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明治維新後に和菓子職人が集まった川越の菓子屋横丁
9月6日は飴の日です。長野県松本市の3つの老舗飴屋が結成した松本飴プロジェクトによって2019年に制定されました。
日本の飴の始まりは「日本書紀」の神武天皇記に水無飴の記述がみられるようですが、その後、平安時代には米もやしを原料とする素朴な水飴を主流として国内に広まりました。室町時代になると砂糖の輸入が始まり、飴の材料にも加えられ味わいを発展させました。
江戸時代には固形の飴を作る飴細工の職人が現れ、伝統の和菓子として定着していきます。明治維新後には小江戸の別称をもつ埼玉県川越市の養寿院の門前町に和菓子職人が集まるようになりました。菓子屋横丁には昭和初期には約70軒の菓子店がひしめき合っていたようです。現在では約20の店舗が軒を連ね、江戸っ子好みの気取らない菓子が販売されています。
1914年に創業した老舗飴店「玉力製菓」
菓子屋横丁のメインストリートには、1914年に創業した老舗飴店の「玉力製菓」が店舗を構えています。手づくり飴の伝統を4代にわたって受け継ぎながら、昔ながらの味わいを今に伝えています。店の奥に作業場が設けられているので、ガラス越しに匠の技を見ることができます。
店先には鮮やかな彩りの季節の花があしらわれた組飴をはじめ、ベッコウ、ニッキ、ゴマ飴などバラエティー豊かな飴が、笊に詰められて並んでいます。
誰でもチャレンジできる「あめ細工」
「玉力製菓」の西に漬物店の「三代目彩香」を挟んで隣り合うのは「あめ細工」の店です。熱くて柔らかい飴にストローで空気を吹き込んで膨らませます。球状の風船のような形にするには熟練の技が必要ですが、中には初体験で大きな風船飴を完成させる人もいるようです。
1796年に創業した老舗和菓子店「松陸製菓」
「あめ細工」店の正面の「松陸製菓」でもユニークな飴を販売しています。松陸製菓は江戸時代の寛政年間1796年に創業した老舗和菓子店で、「味は人なり」の言葉が代々受け継がれ、8代にわたって伝統の製法を守っています。添加物は一切使わず自然な素材で和菓子を作り続け、15種類前後の自家製飴の他に、ふ菓子や芋菓子も店先に並んでいます。
飴の品揃えが豊富な「小江戸茶屋」
菓子屋横丁では老舗の飴店がレトロな存在感を放っていますが、各種の駄菓子を販売する店舗でも、飴の品揃えは豊富です。「小江戸茶屋」に並ぶ飴の種類は老舗店に引けを取らないでしょう。
埼玉県川越市の菓子屋横丁には、メインストリートに老舗の手作り飴店が軒を連ね、レトロな存在感を放っています。伝統の製法で作られた飴を味わえるばかりでなく、あめ細工にチャレンジすることができます。