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鶴岡の化けものまつり!庶民が変装する「平安ハロウィン」に隠されたエモい理由とは?

2023/7/4
2024/4/17
鶴岡の化けものまつり!庶民が変装する「平安ハロウィン」に隠されたエモい理由とは?

どうも。奇祭ハンターのまっくです。今回は全国で行われる天神祭の中でも一風変わった奇祭として知られる山形の「化けものまつり」を紹介します。それでは早速、行ってみよう!

化けものまつりの由来とは?

新宿から深夜バスを使って到着したのは、山形県の日本海側、鶴岡市。ここ、旧庄内藩の鶴岡で毎年5月25日に開催される鶴岡天神祭は、毎回約2,500人が参加する庄内三大祭りの一つ(他は港町の獅子舞文化とにぎわいを伝える酒田まつりと、化け物を退治しためっけ犬が主役の大山犬祭り)です。

しかし、全国の菅原道真を祀った天神社・天満宮で行われる祭りの中でも、ここ鶴岡の天神祭は別名「化けものまつり」と呼ばれる奇祭なのです。

とはいえ、ここでの化け物はモンスターというより文字通り化ける者(変装者)という意味合いが強いもの。姿を変え、顔を隠した人たちが無言でお酒を見物客に振る舞いながら市内を練り歩くことから、その名がついたのです。

鶴岡天神祭は江戸時代に始まり、明治時代から「化け物が酒を振る舞う」という形式になったと言われています。なぜ、わざわざそんな変装をするお祭りが始まったのでしょうか?

菅原道真は優秀すぎる故にライバルに妬まれ、政争に敗れ太宰府へ配流となりました。その際、別れを惜しむ人々が時の権力をはばかり、姿を変え、顔を隠して酒を酌み交わしたのだとか。

鶴岡天神祭はそうした故事に基づいたものだったのですね。道真と人々の最後の交流に着目するとは、着眼点がエモい!

それでは早速、化けものまつりを楽しむポイントを紹介しましょう!

鶴岡天満宮へ参拝しよう!


鶴岡駅から徒歩で約15分。鶴岡天満宮へ到着しました。パレードの第一グループはこの近くからスタートします。境内に着くなり、早速、化け物に扮した姿で参拝する親子の姿が。

境内には化け物装束を着たマネキンの姿も。編み笠に淡い桜色をした派手な長じゅばん、そして豆絞りをあしらうという姿がお決まりの正装のようです。「お忍びで隠れてこっそり会いに行く格好にしては目立ちすぎるのでは?」という正論すぎる野暮なツッコミはこの際ノー・サンキュー。正論からは奇祭は生まれない。そういうことだ。

なお、この衣装は毎年、市役所に申し込むと先着順で在庫があり次第、レンタルすることもできるので要チェック!そして、何と3年間、誰にも顔を気づかれずにお参りするとご利益があるのだとも。


境内では11時、13時、15時、17時の4回、古式ゆかしい伝統の天狗舞と獅子舞踊りを披露。

演舞を見た後は、黒獅子に頭をかぷっと噛まれてご利益をもらいましょう。ちなみに鶴岡市のすぐとなりの酒田市は、獅子舞が盛んな港町。つい先日、大獅子が登場する酒田祭りが開催されたばかりなのでした。

化け物とふれ合おう!

いよいよ14時になり、JR鶴岡駅前と鶴岡天満宮近くの2カ所からパレードがスタート。総勢約2,000人がにぎやかに練り歩き、途中で2つのグループが合流して鶴岡公園に向かいました。

化け物に扮した人々は鶴岡天満宮や沿道など各所で見られますが、パレードにも家族総出で変装した「親子化け物」の隊列が登場。

ここでお酒のふるまいにありつけるかと大いに期待したのだが、何と2023年はコロナ対策として、地元の酒蔵が作ったアルコール消毒液を散布。

名物のふるまい酒を味わいたかったが、「やれやれ、今年は仕方ないね」とあきらめかけていたところ、ソフトドリンクを個人的に持ち込んで振舞っている方に遭遇することができました。ふっ、これが化けものまつりの本来の光景なのか。

総勢2,000人のにぎやかなパレードを楽しもう!

総勢2,000人のパレードには化け物の他にも、菅原道真公の行列や手踊り、子どもみこしや、鶴岡東高校マーチングバンドなどがにぎやかに登場。

菅原道真に扮した役者さんが、道真が京都から太宰府へ左遷される前に詠んだという有名なあの歌を詠む姿を熱演。

東風(こち)吹かば にほひをこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな
(超訳:春風が吹いたら匂いを京から太宰府まで送ってくれよ、梅の花。主人である私がいないからといって春を忘れてはならないぞ!)

梅の花に感情移入すると、己の失意と無念を隠して梅の花にすら心配りする道真の誠実な姿勢に泣けてくる歌ですよね。そんな道真だったからこそ、民草も罰せられる危険を冒してまで変装して会いに行ったのでしょう。

天神祭をイメージした手踊りもお披露目されました。

「化け物」も思わず足を止めて動画を取り出す、地元小学生による演舞も披露。

大絵馬コンテストでは、今年の時事ネタを拾って大谷選手が描かれた絵馬も披露されました。うむ。何やら学問の神様にちなんだ祭りらしい。

祭りを見学した後は鶴岡駅前にある「酒BAR&WINEBAR 彩鶴」で、地酒のお試しセットをゴクリ。ふっ、やはり美酒王国と呼ばれる山形に来たのであれば、日本酒はマストでしょう。

いかがでしたか、今回の化けものまつりのレポートは? 一般の人々が昔ながらの装束で仮装するパレードは意外と全国的にも珍しいのではないでしょうか。それでは、また次の奇祭旅でお会いしましょう。

今回のオマワリジャパン

化けものまつりは午後2時にスタートするため、午前中に周遊するのにおすすめなのが、鶴岡市立加茂水族館。常時60種以上というクラゲの展示種数世界一を誇り、中でも1万匹のクラゲが泳ぐ「クラゲドリームシアター」は必見です。

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