2021年1月20日(水)~31日(日)まで、岩手県盛岡市で、歴史建造物の中を活かした現代アート展が行われています。もりおか町屋物語館と旧石井県令邸の2会場での分散開催です。
1月24日(日)は、津軽三味線とジャグリングのコラボパフォーマンスが行われたので、見に行って来ました!(コラボパフォーマンスは24日限定です)
会場はどんなところ?
盛岡市鉈屋(なたや)町。藩政時代は船運で栄えた交通拠点で、当時からの町屋建造物が残る歴史深い町です。町内には湧水があり、それを利用した酒造りが今でも行われています。
江戸後期建築の酒蔵・母屋をリノベーションした和の空間で、古き良き日本建築でまったりしたい人にはオススメ。
入場無料で、イベント会場やショップ・カフェが入っています。
もりおか町家物語館
明治19年建築の洋館。盛岡市内で最古の洋風建築で、明治の”擬洋風”建築好きにはたまらない空間です。内部を見学するには事前予約が必要になっています。
旧石井県令邸
世界観は無限!展示アートの数々
特に印象深かった作品を紹介していきます。
もりおか町屋物語館会場
近付いて見ると難解でも、離れて見ると情景やストーリーが見えたりする不思議な感覚に、時間を忘れて見入ってしまいます。
福田 紗也佳氏「13→19」
巡る季節、様々な事象、募る思いが広く深く詰まってるように感じました。
中島 香緒里氏「時のかけら」
人々の日常生活が垣間見えます。
旧石井県令邸会場
素敵な造りの洋館の質感を活かした展示の数々、実に見応えがあります!
伊藤 真理子氏「鑑みる」
荒廃の大地の中に、希望への光が注ぐ壮大な世界です。
山本 栄治氏「非常時下でのナイチンゲール誓詞」
生と死、掴みどころのない恐怖を感じました。
村上 紘一氏「光を紡いで」
悠久の時の流れを彷彿とさせる情景でした。
加村 なつえ氏「Safe Room」
ベールの向こうの世界に淡い創造をかきたてます。
渡邉 若子氏「もにょんもにょん」「おやすみ、どうどうめぐり」「おはよう、どうどうめぐり」
得体の知れない念が形態化したような妖怪のような雰囲気でした。
藤原 翼氏×山村 佑理氏 「パフォーマンスセッション」
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~津軽三味線とジャグリング・ダンスによるコラボレーション~
インスタ動画の為、四角く見切れてごめんなさいm(__)m
造り上げた方の、伝えたい想い
今回の企画は、コロナ禍の中でも文化芸術体験の企画を盛り上げようと、文化庁の補助事業の一環として、今年初めて開催されたイベントです。
主催者、アート作家、パフォーマンス演者の方々に、想いを聞かせて頂きました。
【主催者】
NPO法人いわてアートサポートセンター 牧野 美菜子氏
盛岡の街なかでやりたかった。旧石井県令邸ともりおか町屋の二つの距離感も丁度いい。
“現代アートと歴史建造物”=”新しいものと古いもの”を繋ぎたい。披露する機会が少なくてくすぶっている作家さん達のアートに触れる機会になった。イベントを通して、旧石井県令邸を見てもらう事も出来た。
ライブパフォーマンスは、”和”の三味線と”洋”の洋館、普段は合わさる事の無いものがぶつかって生まれるものを見て欲しい。
【アート作家】
伊藤 真理子氏「鑑みる」
油絵と現代アートを組み合わせるに至っては、空間を表現させる為に窓を活さないといけない。作品と窓が相乗効果を生まないといい作品にならない。その為に、窓からの外光を活かした。
ネガティブなニュースが流れているが、”悲しいだけ”それだけでは終わりたくはない。人間が本能的に持っている”祈りと希望”を表現した。窓からの光が希望を表している。
加村 なつえ氏「Safe Room」
“作品の中が安全”というコンセプトだったが、創作している内に、この部屋の中にいる卵自体が安全とは限らない。もしかしたら悪い卵もいるかも知れない。そうしたら、部屋を立入禁止にした方が、部屋の外から見る人にとっても安全。結果的に、部屋の外から見るというスタイルで合っていた。
【ライブパフォーマンス】
津軽三味線奏者 藤原 翼氏
今回のパフォーマンスを演じるに辺り、会場を下見して考えた。
アートと噛み合わない部分とマッチする部分とがある。ジャグリングのスピードに合わせる事も必要。展示されているオブジェを活かし、三味線でどこまで踏み込めるか。自らも作品の一部として空間の中で聞かせられた事にやりがいを感じた。 “正解は無い。誰もが正解を知らない。” ならば自分で正解を出してゆく。そうする事によって、次にこうゆうパフォーマンスをする時の印象が変わってゆく。
現代アートは、非日常へのトリップ!
平面の絵画、立体の工作、様々な切り口から各々の世界を表現しています。形があって無いような、ふわりと浮くような感覚。
五感を研ぎ澄まして、何を表現しているか、その背後にはどんな世界が広がっているのかを想像してみます。
その想像は無限に広がってゆきます。それはまさに、非日常の世界の中に入ってしまうような感覚です。
日常では味わえないような斬新な体験。現代アート、楽しいですよ!