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平川ねぷたまつりの魅力をオンラインで発信。「コロナ後に来てね」と企画(青森県平川市)

更新日:2024/2/29 工藤 健
平川ねぷたまつりの魅力をオンラインで発信。「コロナ後に来てね」と企画(青森県平川市)

青森県の夏祭りと言えば「ねぷた・ねぶた」。実は県内の地域ごとに「ねぷた・ねぶた」の祭りがあり、それぞれの運行方法や山車に違いがあります。青森県のほぼ中心にある平川市で行われる「平川ねぷたまつり」は、「世界一の扇ねぷた」が運行することが最大の特徴です。昨年は残念ながら新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため「平川ねぷたまつり」は中止となりましたが、コロナが収束した後を見据え、オンラインでその魅力を伝えるイベントが行われました。

青森と東京の会場をオンラインで結ぶ

2021年1月17日に行われた「オンライン平川ねぷた体験&ねぷた団扇ワークショップ」は平川市の「世界一のねぷた展示館」と東京都昭島市にある商業施設「モリタウン」、そしてオンラインの参加者を取りまとめるスタジオの3カ所をオンラインで結んで開催。モリタウンでは1階にイベント会場を設置したため、何人もの買い物客が足を止める姿がありました。

モリタウン東館1階「空の道」に設置された会場

その内容は2部構成で、前半は「世界一の扇ねぷた」の山車やねぷた絵を紹介し、後半はねぷた絵を使ったうちわづくりのワークショップとなりました。

オンライン参加者は事前にうちわづくりのワークショップ用キットを購入。ワークショップではねぷた団体に所属する相馬守さんが講師を務めたほか、平川市商工観光課の今井伸椰さんと平川市観光協会の須藤力さんが参加者たちに平川ねぷたの歴史や他エリアとの違いを紹介しました。

ねぷたに使用した本物のねぷた絵を再利用するうちわづくり

世界一の大きさを誇る扇ねぷた

「世界一の扇ねぷた」が格納されている「世界一のねぷた展示館」の前から始まったオンラインイベント。さっそく案内役のタタミンと今井さんが「世界一の扇ねぷた」を紹介しました。通常の扇ねぷたと比べると約2倍の大きさがあり、高さ12メートル、幅9.2メートル、重さはなんと約6トンもあります。

案内人タタミン(左)と今井さん(右)。配信当日は雪が少し降っていました

今井さんはその歴史から説明しました。今から20年以上前の1998年に旧平賀町(現平川市)が観光の目玉となる「ねぷた」を作ろうと始めたのがきっかけだったと言います。そのほか、ねぷた絵は約半年かけて描かれることや、骨組みは使い続け、ねぷた絵を毎年貼りかえるといったことを伝えていました。

2020年、平川ねぷたまつりも残念ながら開催されませんでしたが、ねぷた絵は貼り替えました。正面となる鏡絵には「大光寺城主、左馬頭建広見参」。裏面の見送り絵には新型コロナウイルスの願い「富姫、悪疫退散の舞」が描かれています。

世界一のねぷたの裏側に回る。袖絵には七福神が描かれている

中継でも、「世界一のねぷた展示館」内まで入り、「世界一の扇ねぷた」の裏面をしっかりレポート。その圧巻の大きさを余すことなく紹介していました。そして、2人は一般公開していない扇ねぷたの内部にまで潜入。普段見ることができない昇降機などがある内部にまでカメラが入り、貴重な内容となりました。

昇降機があり高さ12メートルの上部まで登ることができる

2019年に撮影されたねぷた動画を紹介

「世界一のねぷた展示館」からの中継はいったん終了し、ワークショップ会場からの中継となりました。ワークショップが始まるまでの間は、2019年に撮影された平川ねぷたまつりの動画を見ながら、須藤さんによる解説を楽しみました。

ねぷたが運行する映像を見ながら解説

平川ねぷたは毎年約30団体が運行に参加する祭りで、扇ねぷただけでなく人形ねぷたも多く出陣します。須藤さんによると、ねぷたにとらわれないキャラクターなども運行し、大人だけでなく子供も楽しめるのが平川ねぷたの特徴だと言います。また、平川ねぷたは団体によっても囃子や掛け声が違うため、他エリアにはない楽しみ方もあると紹介していました。

平川ねぷたまつりの様子をオンラインで余すことなく解説

ねぷたのうちわづくりワークショップ

オンラインイベント後半は、ねぷた絵を使ったうちわづくりのワークショップ。オンライン参加者は購入したキットを使ってうちわづくりを始め、モリタウンから飛び入りの参加者たちはその場で用意された道具を使って製作しました。ワークショップの会場では、相馬さんが作り方を教えるだけでなく、現地のスタッフらが見本として参加していました。

ワークショップ中の様子

実際のうちわづくりは約30分もあればできるという内容で、まずは骨組みに糊を塗り、ねぷた絵をうちわに沿って切り取るといった簡単な工程でした。ハサミやカッターを使うため、注意する必要はありますが、力や器用な作業があるわけではないため、子どもでも十分に作れるものです。

完成したうちわを披露する

講師の相馬さんは、ねぷた絵は毎年貼り替えるものだと解説。前のねぷた絵は処分していて、うちわづくりはねぷた絵の再利用にもなっていると話します。ねぷた絵は祭りが終わると処分していたことに驚きがありますが、世界一の扇ねぷたで作られるうちわづくりだったことにも驚きでした。

オンラインのワークショップは無事に終了。参加者たちの事後のアンケートでは「いつか平川に行ってみたい」といった声がたくさんあり、満足いただけるような内容になっていたようです。講師などを務めた3人からは「コロナ後にぜひ平川に遊びに来てほしい」と笑顔で語り掛けていました。

自由に楽しく観光ができる日が来たときは、青森県平川市の「平川ねぷたまつり」の沿道で、作ったうちわを振りながら楽しみたいものです。そんな日が一日も早く来ることを願い、今はねぷた絵のうちわづくりに挑戦してみたり、動画や写真を見たりしながら、自宅でも「平川ねぷた」を感じられる機会を作ることができればと感じました。

この記事を書いた人
オマツリジャパン オフィシャルライター
自称りんごジャーナリスト、イギリストーストライター。津軽弁は勉強中。

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