日本全国で受け継がれてきた祭りや伝統行事が、新型コロナウイルスの影響で開催困難な状況の最中、文化庁は令和3年度補正予算に基づき「地域の伝統行事等のための伝承事業(公開支援)」を立ち上げ、これらの行事を支援するための技術支援やプロモーションを行いました。オマツリジャパンは、NHKエンタープライズと協力し、情報発信を通じて伝統行事の継続を支援しました。
<この記事のポイント>
・補助金活用で全国25の祭り・行事のプロモーション
・文化継承のための連携と支援
・新たな祭りファン層の形成と長期的な関心喚起
全国25の祭り・行事の魅力を伝えるプロモーション活動
オマツリジャパンが担ったのは、全国25の祭り・行事におけるウェブでの情報発信です。各行事ごとに専用のランディングページ(LP)を作成し、祭りの概要、開催情報、現地取材記事などのコンテンツを掲載しました。記事は、開催準備中に現地取材を行い、保存会や主催者にインタビューを実施、コロナ対策や困難を乗り越えて行事を継承していくための取り組みを紹介する「準備取材記事」と、祭り当日の様子を詳細にレポートし、地域の熱意と祭りの魅力を伝える「本番取材記事」の2つで構成されています。また、NHKエンタープライズと協力し、同社が担当する動画制作の会議セッティングや現地調整業務も担当しました。
オマツリジャパンが支援したのは次の25のお祭りです。
弘前ねぷたまつり(青森県)、なまはげ柴灯まつり(秋田県)、川西念仏剣舞 中尊寺奉納(岩手県)、須賀川 松明あかし(福島県)、悪態祭り(茨城県)、佐原の大祭(千葉県)、秩父吉田の龍勢(埼玉県)、桐生八木節まつり(群馬県)、火伏祭り(群馬県)、山田の春祭り(岐阜県)、花祭 東栄フェスティバル(愛知県)、豊橋鬼祭(愛知県)、新居浜太鼓祭り(愛媛県)、お日待祭(京都府)、東灘だんじり※10年に一度(兵庫県)、西大寺会陽(岡山県)、石見神楽(島根県)、ひょうげ祭り(島根県)、尾道ベッチャー祭り(広島県)、ひろしま安芸高田神楽(広島県)、御陣乗太鼓(石川県)、奈川獅子舞(長野県)、鬼夜(福岡県)、ぶぜん神楽祭り(福岡県)
(都道府県コード順)
現地・協力企業と連携しながら文化継承を支援
オマツリジャパンはNHKエンタープライズの協力会社として、ウェブ記事や写真を通じて地域の伝統行事を紹介し、情報発信に注力しました。行事ごとに制作されたLPには、テンプレートを活用して一貫したデザインと情報整理を実現。記事制作においては、現地保存会との密なコミュニケーションを図り、地域独自の文化や背景を伝える内容を丁寧に作り上げました。また、SNSの運用やオンライン配信に関しても最適な情報発信が可能な体制を整えました。複数のプレイヤーと連携しながら、役割分担と調整を行うことで、円滑なプロジェクト進行を支えました。
地域行事への関心喚起と次世代への伝承基盤の構築
このプロジェクトを通じて、各地域の祭りが幅広い層に注目されるようになり、SNSやインターネットを通じて新たなファン層が形成されました。記事はオマツリジャパンのウェブサイト「マツレポ」に掲載され、終了後も一部の記事はリライトや再配信を通じて継続的に公開されています。特に尾道ベッチャー祭りや奈川獅子舞に関するページは、現在もサーバー移行により閲覧可能で、長期的な関心喚起に寄与しています。
<尾道ベッチャー祭り特設サイト>
<奈川獅子特設サイト>
まとめ
オマツリジャパンが関わったこの伝承事業は、デジタル技術を活用して地域の伝統行事を広く発信し、次世代への文化継承を促進する試みでした。各団体との協力を通じて、現地の保存会や主催者と連携しながら、地域文化の価値を国内外に広める基盤を築きました。今後もこのような取り組みが全国に広がり、地域の魅力が未来に受け継がれていくことが期待されます。