ちくせい花火大会とは
茨城県筑西市では、2021年10月23日、第1回ちくせい花火大会が開催される予定でした。このコロナ禍で新規花火大会の立ち上げということで注目を集める中、6月1日には公式サイト(https://chikusei-hanabi.jp/)も立ち上がり、協賛チケットの募集及び販売も行われていたのですが、周知の通り本邦でもコロナウイルス・デルタ株が猛威をふるい、9月10日に残念ながら有観客開催の中止となりました。
けれども無観客・短時間・分散開催の「ちくせいサプライズ花火」を代替開催すると発表があり、関係者にお願いをして現地へ向かいました。
秋晴れの筑西市
前日の雨が止み、爽やかな空気です。秋の空は高く見えるって本当だなあと思いつつ、現場近くの道の駅「グランテラス筑西」に到着。駐車場は6~7割埋まっており、これは皆さんコロナ感染症が急速に下火になったので様子を見つつお出かけといったところでしょうか。
私も腹ごしらえとお土産の購入を済ませた後、事前に待ち合わせた打ち上げ現場へ向かいます。
えっサプライズ花火でこれ?というサプライズ
打ち上げ現場は小貝川の土手上。両サイドは田畑と公園、遠くに筑波山と見通しも良好。いやしかし、そんなことより驚いたのはその規模。300mにわたって打ち上げ筒が並び、両サイドと中央には存在感のある大きな筒が何本も設置されています。サプライズ花火と聞くと目立たないように準備するイメージがありますが、これは何というか「小貝川はド派手に行くぜ」とどこかで聞いたようなキャッチコピーが頭をよぎります。
まだまだ準備作業は続くのですが、担当する山﨑煙火製造所の山﨑智弘社長に少しお話を伺うことができました。
野村「よろしくお願いします。今日はどんな打ち上げになりますか?」
山﨑社長「有観客花火大会は取りやめになりましたが、短時間の打ち上げをします。ここ(小貝川土手)がメインで、他に市内5カ所からの同時打ち上げもあります。」
野村「取りやめの原因になったコロナですが、花火屋さんの仕事がなく花火玉の出番がないと聞きます。」
山﨑社長「それが、関東地方に関しては元々オリンピックの関係で警備員の確保などが難しく、開催しない花火大会もあるというのは分かっていたのである程度身構えることができていました。うちの場合は8月以降にそこそこ現場もあって、報道されているほどの悲壮感はないですね。」
確かに、つくば市、稲敷市などでも無観客花火打ち上げがありました。このあたりの温度差は自治体や地元経済界によりけりといったところでしょう。
野村「今日の花火の見どころを教えてください。」
山﨑社長「この幅(300m)で大玉(尺玉)入りのスターマインは見応えがありますよ!」
野村「聞くところによると筑西市のキャラクター『ちっくん』が登場するとか?」
山﨑社長「型物花火ですね。うちは主催者からの要望に合わせてカスタムメイドもするんです。『ちっくん』は本日、初公開です。」
お礼のご挨拶をして別れると山﨑社長はすぐに次の関係者の対応へ。本当にお忙しい所ありがとうございました。
多くの人が力を合わせて準備
邪魔にならないように近くを歩くと、無観客とはいえ要所要所に警備員が配置され、ライブ配信チームの姿も見え、いろいろな人の尽力があって成り立っている事を感じます。観客がいればもっと大勢のスタッフがもっと慌ただしく準備に追われるのでしょう。一方、事情がのみこめていないツーリングの人が警備員に詰め寄っている姿も見え、無観客なら無観客で苦労はあるのだと頭が下がる思いです。
えっサプライズでこれ?(3時間ぶり2度目)
あっという間に時は過ぎて夜に。見学した花火筒の場所を参考に、撮影の準備をしてその時を待ちます。まず市内の5か所の打ち上げが始まり、少し遅れて眼前からも始まりました。それも「見せ場」を作りながら上がるガチンコのスターマイン。サプライズ過ぎる盛大な花火は15分間にわたって筑西の夜空を染めました。
わずか15分にもかかわらず、一斉打ちあり、バリエーション豊かなデザイン玉あり、あっと驚くゲスト玉(別の有名花火師さんの花火)あり、紹介したいものが多すぎて困るという、実にありがたい、見応え十分の花火でした。返す返すも、本来の形(有観客開催)で上がらなかったのが残念すぎます。でもそれは、次回こそはのお楽しみとしましょう。いや、これはコロナ禍の日本に現れた、花火界の大型新人。必ずや来年!
帰り際に本部(無観客なので本部もこぢんまりしています)にご挨拶に行くと、筑西市経済部観光振興課の伊澤さんの姿が。花火当日にポッと訪問した私と違い、準備に準備を重ね、コロナの動向に振り回され、形を変えながらやっとこの日を迎えたであろうその苦労も、抜群のコンディションで打ち上がった至高のスターマインで報われたのではないでしょうか。何かアピールしたいことはありますか?という私の問いかけに、興奮冷めやらぬといった表情のまま、こんな言葉が返ってきました。
皆さんにエールを送ります。そして、コロナの早期終息を願います。