奈良市の料亭「菊水楼」
奈良県の県庁所在地、奈良市。悠久の古都として知られ、世界遺産に登録されている東大寺の大仏をはじめ、歴史を感じられる観光スポットがたくさんある街です。この奈良市にある歴史的建造物で、9月30日まで行われているお祭りがあります。「菊水楼風鈴まつり」です!
お祭りが開催されているのは、お名前の通り「菊水楼」。春日大社の一の鳥居前に位置する創業1891年(明治24年)の老舗料亭です。こちらが2021年で創業から130周年を迎え、それを記念して開催されることになったのが今回の風鈴まつりになります!それでは、菊水楼の中へと入って行ってみましょう!
1615年制作と伝わる円成寺から移築された重厚な表門を抜けると、現れるのが3階建の本館です。お寺の古材を利用し宮大工の技によりつくられたと言う本館は、その佇まいからも奈良の歴史を物語っているように見えます。この本館へと入り奥へ進んで行くと、風鈴まつりの会場は目前です!(威厳のある玄関に気が引けそうですが、お気軽に入って来てくださいとのスタッフさんからのお言葉がありましたので、風鈴まつりを見に来ましたと告げ中へと進んで行きましょう…!)
130個が130周年を彩る
本館から結婚式場へと向かう回廊に、130個もの風鈴が飾られていました!この130と言う数字は菊水楼の130周年に合わせての個数で、おふさ観音風鈴まつりの協力の下で風鈴の選定が行われています。カラフルな風鈴と短冊が、光に照らされ美しいですね!
※おふさ観音風鈴まつりは、奈良県橿原市にあるおふさ観音で2003年から開催されているお祭りで、関西屈指の風鈴が見られるスポットの1つ。2021年は約2500個の風鈴が夏を彩っていました!また同寺は春と秋に開催されるバラまつりも有名なので要チェックです!
130個の風鈴が、折り重なるように飾られています!
歴史ある建物の中で見られる風鈴と言うのも珍しいのではないでしょうか?素敵な光景ですね!
3種の風鈴が涼やかに
130個ある風鈴ですが、飾られている種類は全3種。その内容をご紹介していきます!
まずはじめは、地元から「奈良風鈴」です!黄色が特徴的な奈良風鈴。奈良ガラス工房さん制作のもので、短冊の書は東大寺205世別当 上司 永慶師によるもの。古都の技が重なり合う風鈴ですね!
続いては鋳物でできている「小田原風鈴」。室町時代から続く伝統あるつくりの風鈴です。松虫にも例えられる高音でチリンとなる音が、涼しさを届けてくれます。
そしてメインで飾られているのが「江戸風鈴」。約100個が7色で設置されています!制作は江戸時代から続き、当時の技法を変わらず現代にも行っている篠原風鈴本舗さんのものです。
風鈴だけじゃない見どころをチェック
風鈴まつりへ向かう際に通る本館の玄関口。こちらの正面に木彫りの鹿が存在しています。この鹿は奈良伝統の一刀彫でつくられたもので、作者は幕末から明治にかけて生き、彫工として活躍された森川杜園です。勢いよく彫られた姿、それであって温かみのあるフォルムが見事ですので、ぜひ風鈴と合わせて見て行ってください!
一刀彫の鹿の上部には、「菊水の如し」と書かれた東郷平八郎の書があります。こちらも必見です!
続いては、玄関入って左手に置かれた巻物のようなもの。こちらは菊水楼が2020年からはじめたサービス「結」のもので、節目を綴る巻物のサービスです。結婚式やお食い初めなど、人生の節目に帰ってきて楽しんでもらえるようにと、巻物を残すと言うユニークな取組をされています。
菊水楼を訪れた日の料理の御献立と手形が記録され、数年後に見返したら思い出を振り返れそうですね!
最後に紹介するのは、表門裏に置かれた東大寺修二会のお松明です!こちらを間近で見られるのは、お祭りファンにはたまらないのではないでしょうか!?
アクセスと周辺情報
菊水楼へ公共交通機関で来られる際には、近鉄奈良駅からが便利です。徒歩約10分でたどり着くことができます。またお車の場合は駐車場もあります。
近鉄奈良駅から菊水楼へ向かう間には、奈良公園や興福寺が存在。こんな光景に出会えるかもですよ!
菊水楼風鈴まつりは9月30にちまで開催!秋の香りが色濃くなってくる9月でも風鈴が見られる貴重なお祭りですので、ぜひお近くの方は行ってみてください!