どうも。オサケノジャパン編集部のまっくです。今回は日本酒初心者でも比較的飲みやすいと言われるクリーミーでマイルドなカルピス系日本酒。いわゆるにごり酒の3タイプについてご紹介します。「カルピスサワーが好き、日本酒の澪が好き!」という方も必見ですよ。
どぶろく、にごり酒、おりがらみの違いとは?
ちなみに、にごり酒とどぶろくの違いはわかりますか? 「にごり酒」は発酵させた醪(もろみ)を粗く濾す(搾る)ことで作る酒(Unrefined sake)であるのに対し、「どぶろく」はまったく濾さないで作る濁酒(Unfiltered sake)となります。例え粗くでもフィルターを通すか通さないかの違いです。
歴史の古いどぶろくは神事で使われることも多く、全国で神社などでどぶろくを振る舞うどぶろく祭りが行われています。愛知県大府市の長草天神社で毎年2月に行われるどぶろく祭、岐阜県の白川郷で毎年10月に行われるどぶろく祭り、大分県杵築市の白鬚田原神社で毎年10月17・18日に行われるどぶろく祭りなどがあります。
●日本酒と祭りの色濃い関係についての記事はコチラ(↓)。
「豪快系からエチエチ系まで 日本の奇祭と色濃い関係の日本酒5選」
酒税法では、濾す工程を経たものだけを「清酒」と定義しているので、どぶろくは清酒ではなく、雑酒に分類されます。なお、日本酒を作る過程でタンクの底に沈殿した固形物(おり)をあえて取り除かずにアクセントとして残したまま出荷するお酒は「おりがらみ」と言います。
にごり酒は、概してふつうの日本酒に比べて甘酸っぱくフルーティなものが多いため女性にも大人気。合わせる料理のペアリングとしては、クリーミーな飲み口が辛さをマスキングしてくれるのでキムチ鍋などの辛い料理や、照り焼きチキンなどの甘辛いタレ料理との相性が抜群です。
タイプ➀:おり酒
おり酒とは、上記で説明したように醪(もろみ)を粗く濾したときに残る白い沈殿物(おり)を、清んだ上澄みだけではなく、おりを取り除かずにたっぷり集めて瓶詰めした日本酒のこと。米の濃厚でクリーミーな旨味がトロリと口の中に広がります。
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ここでは、新潟県から「醸す森 純米吟醸 おり酒」をご紹介。苗場酒造がこだわりぬいて作った「醸す森 純米吟醸」の添仕込みのおりの部分だけを瓶詰めしたという贅沢過ぎる逸品。クリーミーで濃厚な味わいのお酒(アルコール分14度)です。ほんのり酸味が効いた味わいで、そのままロックで飲んでもいいし、炭酸ドリンクなどで割ってシャンパン仕様にするアレンジも有りでしょう。
「より軽やかな飲み口を!」という方には香川県の川鶴酒蔵が出す奇酒「讃岐くらうでぃ」がおすすめ。通常の3倍の量の麹と白麹を使用することで、仙禽などとはまた別種の甘酸っぱさを実現した大人のカルピスサワー。アルコール度数6度の低アル仕様だからグビグビいけてしまいます。香川名物の「骨付き鶏」に合う酒をめざして考案されたという出自もあり、甘辛いタレとの相性はバツ&グンでしかない。
タイプ➁:うすにごり
うすにごりとは、➀よりにごり具合が薄く、その名の通りうっすらと濁っています。明確な定義はありません。あっさりと飲みやすく、春酒としてもよくリリースされます。別名はささにごり。
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ここでは佐賀県から「光栄菊 スノウ・クレッセント うすにごり 無濾過生原酒」をご紹介。2019年に復活した佐賀の銘酒「光栄菊」が手がける人気作。香り穏やかな酵母を使用した、うすにごりの生原酒。フレッシュな香りと、ヨーグルト系の甘酸っぱい味わいが魅力的な大人のグレープフルーツジュースです。
タイプ:➂活性にごり
醪(もろみ)を濾した後、火入れをせずに酵母を生きたまま瓶詰めした日本酒。スパークリング日本酒とは一線を画した、いわゆる純和風シャンパンと呼ばれるのがこのタイプです。要冷蔵・開栓注意。開栓時にシュワシュワの泡とともに沈殿しているにごりが上がってくるので、早まって開栓前に瓶を振ったりしないようにしましょう。「日本酒は澪なら飲めるけど~」という日本酒ビギナーの方に最も勧めたいのがこのタイプ。
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ここでは長崎県から「福田 純米吟醸 山田錦 活性うすにごり」を紹介。微発泡で、大人のメロンソーダのような甘い味わいを堪能あれ。山田錦を55%まで磨き上げた夏酒。開栓には注意が必要で、空気を抜きながら少しずつ栓を回しながら空けましょう。シュワシュワ感がっつりの大人のメロンソーダ。スッキリ芳醇旨口の味わいが、熱い時期にグビグビ飲むのに最高です。
「活性にごり酒を飲んでいるうちに、今度はにごっていない普通の日本酒にも挑戦したい!」となってきたら、微発泡感もあってジューシーな「風の森」あたりに進むといいかも。
いかがでしたか。今回のにごり酒3種類。ざっくりまとめると➀のおり酒が濃いめのカルピス、➁のうすにごりがうすめたカルピス、➂の活性にごりがカルピスソーダ。大雑把にはそんなイメージで良いかと。であれば、日本酒のビギナーの方には概して➂>➁>➀の順で飲みやすいのではないでしょうか。ちなみににごり酒を英語に訳すとcloudy sake(くもった酒)などと言うそうです。そのままですね。
今回のオマツリジャパン
今回は日本全国にある数多の奇祭の中から、にごり酒にちなんだクリーミーな奇祭をご紹介。その名も「おしろい祭り」です。新米を粉にして水でといて顔にぬるので、あながち日本酒からもそんなに遠からず?
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「おしろい祭り」は、福岡県朝倉市杷木で毎年12月2日に開催される祭り。大山祇(おおやまずみ)神社は昔から「山の神」として信仰されており、山の神は元来「女の神様」とされ、その「女の神様」がお化粧をする事から「おしろいをぬる」奇習が始まりました。おしろいがよくつくほど、その次の年は豊作だと言われています。おしろいは家に帰るまで落としてはならず、塗られた者は白い顔のまま帰っていきます。同じく福岡県朝倉市杷木の春の奇祭に「泥打ち祭り」があり、こちらも要チェックです。