2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2022年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
湯煙に舞う花火と仮装の人々
伊豆といえば、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で話題の源頼朝が配流されていた地としても注目を集めているが、たくさんの温泉街があることでも知られている。伊東、修善寺、下賀茂など、名を上げたらキリがないが、東伊豆の熱川温泉で10月にお祭りが行われるということでやってきた。
お祭りの名は「石曳(び)き道灌まつり・花火大会」。変わった名前がついているこのお祭りだが、その名の由来は太田道灌。江戸城を築城したことでも知られる、室町時代後期の武将の名から取られている。それもそのはず、熱川温泉を発見したのは彼といわれ、江戸城を修復するために石を運んだ伝説がお祭りになっているそうだ。
会場には縄の巻かれた大きな石が置かれていた。本来であれば240人ほどでこの石を曳くそうだが、今回は感染症対策からシンボルとして飾られる形になっていた。そのようなご時世ながら、お祭りを盛り上げようと苦心する地元の方々には頭が下がる。という中だが、お祭りスタートの時間がやってきた。
まずは日暮れとともに地元バンドが音楽を奏で、雰囲気が高まっていく。お次は今回取り入れられたという、和装の仮装コンテスト。太田道灌に負けじと、武将や姫に仮装した面々には圧倒されるものがある。レッドカーペットを刀や番傘を振りながら進んでくる様は、勇壮で時に可憐(かれん)でもあった。
そしてお祭りのフィナーレを飾るのは、なんと花火大会。例年は夏に行われているとのことだが、中止になっていたために地元の方悲願の花火を打ち上げることになっていた。花火の時間が近づくと、どんどん人の集まってくる会場。打ち上げ時間はぎゅっと短く20分間ではあるが、海から色とりどりの花火が上がると、あちこちから歓声が上がっていた。お祭りの締めくくりを飾るのに、素晴らしい時間であった。
お祭りを終えた後は、やはり湯煙に心がそそられる。温泉につかり体を温めて、帰路に着くのが良いかもしれない。