2019年からスタートした、観光経済新聞のオマツリジャパンコラム記事連載!2020年も「お祭り」をフックに、旅に出たくなる記事の連載をして参ります!奇祭好き、ケンカ祭り好き、お神輿好き…等、様々なライターさんに記事を執筆いただく予定ですので、ぜひご覧ください♪(オマツリジャパン編集部)
城下町に伝わる伝統の祭り
岸和田だんじり祭りとは、大阪府の南部にある岸和田市で毎年9月に行われる秋祭りだ。
各町が保有する「だんじり」と呼ばれる山車(高さ4メートル、重さ4トン)を子どもから大人まで世代を越えて力を合わせて曳(ひ)く祭り。その歴史は古く、約300年の伝統と歴史がある。
「だんじり」本体には、日本神話や軍記物など大小の精巧な彫刻が多数組み込まれている。動いている時に彫り物を見ることは難しいので、休憩などで止まっている時に各町自慢の彫り物をじっくりとご覧いただきたい。芸術的要素を持った「だんじり」だが、鑑賞用ではなく、祭りではそれを勇壮に曳きまわす。
だんじり祭りの醍醐味(だいごみ)はなんといってもその勇壮さです。交差点を全速力で走りながら90度方向転換する「やりまわし」が最大の見どころだ。「やりまわし」以外でも直線を全速力で駆け抜ける様子は圧巻。重さ4トンのだんじりと共に100人をゆうに超える人々が全速力で駆け抜けると、人の流れで風が発生する。
一方、夜のだんじりは提灯を付け、ゆっくりと歩いて曳行する。昼間は勇壮な「動」の祭りだが、夜は一変して優雅な「静」の祭りとなる。ヨチヨチ歩きの小さな子どもが、親に手を引かれながら綱を曳く、ほほ笑ましい光景をあちこちで見ることができる。また夜店の数も日本最大級と言われ、多くの人でにぎわっている。
祭りには多くの人が参加しているが、その一人一人が主人公だ。祭りの中で見せる人の表情が実に面白い。「一生懸命に曳く時の真剣な顔」「やりまわしが成功した時のうれしそうな顔」「宮入前の緊張した顔」「緊張から解き放たれた時のほっとした顔」など。
宇宙にロケットが飛ぶ時代に、なんの変哲もない木の塊をわざわざしんどい思いをして曳いている。でも祭りに参加している人の表情は実に輝いている。
「百聞は一見にしかず」。各町自慢のだんじりを見にぜひ岸和田へお越しください。