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「沼島八幡神社春祭り」海に飛び込むだんじり|観光経済新聞

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2021/11/15
2022/1/26
「沼島八幡神社春祭り」海に飛び込むだんじり|観光経済新聞

2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2021年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)

海に飛び込むだんじり

だんじりが海に突っ込むと聞き、2016年5月4日、名古屋から日帰りで見に行った。沼島(ぬしま)は淡路島のそばの島だ。イザナミイザナギによる国産(くにう)み伝説があり、中世には梶原氏率いる沼島水軍が活躍した。紀貫之の「土佐日記」にも、沼島の海賊を恐れる一節がある。

元は旧暦8月15日に行われた魚供養のお祭りで、5月3日、4日に行われる現在は、両日ともだんじりが出る。沼島のだんじりは岸和田と同じくらい歴史が古いらしい。1日目は子どもによる沼島太鼓が、2日目には八幡神社と弁財天神社をみこしが往復する御旅(おたび)行事が行われる。男の神である八幡様と女神の弁天様が年1度会う、七夕のような意味があるそうだ。だんじりには笹飾りがしてあった。

波の状態によってはだんじりが海に入らないそうだが、この年は波が穏やかでジャブジャブ入っていた。海を進むだんじりの上では小学生が平気な顔をして太鼓や笛を奏で、主役の年男がだんじり屋根に立って号令をかけ、それを女の子がはやして盛り上げていた。

だんじり先導役の人が、「地区により(だんじりの)浸かり具合が違う。俺らんとこはあほやし最初から深く突っ込む。昔はみこしは高価やで、海に少しでも入ると上の人らにえらい叱られたけど、今の若いのはみこしでもお構いなしや」と教えてくれた。
海へ入る豪快さとともに印象に残ったのは、だんじりをひく際に唄われるだんじり唄だ。ある地区では最近唄い手になったという若い女性が初々しい声で唄い、ベテランの人たちが後に続いて盛り立てていた。太鼓や担ぎ手も含め、祭りで女性の活躍の目立つ島だった。海辺で繰り広げられる昼食の光景も良かった。休憩の間も、若者は太鼓をたたいたり踊っていた。

祭りに夢中で他をほとんど観光できなかったが、猫が多い路地の町並みや鱧(はも)料理、梶原氏の史跡、オリジナルの飛び出し坊やの標識など見どころ満載で、ぜひ再訪したい島だ。

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