説ありますが、一番有力視されているのは、江戸時代後期の農民一揆「浅川騒動」で捕らえられ、処刑された首謀者を慰霊する為に各家庭で花火を作って打ち上げた事が起源とされています。

第二次世大戦後、火薬類取締法が施工され、一般人が簡単に花火を作ったり打ち上げたりできなくなっても、その名残を引き継いで毎年8月16日には身内で亡くなった方の為に、また三回忌や七回忌の節目に各家庭で費用を工面して花火を打ち上げています。

日本各地にはお盆の送り火、迎え火として慰霊が起源になっている花火大会は数多くありますが、その意味合いが非常に強く残っているのが花火の里である浅川の花火なのです。

大曲、長岡、片貝、豊橋などと同様に花火絵柄のマンホールが見られます

浅川の花火 公式サイト
最大号数 二尺玉
打ち上げ数 約3,200発
時間 19:00~21:00
主催者 荒町・本町青年会
担当煙火店 荒町・本町青年会 有限会社糸井火工

花火師が200人いるって本当?

正確には彼らは花火師ではなく、打揚従事者(うちあげじゅうじしゃ)と言う区分になります。一年中、花火を作ったり打ち上げたりする専業の花火師ではなく、普段はそれぞれの仕事に就いています。

浅川町では、各家庭で花火を打ち上げてきた伝統を引き継ぐ為に、浅川の花火を主催している荒町青年会(あらまち)、本町青年会(もとまち)に加入すると実際に花火の打ち上げに携わります。

打ち上げに参加する為には花火を扱う資格が必要であり、青年会に入るとまず花火屋さんから講習などを受け、日本煙火協会が発行する煙火消費保安手帳と言う免許を取得するのです。花火師と言ってしまうと少し語弊がありますが、花火に関して一般人ではないのは確かです。

荒町青年会 田崎さんとの対談

今回は、花火が始まる前に担当煙火店である糸井火工さんの御紹介により、荒町青年会に所属している田崎さんとお話する機会を得られたので疑問や質問など色々と聞かせて頂きました。

蛭田:初めまして、宜しくお願いします。

田崎さん:宜しくお願いします。

蛭田:浅川の花火では、青年会が花火を打ち上げると聞きましたので色々と教えてください。

田崎さん:はい。二尺玉やスターマインなどの大きな花火は糸井火工さんが行うのですが、青年会では4号玉(直径約12cm)を1人あたり10発~20発打ち上げます。当日は花火を打ち上げるだけではなく、花火師さんが普段行っている、仕掛け花火などの運搬、打ち上げ筒を固定する為の単管パイプの設置、最後の片付けまで行っています。
また、14日・15日には浅川小学校で盆踊り大会があり、そちらの主催も行っているので準備や片付けも含めて、13日から17日までは朝から晩まで大忙しです。

仕掛花火の設置中

蛭田:その青年会には、町に住む若い人は全員入会するのでしょうか?

田崎さん:基本的には家の長男が入会する事になっている様ですが、近年では入会者も少なくなっているので地区や長男に限らず入っているのが現状です。お盆休みが全て祭りの運営でなくなってしまうので、なかなか難しいみたいです。

蛭田:ありがとうございます。他には花火大会の主催者として、どんな事をやっているのでしょうか。

田崎さん:慰霊花火を打ち上げたいと言う個人や企業に、どんな種類の花火を打ち上げたいのかを集計して糸井火工さんに発注したり、あとは終盤に行われる浅川の慰霊花火のプログラムは自分達も携わっています。

蛭田:現在、ほとんどの花火大会では電気点火を使っていますが、昔ながらの手で打ち上げを行ってみて、どうですか?

田崎さん:自分は8年目ですが、やはり何年経っても慣れないし、怖いです。実際に危険物だし、もの凄い轟音なので緊張します。YouTubeに打ち上げている様子が公開されているので見てみてください。 ※打ち上げの様子

蛭田:まだまだ分からない事も多いので、これから少しずつ浅川の花火を勉強したいと思っています。色々とありがとうございました!

田んぼのあぜ道で花火の打ち上げが行われます

会場の様子

まず観覧場所である浅川町民グラウンドに向かうと見えてくるのが、浅川の花火総合案内所。花火プログラムの配布や当日に打ち上がる最大号数である二尺玉の模擬玉が飾られています。スタッフが常駐しているので浅川の花火について聞く事もできます。

会場に到着するとステージイベントが行われていました。早い時間に来ると尺玉投げ大会 全国大会が行われているそうです。(全国で行われているの?ってツッコミはなしでw)小学4年生以上が対象で子供の部と女性の部は8号玉(約5kg)、男性の部は尺玉(約8kg)を投げて距離を競います。もちろん中に火薬は入っていませんが、実際の花火の重さに合わせているのは流石です。しばらく天候不良が続き、今回は3年振りに開催できたそうです。

観覧場所は広いので場所に困る事はないのですが、グラウンドの地面が硬いので折り畳み椅子や座布団を用意する事をオススメします。今年はテレビ放送の効果もあった様で花火の打ち上げ直前には各地から多くの人が集まっていた様です。

あと、珍しかったのが会場にたくさんの尺玉が置かれてあった事です。お話を伺うと、これは慰霊の花火を打ち上げた方に持って帰って貰う模擬玉で、一つずつ日付と供養する方の戒名と供養主の名前が書かれていました。

浅川花火の見所

両町青年会仕掛花火 大からくり・浅川の滝

全長15mもの巨大な仕掛け花火で、青年会の着ている法被も同じですが、〇印に「あ」と書かれているのが荒町青年会、「本」と書かれているのが本町青年会を表しています。上部では破裂音と共に左右に花火が飛び散り、次第に火の粉の形を変え、全長200mものナイヤガラ花火「浅川の滝」に連続点火されます。この大からくりは青年会の団結と誇りの証を表しているそうです。

大からくり

浅川の滝

慰霊の花火

浅川の花火のメインである慰霊の花火です。それぞれの家庭や企業で亡くなった方を慰霊する為に行われ、故人にあてたメッセージが読み上げられた後に花火が打ち上がります。

花火の内容は、尺玉やスターマインが多いのですが、中には個人で二尺玉を打ち上げて貰う人もいるので驚きです。前述の青年会による4号玉10発~20発の早打ちもここで行われます。

基本的に慰霊の花火は錦冠菊の花火が多い

浅川の慰霊花火 吉祥の白蓮~散華の祈り~

東日本大震災で亡くなられた方の慰霊をすると共に、復興を祈願する花火で2011年から続けられており、今年で9回目になります。

毎年テーマが変わり、今回は吉祥の白蓮~散華の祈り~で行われました。吉祥(きっしょう)とは幸先のよい事、白蓮(びゃくれん)とは白いハスの花を表します。泥の中でも白く美しく咲くハスの花を震災の困難から立ち上がった人に例え、この先、幸せな人生を過ごして貰いたいと言う願いが込められています。散華(さんげ)とは供養する為に花を撒き散らすと言う意味です。

荒町・本町青年会、浅川町、糸井火工によるプログラムで、二尺玉を含むスターマインが打ち上げられました。

白蓮の花火

スターマイン

二尺玉 昇曲導付紅点滅芯錦冠

大地雷火

クライマックスとして行われる大地雷火(だいじらいか)。春に開催される浅川夜桜花火の観覧場所である、城山公園の山頂で行われる花火になります。地上で花火を爆発させ、半円状になった花火を見る事ができます。観覧場所の後方から打ち上がるので後ろを向いて観覧する事になります。

まとめ

花火1発1発に意味が込められており、とても有意義で素敵な花火でした。商工会では浅川の花火をもっとPRしていきたいとの事でしたが、人が増えれば増える程、マナーが悪くなるのが花火大会の常です。

貴重な花火文化を継続させる為には多くの人に知って貰う必要があるとは思いますが、この慰霊の花火は観光がてら気軽に見に行ったり、撮影目的の花火大会ではないので、花火に込められた想いや意味を知った上で大切に観覧して欲しいと考えています。

11月3日(日)には同じ場所で、刈上げ豊秋花火が行われます。春には夜桜花火、夏には浅川の花火、冬には除夜の花火と一年を通して行われる花火の里 浅川町。またお邪魔させていただきたいです!

取材協力:浅川商工会、両町青年会、糸井火工 写真提供:M.Saitoh

written by
蛭田 眞志

蛭田 眞志

花火専門カメラマン、ライターです。
日本の良質な花火文化の記録・拡散を理念に活動中。個人のWEBサイトでは「花火の心得」を運営してます!
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