シンプルな春日大社の御朱印
全国各地の神社や寺院では参詣の記念に御朱印を頂くことができます。朱印帳に訪れた神社や寺院の御朱印が並ぶと、貴重な思い出となり写真とは趣の異なる味わいが滲み出てくるものでしょう。「古都奈良の文化財」の一つとしてユネスコの世界遺産に登録される春日大社の御朱印には、奉拝、社号、参拝日のみが記される極めてシンプルなものです。摂社の若宮神社の御朱印も頂くことができますが、若宮神社は20年に一度の御造替が2021年4月~2022年10月の期間で行われているため、期間限定となっています。いずれの御朱印も御本殿参拝所の南の授与所で頂くことができます。
奈良時代の768年に創建された春日大社
春日大社は奈良時代の768年に、神山である御蓋山(みかさやま)の麓に御本殿が造営されたことに始まります。御祭神として、第一殿で武甕槌命(たけみかづちのみこと)、第二殿で経津主命(ふつぬしのみこと)、第三殿で天児屋根命(あめのこやねのみこと)、第四殿で比売神(ひめがみ)を祀っています。
御本殿を取り囲む朱塗りの中門、御廊、回廊、南門
参拝者は御本殿の前に行くことはできず、中門の南に設けられた御本殿参拝所から参拝することになります。
中門は高さ約10メートルの桜門で、明治時代に唐破風が施されました。左右には約13メートルの御廊が繋がり、鳥が翼を広げたような姿を見せてくれます。
中門と御廊は鮮やかな朱色で塗られていますが、御本殿や中門の四方を囲む回廊も同じ彩りで、統一感が感じられます。
回廊の南の中央に南門が設けられています。高さ約12メートルで、春日大社で最大の楼門です。平安時代の中期には藤原氏の長者や摂関による春日詣が始まったときに参向門とされ、現在では正門の役割を果たしています。
2つの鳥居を繋ぐ参道
御本殿の南西の二の鳥居の下には伏鹿手水所が設けられているので、参拝者はここで手や口を清めることになります。
二の鳥居から南門までは200メートル足らずですが、西方の一の鳥居までは1キロ前後の参道が延々と続きます。自然公園の遊歩道のような参道の両側は、濃い緑の樹木が覆っています。幹の間を歩くシカの数は数え切れません。鹿せんべいをあげれば、シカと並んで写真を撮ることもできそうです。
一の鳥居の創建は平安時代の中期まで遡ると言われ、現在のものは1638年に再建されたものです。高さ約7.75メートルの大鳥居で、日本三大木造鳥居の一つに数えられています。朱色の2本の柱で、春日大社の参道と奈良市のメインストリート三条通りをくっきりと分けています。
春日大社では1月3日の「神楽始式」に始まり、国家や国民の平和と繁栄を祈る祭事が一年に2200回以上斎行されています。3月13日の「春日祭」は平安時代を起源とする日本三大勅祭の一つです。年末の12月中旬に行われる「春日若宮おん祭」では、2つの鳥居を繋ぐ参道沿いのお旅所に、「行宮(あんぐう)」や「鼉太鼓(だだいこ)」が設けられます。
春日大社はユネスコの世界遺産に登録されていながらも、御朱印は極めてシンプルです。768年に創建されたと伝わる神社の御本殿は、回廊、中門、南門などの朱色の建物が取り囲んでいます。一年を通して2200回を超える祭事が斎行されています。