2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2022年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
日本一おいしい!盆踊り
築地本願寺納涼盆踊りは、「日本一おいしい盆踊り」とも呼ばれ、毎年約7万人が訪れる都内有数の盆踊りである。好きな盆踊り会場ナンバーワンに挙げる「盆オドラー」も多い、その理由は何であろうか? まずはロケーション。古代インド風のエキゾチックな本堂を前に提灯の明かりに照らされたヤグラは息をのむ美しさ。こんな雰囲気の中で踊れる場所はほかにないであろう。次に、築地と言えばグルメ。これを目当てに来る人も多い。練り物、シュウマイ、モツ煮、串焼き、サンドイッチなど、場外市場のお店が出す露店は、ほかの盆踊り会場と一線を画す。食べやすいサイズの工夫や、会場に設置された水道など、食べて飲んで踊るのにぴったりの心づかいがうれしい。
そして本題の踊り。筆者が感動させられたのは、踊り手さんたちの美しさ。銀座や歌舞伎座が近いせいか、踊り手さんたちのレベルが桁違いなのを感じる。選曲と振り付けも秀逸。定番曲に加え、築地音頭、大江戸助六音頭などのご当地ソングも多いが、スタンダードな振り付けで、不思議と踊りやすい。やはり伝統が息づく土地の余裕が感じられる。
そんな場所でありながら、ビギナーにも優しい。外国人や、会社帰りのグループも、うまいも下手も関係なく踊りの輪に加わっていく。見渡す限りお手本だらけなので、くるくる回りながらも振り付けが確認できるのもありがたい。特に目を引く踊り手さんの周りには輪ができ、即席盆踊り教室が始まることもあり、これまた「オイシイ!」。
築地本願寺は「より開かれたお寺へ」をテーマに掲げ、カフェやイベントの開催やSNS発信にも積極的である。盆踊りの前後には礼拝が催される。見て、食べて、踊って、楽しめるだけでなく、本来の盆踊りの意味も考えさせてくれるのだ。入り口は広く、来る人全てを温かく迎え入れる同寺の懐の深さが、ファンに愛される理由であろう。